
「戦略経営者」2008年6月号記事より
125年の歴史を誇る住江織物は、日本の内装織物におけるリーディング・カンパニーだ。現在はスミノエ・グループの中核として国内外に子会社を展開、環境配慮型商品を強みに堅実な成長を続けている。同社の飯田均執行役員・経営企画室部長と薄木宏明経理部グループリーダーに、グループ戦略とそれを下支えする連結会計体制について話を聞いた。
■「環境力」キーワードに画期的商品を次々開発――御社は創業125年の老舗企業だそうですが、まずはその歴史を聞かせてください。 飯田 明治16年に創業者・村田伝七が大阪住吉で緞通(手織りの敷物)の製作をしたのが始まりです。その後、大正2年に前身の住江織物合資会社を設立し、この年にドイツ、イギリスから技術を導入して日本で初めて機械織モケットの製造を開始しました。現在の住江織物株式会社となったのは昭和5年からです。 ――まさに日本の内装織物の歴史そのものといえますね。 飯田 常に業界の先端を目指してきました。いま多くのオフィスで利用されているタイルカーペットも国産で最初に提供したのは当社でした。 ――国内外に関連子会社も多数ありますが、スミノエ・グループの概要を説明いただけますか。 飯田 連結対象の子会社は、国内13社、海外3社です。 ――子会社化を進めてきた狙いは何でしょう。 飯田 子会社化によって収支の中身や資産、負債のバランスなどをきめ細かくチェックできるようにするためです。言い換えれば、経営の“見える化”を図るためですね。実際、子会社化したことで、非常に筋肉質な経営に変わってきています。 ――グループの統一的な戦略は? 飯田 基本戦略として「KKR+A」をテーマに掲げています。これは「健康(K)」「環境(K)」「リサイクル(R)」「アメニティ:快適(A)」のそれぞれの頭文字をつなげてキャッチフレーズにしたものです。 ――「24時間消臭カーテン」とはどのような原理なのですか。 飯田 「トリプルフレッシュ」という名前で、空気中の酵素を使い臭いを化学的に水や二酸化炭素などの無害な成分に分解する機能です。ホルムアルデヒドやたばこ臭、ペット臭などを吸着分解する能力があります。ホテルの客室などで利用されていて、たいへん好評を博しています。 ――市場に対しこれまでにない新たな価値提案を行っているわけですね。 飯田 ほかにも鉄道車両に用いられるポリエステルシートクッションは、万が一鉄道火災が起きても有毒ガスが発生しない素材を使用しています。しかもこれは、使用済品を回収し再び繊維化してワイシャツなどの衣料品にリサイクルできます。 ■連結決算の効率化で45日開示に対応――グループが一体となるには、会計による適切な子会社統治が不可欠だと思います。御社では連結会計システムに『eCA−DRIVER』をお使いですが、その導入経緯は? 薄木 まず2002年に旧『CA−DRIVER』を導入しました。それ以前は「エクセル」を使って子会社データの集計などをしていたためチェック業務が非常に煩雑で、これを改善するために連結会計システムの導入を検討しました。そして複数の候補の中から、操作性、コスト面を評価して『CA−DRIVER』を選定しました。『eCA−DRIVER』に移行したのは、2005年です。ここ数年の会計制度の変更に対応するために移行しました。 ――金融商品取引法で今年4月以降の開始年度から連結グループ全体を対象に、4半期報告書の45日以内開示が義務化されています。 飯田 これは本当にたいへんです。当社は6月が年度初めですが、いまから第1・4半期の決算業務がどうなるか気にしているところです。 薄木 45日開示だけでなく内部統制など諸制度の厳格化が図られていますので、システム運用もこれに対応するために再構築している最中です。連結会計の処理業務においては、関連会社間の債権債務(内部取引)の相殺消去がまだ子会社で行えていないので、これをデータ連携によって解決する準備を進めています。 ――データ連携の具体的な方法は? 薄木 富士通製の『GLOVIA/SUMMIT』というERPパッケージ(統合型ソフトウエア)で業務統合を進め、これと『eCA−DRIVER』とのデータ連携を図る計画です。この6月から『GLOVIA/SUMMIT』へのデータ移行を行い、さらに9月には国内の関連子会社と完全同時仕訳を行えるようにしてグループ個別の会計処理から開示までを一気通貫で行えるようにします。将来的には海外子会社にも同システムを導入する予定です。 ■管理連結強化で世界市場の開拓目指す――制度連結はいわば受け身の対応ですが、管理連結にも活用されているのですか。 飯田 現在はインテリア事業と自動車・車両内装事業の2つのセグメントに分けて業績管理をしていますが、まだ不十分だと感じています。各社が独立していますのでそれぞれの収支は追えますが、その中に内部取引も含まれますから、一つの商品で本当にどれだけ儲かっているかが見えにくい。なので今後は、連結ベースで、売れ筋は何で、どの商品がどれだけ儲かっていて、また儲かっていないとしたらどこに問題があるのかといったことを、製造や販売の各子会社に遡って分析できるようにしていきたいと考えています。 薄木 今後は月次で連結決算を出すことも検討項目に挙げています。4半期決算の45日開示で決算業務がルーティン・ワーク化してきますから、仮にこれを毎月行ったとしても作業現場の負担感はそれほど増えないと思われるからです。 ――グループ全体での予実管理も行っているのですか。 飯田 いまはそこまでやれていませんが、『GLOVIA/SUMMIT』は予算入力もできるので、これと『eCA−DRIVER』と連動させることで予実管理は可能です。ただ、いまは子会社とのシステムの共通化を図るほうが先決ですね。 ――最後にグループとしての今後の展望をお聞かせください。 飯田 住宅着工戸数が減少するなど国内市場は厳しさを増しています。今後はますます海外市場の比重が増してくるはずです。それだけに海外の子会社や関連会社との連携が重要になってくるし、連結会計による“見える化”も一層強化しなければならないと思います。 (「戦略経営者」 |