
「戦略経営者」2009年6月号記事より
冷凍食品専業卸のパイオニアともいえるナックスナカムラ。非上場とはいえ年商は約1300億円、従業員は500名を数える大企業である。丸紅グループの一員として連結会計や内部統制の確立は必須の課題。TKC連結会計システム『eCA−DRIVER』導入で、その課題解決に奮闘中だ。林勝司常務取締役、南出拓哉財経部経理課担当課長に話を聞いた。
■迅速かつ正確に全国へ冷凍食品を配送できる強み――今年度で創業50周年を迎えられたそうですね。 林常務 当社の前身は「中村博一商店」で、文字通りカリスマ的経営者だった中村博一氏が立ち上げ、日本で初めて冷凍食品を本格的に扱った卸問屋です。博一氏は、NHKの某ドキュメンタリー番組から「冷凍食品業界の育ての親」として出演のオファーが来たほど、実は業界では知らない人がいないほどの著名人なんですよ。本人は恥ずかしがり屋で結局は出演しませんでしたが…。 ――それはすごいですね。 林 要するに、まだそれほど冷凍食品が市場に浸透していない時代から、彼がニチレイさんや加ト吉さんなどといったメーカーを引っ張ってマーケット自体を大きくしたわけです。 ――いまでは、冷凍食品だけで1300億円の年商を稼ぎ出す会社に成長されました。 林 メーカーを引っ張り、一方では大手の量販店を主要販路にしながら大きくなってきたわけですが、さすがに年商が1000億円を超え、従業員も400人、500人と増えていくと、1人のカリスマの指導力を頼った「文鎮型組織」では限界が出てきた。つまり、組織がうまく回らなくなってきたのです。 ――日本で唯一の冷凍食品専業卸としての優位性は何ですか。 林 北海道から沖縄まで自社倉庫(8ヵ所)を含めた数多くの拠点を持ち、そこから冷凍で店舗まで運ぶ配送・情報システムの緻密さでしょう。1年365日24時間、迅速かつ正確に冷凍食品をお客様に届ける機能が当社の最大の優位性だと思っています。 ――どのような業態への配送が増えていますか。 林 やはりコンビニです。当社では、大手CVS専用のFDC(フローズン・ディストリビューション・センター)を14ヵ所運営し、約3500店舗へ冷凍食品やファーストフード向け食材を配送しています。この事業では小口で多くの店舗への配送が必要になってきますが、それだけに我々が商品管理などのノウハウを店舗に提供する貴重な場になっていると思います。 ――それにしても「卸」という業態自体が厳しくなってきていると思いますが…。 林 その通りです。それだけに脇を固めて利益重視で行かなければならない。それと、みなさん冷凍食品を誤解されていますが、実は、パッケージングされた餃子やシュウマイといった「市販用」だけが冷凍食品なのではなく、総菜、あるいは外食なども品質保持・オペレーションの効率化の観点から多くの冷凍食品を使用しています。 ――そのためには? 林 やはり、商品開発と提案活動を積極的に行っていくことでしょう。我々には50年培ってきた冷凍食品の専門家としてのノウハウがあります。これを活かしながら川上、川下双方の意向や戦略を一致させていく。それが役割だと思っています。 ■連結決算のシステム化で業務の標準化を目指す――非上場企業ながら、連結決算に取り組まれています。理由は? 林 2006年に会社法が変わり、当社でも内部統制実現のための体制構築が課題に上るようになりました。加えて、親会社の丸紅からもきっちりとしたガラス張りの数字を求められるようになってきた。 ――で、システム導入に踏み切られたと。そこでTKCの『eCA−DRIVER』を選ばれた理由は? 南出 最終的にはTKCさんを含めて2社に絞ったのですが、正直、決定的な差はありませんでした。最後はやはり「メジャーな方」を選んだということです。テレビでもやっていますしね(笑)。 林 私は個人的にはTKCブランドへの信頼感は、かなり前から持っていました。というのも、私は以前、丸紅で食料経理部長として多数の関連会社の監査を手がけていたのですが、その際に、TKCの『FXシリーズ』の導入を推奨していたのです。なぜなら監査がとても楽になるからです(笑)。 ――昨年の5月がキックオフで、導入から丸1年が経過したわけですが、いかがですか。 南出 最初は不安な部分もありましたが、なんとか連結対象子会社4社と持ち分法適用会社1社の計5社から財務データの入ったレポーティングパッケージ(RP)を吸い上げて連結決算を行うスタイルを確立できたと思います。 ――既存システムとの連動はどうでしたか。 南出 当社では、基幹システムとしてERPパッケージシステム(『スーパーストリーム』)を使っているのですが、それと『eCA−DRIVER』とのデータ連携は、お互いのソフトの親和性が高かったこともあり、とてもスムーズに行えたと思っています。 ■万全のコンサル体制で連結管理会計の実現へ――1年が経過して、実際の効果はいかがでしょう。 南出 まず時間効率が飛躍的に上がりました。以前は個別にデータを収集するだけでも1週間くらい、そこから修正作業に数日とられていました。とても面倒な作業で間違いも多かった。実際、親会社に上げたRPのデータにひどい間違いを指摘されたこともありました。それがいまでは、数字の収集もスムーズだし、それをチェックし修正をかけるのに1日もかかりませんからね。連結精算表までは一足飛びに到達できます。 ――実務的に重宝している点は? 南出 データの履歴が追えることです。これが表計算ソフトと根本的に違うところでしょう。とくに『eCA−DRIVER』の「ドリルダウン機能」は、各数字を一瞬にしてさかのぼることができ、とても使い勝手がいいと思います。 ――今後はいかがでしょうか。 南出 とりあえずは、親会社の方から要請されている「連結キャッシュフロー計算書」がまもなく出来上がる予定です。 林 この金融危機ですからね。親会社も当然のことながら「連結キャッシュフロー計算書」の提出を要求してくる。これを表計算ソフトでつくるのは大変ですからね。『eCA−DRIVER』を入れておいて良かったとつくづく思いますよ(笑)。 南出 それと、連結ベースの月次決算や予実管理など、近い将来には管理会計の分野でも『eCA−DRIVER』の機能を有効に使えるようにしたいと思っています。 (「戦略経営者」 |