◆インターネットを活用した市民サービスを始めた経緯を教えてください。
金林 鹿沼市では、現在、平成14年度に策定した『鹿沼市地域情報化計画』に基づき、「地域の情報化」に取り組んでいます。地域による情報格差をなくしていくこともその取り組みのひとつで、市内の約7割を網羅するケーブルテレビ網を利用し、行政主導で山沿いの地域などへの情報基盤整備を図ってきました。これは今年度末で概ね完了する予定です。情報基盤が整備されてくると、次にこれを活用して、どのようなサービスを市民向けに展開していくかが重要となります。そこで、市民が簡単に利用でき、ITの便利さを実感してもらえるサービスとして、平成16年9月から「公共施設案内・予約サービス」を開始しました。
携帯電話のアクセスは2400件/月
◆「公共施設案内・予約サービス」の利用状況はいかがですか。
渡邉 今年7月の月間アクセス件数は約5000件で、サービス開始から2年間の延べ利用者登録は約8800人となっています。開始当初の月間アクセス件数の内訳をみると、パソコンからが約900件、携帯電話からは約100件でした。それが、昨年の後半から利用件数が逆転し始め、今年7月ではパソコンからが約1800件、携帯電話からは約2400件となっています。サービス開始当初には、携帯電話からのアクセス件数がこれほど伸びるとは想像していませんでした。しかし、年齢層を問わず携帯電話の普及率が高まっていることを考えると、携帯電話からの利用が多いのも当然なのかもしれません。私自身も、野球の仲間と集まったその場で携帯電話から野球場の空き状況を確認しますからね。
◆7月1日からは、「講座・イベント申込サービス」も開始されましたね。
渡邊 ええ。開始後1か月間のアクセス件数をみると約1000件(うち携帯電話からは約80件)に達し、順調に利用されているようです。実は、鹿沼市では平成5年に『鹿沼市生涯学習推進基本構想』を策定し、以来、生涯学習推進に積極的に取り組み、平成11年度から「かぬま生涯学習大学」を開設しています。これは、鹿沼市全体を大学のキャンパスとみなし、市内で提供される多様な学習機会を体系化して提供することで、生涯学習の振興をしようというものです。今回、「講座・イベント申込」のシステム導入協議を進めていくなかで、単に講座等の申し込みを受け付けるだけでなく、この「かぬま生涯学習大学」で認定する単位集計と連携できないかという話が出てきて、あわせて検討を始めました。
麦倉 「かぬま生涯学習大学」では、受講を終了すると単位が認定され、取得した単位によって学位認定されるなどの表彰規定が設けられています。単位を認定する上では、個人ごとの単位取得の状況や、講座への出欠状況などの管理が必要となります。そのため、生涯学習課では、これまで情報管理課が作成したシステムを利用して、講座を開催している各施設や主催者から報告される受講者データの集計、および取得単位の管理を行っていました。
原田 ただ、そのシステムも古くなり、リニューアルの時期を迎えていました。今回の「講座・イベント申込システム」の導入により、講座の受け付けはもちろん、従来の独自システムで実施していた一連の管理がひとつのシステムでできるようになりました。
使ってもらえなければ意味がない
◆今後、市民向けのサービスをどのように展開していかれるのでしょうか。
金林 サービス提供の前提は、「市民に使ってもらえること」と「市民が便利になること」です。これが第一ですね。行政が電子サービスを提供しても、市民に使ってもらえなければ提供している意味がないですし、費用対効果という面でもプラスになりません。そこで今後の展開を考える上で、ボランティア、学校の先生・事務員・PTA、幼稚園の先生や父兄などとワーキンググループを作り、ITを活用した新たなサービスについて模索しています。この活動を通じて市民がITの便利さを実感できるサービスを発掘し、提供していければと考えています。
渡邉 市民の利便性向上が電子サービス提供の最優先の目的です。ほかの市町村の「公共施設案内・予約サービス」では、案内・予約可能な施設を限定したり、施設に1度行かないと利用者登録ができないところもありますが、鹿沼市では予約までのすべての手続きをインターネット上でできるようにしています。今後、マルチペイメントなどが一般に普及すれば、ネット上で使用料の支払いまで完結できるようになり、さらに住民の利便性が高まりますね。要はどうやったら使ってもらえるかが大前提だと思うんですよ。まずサービスを体験してもらう。そして便利さを実感してもらい、また使おうと思ってもらう。そうすれば、クチコミでおいしいお店の情報が広まっていくように、電子サービスの“利用の輪”も同じように広がるのではないかと思います。今後も、便利さに対する行政の考えと、市民の感覚が一致するような“温度差”のないサービスを提供していきたいですね。