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脱レガシーと業務改革
海南市の挑戦
和歌山県海南市


和歌山県
海南市
DATA
住所 和歌山県海南市日方1525-6
電話 073-482-4111
面積 101.18平方キロメートル
人口 6万218人(H18.1現在)
URL  http://www.city.kainan.wakayama.jp


総務部情報システム課
上田数馬課長


◆昨年4月1日、和歌山県の海南市と下津町が合併し、新「海南市」が誕生しました。新市の概要を教えてください。
上田 
この一帯は、古くから熊野詣の要衝として栄え、有間皇子【ありまのみこ】をはじめ万葉集にも多くの歌が詠まれた景勝の地として知られています。また、紀州徳川家の菩提寺・長保寺をはじめ4つの国宝建造物に加え、世界遺産に登録された熊野古道(紀伊路)が市内を縦断するなど“歴史とロマンに彩られたまち”という特徴があります。一方で、大阪市内から1時間、関西国際空港から車で40分圏内と立地条件に優れている上に、特定重要港湾である和歌山下津港を擁していることから、近年では関西経済圏の物流拠点としても高いポテンシャルを有しています。

能力発揮の機会を奪っていないか?

◆市町村合併を機に、情報システムも見直されましたね。
上田 
レガシーシステムの見直しは以前から手がけてきたことで、合併の話が持ち上がったときもシステム統合はオープン系でと決めていました。理由としては、開発コストと操作性に加えて、(1)オープンシステムが、行政事務におけるフロントエンドで不可欠になってきたこと、(2)さまざまなパッケージを活用してこれまでに蓄積された情報資産の有効利用ができること――が挙げられます。また、“人材の固定化”も大きな問題でした。一般に自治体の職員は数年で異動し、さまざまな経験を積んでキャリア形成をしていきます。しかし、私自身もこの仕事に18年間携わっていますが、スキルと経験の豊かなシステム担当者は、なかなか代えられないのが実情で、多くの地方公共団体が同じような課題を抱えています。情報化が進むとともに担当者の業務は増える一方で、次々と登場する新技術も習得していかなければなりません。しかし、彼らは一般職員であって技術者として採用されたわけではないんですよね。「システムを担当させることで、彼らがほかの分野で発揮できる能力を奪っているのではないか」というのが長年の悩みでした。いろいろと考えた末、辿り着いたのが「アウトソーシング」でした。システムは専門家に任せる、要するに“餅屋は餅屋”というごく当たり前の発想です。
◆なるほど。最終的にシステム選定のポイントとなったのは何でしょうか。
上田 
ほかにも優れた提案があったなかで、最終決定した理由は単に移行費用が安価だったからだけではありません。まず、IDCの設備や開発・ヘルプデスクの陣容などを視察して、ほかの企業にはない進歩性を強く感じました。また、レンタル制のシステムであったことと、TKCが大量一括処理を担当することで市町村の負担を軽減するという「分散型アウトソーシング」の考え方は、私の構想とも重なりました。
◆業務の流れなどは変わりましたか?
上田 
これまでシステム部門が担当していた処理業務を各部署へ分散するとともに、各部署のサポートは第三セクターからの派遣技術者に委ねるなど、積極的にアウトソーシング化を進めています。また、これによりシステム担当者の負担が軽減した分、今後はITを活用した市民サービスの充実に努めたいと考えています。これまでに公共施設60か所を結ぶ地域イントラネット事業と、通信事業者の協力で市域内のデジタルデバイド(情報格差)の解消がはかられました。また、これと合わせて近くホームページもリニューアルし、動画を中心とした防災情報、行政情報、生涯学習情報の提供、テレビ会議システムによる市民からの行政相談や学校間交流、教育支援システムなども新たに提供します。さらに、今回の方針転換で、情報システム課でIT知識を身につけた人材の“流動化”が可能となり、彼らが新たな職場で情報化推進の中核となってくれることも期待できますね。

市民サービスはビジネスだ

◆業務やシステムの見直しへ取り組む市町村へアドバイスを下さい。
斎藤 
私は「行政はサービス業だ」と考えています。市民サービスをビジネスと捉えれば、当然、効率性や経済性が優先されます。シビアな言い方をすれば、市場にある数多くの商品から最適なものを選べばいいわけです。大都市は別として、小さな地方公共団体がいつまでも高価な機器や重厚なシステムに依存するのはいかがなものでしょうか。レガシーシステムに蓄積された「情報」は自治体の財産ですが、既存の「情報資産」を大事に抱え自分たちが知っている技術のみに固執すれば、いずれ袋小路に突き当たる時が来ます。団塊の世代がリタイヤする2007年も目前です。業務改革とそれに伴う情報システムの見直しは避けては通れません。もちろん改革には、経費的・肉体的・精神的に大きな負担が伴いますが、それを乗り越えなければ大きな果実を手に入れることはできません。海南市の場合は、合併という千載一遇のチャンスに恵まれましたが、いま自治体には何らかの機会を捉えて一歩踏み出す勇気が必要ですね。海南市の“改革”もまだ道半ばであり、依然として財政状況は厳しく、今後もITの活用による効率化と事務の簡素化は欠かせません。この点で私が理想とするシステム形態は、ネットワークと端末さえあればいつでも業務が始められるというもの。つまり、ASPとIDCですね。TKCさんには、ぜひ“TASK .WEB”を開発していただき、究極のアウトソーシングを実現してほしいですね。


担当営業課より
上田課長のお話を伺い、海南市が目指す「脱レガシーと業務改革の挑戦」について、改めて感銘を受けました。行政事務の効率化だけでなく、市民サービスをビジネスと捉え、業務改革を進める姿勢に対し、今後もよりよいシステムの提供とサポートが我々の責務だと感じました。



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