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“脱レガシー”で経営革新へ挑む
世界遺産のまち、新宮市の取り組み
CASE2 和歌山県新宮市


和歌山県
新宮市
DATA
住所 和歌山県新宮市春日1-1
電話 0735-23-3333
面積 255.30平方キロメートル
人口 3万4005人(H19.2.1現在)
URL  http://www.city.shingu.lg.jp/


企画部情報推進課
情報システム係・阿部 修係長
企画部情報推進課
情報システム係・上野貴由主事


◆平成17年10月に熊野川町と新宮市が合併して、新「新宮市」となりました。
阿部 
新宮市は、紀伊半島の東南部に位置し、世界遺産へ登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の熊野古道や、川の参詣道・熊野川などを有しています。『日本書紀』に熊野神邑【くまのかむのむら】として登場するなど、古くから熊野地方の行政・経済・文化・教育の中心地として栄え、近年では佐藤春夫や中上健次などの多くの文化人も輩出してきました。

将来を見据え“古い上着”を脱ぎ捨てる

◆市町村合併を機に、基幹系システムを刷新されましたが、その理由は。
阿部 
いわゆる“レガシー改革”で、その理由は大きくニつ挙げられます。まずは合併に伴う「システムの統合費用」です。当初は安全性と確実性を優先し、新宮市の大型汎用機へデータ統合する方向で考えていたのですが、高額な費用がかかることが判り、新市の財政事情を鑑みて、可能な限り初期コストを圧縮するとともに、導入後の運用コストも低減したいと考えたものです。また、もう一つが「社会環境変化への対応」です。新宮市でも以前は、多い時には基幹系業務だけで5名の職員がシステムの運用・保守にあたっていました。しかし、団塊世代が退職する2007年を境に今後、職員数は減る一方で、本格的な地方分権に向けて市町村の責務はますます拡大する傾向にあり、マンパワーもシステムもいずれ限界が来ます。また、こうした状況では、とても電子自治体構築まで手が回りません。これはもうレガシー改革をするしかないと思いました。
◆レガシー改革によって、具体的にどのような点が変わりましたか。
阿部 
まず、電算システムの担当職員の業務が180度変化しました。いまでは業務システムの運用・管理は原課に任せ、2名の職員は連携部分など全体的な管理を行いながら、中長期の情報化戦略を考えるのが業務となっています。また、人事面での“硬直化”が解消され、システムの切り替え時には担当職員を1名減らすことができました。そしてもう一つの大きな変化は支出経費の“透明性”が高まったことです。昨今は大規模な法制度改正が相次いでいますが、レガシーシステムでは改修費が高額で、予算計画を立てるにも全体コストの見極めが大変困難でした。それがパッケージシステムの導入で、「後期高齢者医療制度」など新制度へ対応する場合でも投資額を抑えることができます。また、通常の法制度改正はレンタル費用内で対応されるため予算計画も立てやすく、この点では我われよりも財政当局の方が喜んでいるのではないでしょうか(笑)。
◆昨年秋には、「第2次バックアップサービス」で行政情報の復旧訓練も行いました。
阿部 
昭和19年と昭和21年に、マグネチュード8クラスの東南海・南海地震が相次いで発生し、この辺りも甚大な被害を受けました。また、次の地震が今後30年以内に発生する確率が40〜50%といわれていることから、防災対策の一環として重要な行政情報のバックアップに踏み切りました。災害に際しては、住民の生活に欠かせない保険証の再発行や住民票の写し、納税証明書の発行といったサービスをできるだけ中断しない、あるいは中断しても可能な限り短期間で再開できる対策の必要性を痛感しています。しかし、すべて紙で保管するとなると大変な手間とコストがかかり、納税証明書などはまず不可能でしょう。この点、第2次バックアップサービスならば住民の生活に影響しない期間内でのサービス再開が可能で、またLGWANを介してバックアップされるため運用面も安全で、コストがかかりませんからね。

市民視点で臨む、新宮の経営改革

◆今後の計画について教えてください。
上野 
現在、総合窓口によるサービスのワンストップ化へ向けた準備を進めています。これにより、窓口をいくつも回って類似した申請書を何度も書く、といった市民の負担を軽減するとともに、窓口業務全般を見直すことで職員にとっても業務の効率化・合理化が図れるなど、双方にメリットがあると考えています。本来であれば、すべての窓口業務をワンストップ化するのが理想ですが、スペースの問題などを考えた結果、総合窓口の開設時期を二段階に分け、できることから順次実施することにしました。具体的には、今年5月から従来の市民課の全業務と各種証明書発行など155業務のサービスを開始。また、平成20年度からは母子健康手帳の交付や公営住宅入居申込み受付など160業務のサービスを開始する計画です。
◆オンラインサービスはいかがですか。
阿部 
譲ります・譲ってください情報を提供する「新宮市ふれあい銀行」を、今年1月から「かんたん申請・申込システム」を活用してインターネットでも申込受付を開始しました。また、来年度には「市政提案箱」の開設も計画しています。さらに、庁内向けには職員への動機づけを兼ねてアンケートなどを実施する予定で、これによりサービス向上や事務の効率化に役立つアイデアがいろいろ出てくることを期待しています。
◆「時代の潮流に対応した快適な都市づくり」へ、大胆な経営改革の始まりですね。
阿部 
少子高齢化社会、防災対策、行財政のスリム化など、対処すべき課題は山積しています。また今後は、時流に適確に対応した実効性と戦略性のある事業展開、多様化するニーズに沿った新たな都市経営も担っていかなければなりません。それを限られた人員でこなすには、やはり“ICT”が重要です。いまICTの世界では、地上デジタル放送やワンセグなど新しい手法・技術が続々と登場していますが、市町村としてもこれらの有効性を見極め、住民サービスの向上や業務の効率化につなげていくことが大切でしょうね。


担当者から
新宮市様の常に時代の流れを考えながら、コストアップせずに市民サービスの向上と業務の効率化を図って行く考えをお伺いし、我々としてもいままで以上にコストパフォーマンスと安定性に優れたシステムのご提供とサポートを行っていく必要性を強く感じました。(株式会社サイバーリンクス・榎本)



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