
「戦略経営者」2009年11月号記事より
長引く消費不況や昨年の「中国製冷凍ギョーザ中毒事件」の影響を受け、生活協同組合の多くが減収減益の厳しい経営を強いられている。そんな中で増収増益を実現しているのが大阪いずみ市民生協。好業績の最大の要因は、「誠実・挑戦」をモットーとした経営姿勢だ。生協としてはまだ少ない連結決算の実施もその一つ。同生協での『eCA-DRIVER』活用について、経理・財務グループの逸見成人マネジャーと戸田政子さんに聞いた。
■「三つの取り組み」で経常剰余率全国二位に躍進――まず生活協同組合とはどのような組織なのかを教えてください。 逸見 一般の会社は会社法ですが、生協は消費生活協同組合法の規定に基づく法人です。組合員が出資金を拠出し、利用し、さらに運営にも参加します。剰余金(最終利益)も、利用分量や出資額に応じ組合員に割戻すようになっています。そもそもは、1844年にイギリス・マンチェスター近郊のロッチデールという町でつくられた「ロッチデール公正開拓者組合」が生協のはじまりだといわれています。 ――具体的にはどのような事業を手掛けられているのですか。 逸見 生協本体では(1)供給事業(2)共済事業(3)福祉事業の3つの事業を行っています。特に(1)供給事業が主力で、供給(売上)高が約581億円。内容は食料品などの商品販売で、店舗販売と配送販売の2つを展開しています。うち供給高が多いのは配送販売で、これもさらに組合員グループへの配送(班配送)と個人別配送の2つがあり、特に個人別配送が供給高前期比109%と順調に伸びてきています。一方、班配送は減少傾向で前期比95%です。 ――個人消費の低迷で国内小売業が厳しい経営を続けているなかでも業績が順調に推移している要因は? 逸見 現在、第10次中期計画に沿って事業運営していますが、そこに掲げているのが「誠実・挑戦」というテーマです。不況で組合員の生活も厳しく、しかもいわゆる「餃子事件」のような食に対する不安も広がっています。これに対応するため、食の安全や低価格化に愚直に、誠実に取り組み、また業務革新などに積極的に挑戦しています。 ――具体的な取り組みとしては…。 逸見 短期的に何かをということではなく、長期的な取り組みが実を結んでいるというのが実態です。 ■管理連結で収益向上とグループ経営の確立めざす――前期から取り組んでいる連結会計もまた、そうした改革の一部なのでしょうか。現在、生協で連結会計を実施しているところはほとんどないと聞いています。 逸見 連結会計はガバナンスと経営管理体制の両方の強化を期待して取り組みました。 ――以前から管理会計を重視してきたそうですね。 逸見 毎月、決算報告書は月末後5日に内部向け速報を出していました。これをさらに4日にするよう取り組んでいます。業績を早く共有できればそれだけ早期に対応でき、損失の防止に役立つからです。 ――連結会計への移行で課題となっていることは何でしょうか。 逸見 子会社の会計レベルが低いことです。毎月の処理スピードももっと早める必要があります。 戸田 当生協では連結会計を行うに当たって、岸田(泰治公認会計士)先生の指導を受けながら『eCA-DRIVER』を導入しました。このことで連結会計に移行するための課題がずいぶん整理できたと思います。『eCA-DRIVER』は操作メニューが非常に分かり易い点が魅力ですね。やるべきことが整理されているので、メニューに沿って進めていけばいい。 ――実際の導入作業はどのように? 戸田 まず第一フェーズとして科目体系の違いなどを統一しました。そもそも生協(親)と株式会社(子)で会計基準が違うためこの作業は結構苦労しました。 逸見 当面の目標は、事業所別セグメントの状況(連結)の月次管理ですね。現在まだグループ経営としての管理手法が完全には確立していませんので、早期にこれを実現したいと考えています。 ■供給事業、福祉事業に注力日本版SOX法への対応も――今後の抱負を聞かせてください。 逸見 供給事業ではフードディフェンス(食品防衛)に一層取り組んでいきます。これには仕入から提供までの総ての工程を視野に入れた「食品安全プログラム」を運用していますが、これをさらに生産者も含めて取り組んでいこうと考えています。 ――ますます事業効率向上が求められますね。 逸見 管理体制の強化を継続していくことが大切だと考えています。今後は日本版SOX法への対応も視野に入れています。 (「戦略経営者」 |