「黒字決算」のための財務戦略――システム事例3
統合型会計情報システム(FX4WebBAS E)ユーザー
那覇鋼材株式会社

4支店ごとに業績管理し不況の建設業界で売上拡大



 沖縄県で鉄筋鋼材など建築資材の卸や小売り、リース等五事業を手掛ける那覇鋼材株式会社。同業界では県内トップクラスの企業だ。建設関連全体が不況に喘ぐなか、卓越した事業戦略で過去5年間、右肩あがりに売上を拡大してきた。その戦略実行を下支えしてきたのが、TKCの『統合型会計情報システム(FX4WebBASE)』による緻密な財務管理である。上原勉取締管理部室長(36)に話を聞いた。


5つの事業を展開金物小売りが“希望の星”

――主業務の鉄鋼卸に加え、全部で5つの事業を展開しているとか…。

上原: 鉄筋販売、仮設材・鋼材の販売、同リース、建設金物小売り、保安用品リースが主な営業種目です。どれかひとつがメーンというわけではなく、売上構成比ではほぼ均等になっています。好不況の影響を最小限に止めるために、意識的にこのようにしてきました。つまり5本柱ということです。

――特徴的ですね。一般的な企業では多くの場合、主力事業だけで全売上の8割を占めると言われています。

上原: 一事業のウェイトが大きいと、経営環境が変化したときに売上の多くを失ってしまう危険性があります。当社の販売先はゼネコンや中小の建設業者、土木業者等ですが、沖縄も他地域同様年々工事が減っていて厳しい状況が続いています。それでもほぼ毎年のように売上を増やしてこれたのは、この5本柱があったからだと思います。

――とはいっても、伸びている事業と伸び悩む事業があるのでは?

上原: 確かに苦戦している事業はあります。それについては新商品開発でカバーしてきました。たとえば、保安用品部門が手掛ける土木工事用の看板のリース。以前は工事が終わると捨てられていたものなのですが、それをアルミ製の丈夫なものにして貸し出すようにしました。工事のたびに購入する必要がなく、さらに後処理の手間もかからないということで、お客様からは大変好評を頂いています。このようにして売上と利益を維持しています。

――逆に“希望の星”となっている事業は何でしょう。

上原: 建設金物の小売りです。20年前から手掛け、10年前からは多店舗展開してきました。事業者向け金物に特化していて、現在県内に6店舗、今年4月にもう1店舗出店する予定です。当面の目標は今後5年以内に県内で15店舗、さらに将来的には九州進出も考えています。

――金物というのは具体的には?

上原: トラカン、クランプカバーといった土木建築資材のことです。

――ホームセンターと違うプロを相手にした金物小売店というのは、全国でも珍しいのではないでしょうか。

上原: 私が見聞きしたかぎりでは全国で当社だけのようですね。基本的に単価が安く、しかも掛売が多いのでほかはあまりやりたがらないのかも知れません。当社では2700社と取引していて、内7〜8割が掛けで現金販売は2割程度です。1店舗の売り場面積は200〜300坪で、約5万アイテムを扱っています。

――きめ細かな在庫管理と顧客管理が必要ですね。貸し倒れリスクがあるので特に顧客管理は重要になる。

上原: 独自の販管システムで管理しています。商品はPOSで単品管理を行い、貸し倒れリスクについては民間の信用調査会社と提携して情報収集に努めています。こうした管理がきちっとできていれば、比較的粗利は高めですし、消耗品だからリピート受注が期待できるので安定した利益が確保できると考えています。
 それと、単価が低いのでお客様を増やす効果もあるんです。金物小売りから取引をはじめて、ほかの事業分野でも営業をかけることができる。新規顧客を開拓するアンテナにもなっているわけです。

――シナジー効果が期待できると…。

上原: 当社は建築土木関係にフォーカスし、そこに向けて複数の商材や販売チャネルを手掛けています。各事業の顧客が重なるので、当然、相乗効果は狙っています。ですから、特定の事業だけに力を入れるのでなく、五事業全体を均等に伸ばしていく方針を採っているわけです。


週1回の支店長会議で業績の進捗を管理

――金物小売りでは掛売が多いということですが、ほかの事業は?

上原: 大手のゼネコンなどは現金取引が増えてきていますが、地元企業はまだまだ手形が中心です。

――資金繰り管理が大切ですね。

上原: そこが一番気にしている点です。売掛金と手形のサイト管理はかなり細かく行っているし、また、借入や手形割引も多いので銀行取引の管理にも気を配っています。

――財務の効率化のため昨年『FX4WebBASE』を導入したとか。

上原: 高良会計事務所さんから薦められて、これまでに『FX2』『FX3』そして『FX4』とステップアップしてきました。迅速に業績を把握できるので大変助かっています。
 たとえば、銀行には毎期決算書を提出しているのですが、たまにある科目の何月分の明細が欲しいとか、他行も含めた借入状況が知りたいといった要請がスポットでくるんです。当社は県内に支店が4つあって、以前はそうした要望があると、各支店に電話し資料を本社にファックスで送ってもらう必要がありました。それが『FX4』だとネットワークを通じて本社のサーバーにリアルタイムにデータが蓄積されていますから、いつでもダイレクトにボタンひとつで情報を引き出せる。銀行の求めにレスポンス良く応えられるので、幾分は当社の信用力も高まっているのではないかと思います。

高良盛徳顧問税理士: 当事務所では那覇鋼材さんへの巡回監査を毎月行っていますが、前は各支店を回っていたんです。それが『FX4』を導入してもらったことで、本社だけで済むようになった。うちにとってもありがたいシステムですよ(笑)。

上原: もちろんリアルタイムで財務が把握できることは、銀行など対外的な面だけでなく内部の業績管理でもメリットを感じています。各支店ごとに売掛金の回収状況などを日常的にチェックできるので、支店長への指示が適時に行うことができます。

――業績の把握は支店別に?

上原: 各支店長が年間予算を持っていて、支店別で損益管理を行っています。予算決めは支店長の自己申告を積み上げ、それを社長が微調整するというプロセスで決めています。また、当社では購買部を置かずに仕入までを支店長権限で行わせています。自分で申告した予算で、しかも仕入まで任されているのだから、支店長は言い訳ができない。それだけ責任は重いですが、反面、やりがいもあるのではないかと思います。

――業績の進捗管理はどのように?

上原: 週2回支店長会議を開いています。月曜日が販路選定や物件検討といった営業会議で、木曜日が予実検討会議です。予算は月別に展開していますので、その進捗状況を毎週確認しています。さらに会議だけでなく、社長が毎日のように各支店を巡回しフォローを行っています。

――支店長は気が抜けませんね。業績は報酬にもリンクさせていますか。

上原: 完全な成果主義賃金にはなっていません。時々の状況によって業績にバラツキが出てきますから、シビアに数字だけで判断できない面があるのです。
 ただ昇進に関しては、以前よりも能力を重視するように変えてきました。いま一番若い支店長は31歳です。昨年は初の女性支店長も誕生しました。これは当社にとって、かなり画期的な人事なんです。


不況だからこそ積極的な投資を行う


――独自の販売管理システムがあるということでしたが、『FX4』とはデータ連動しているのでしょうか。

上原: 現段階ではまだできていません。販管と財務がバラバラだと入力作業などが二度手間になって効率が良くないので、今後の予定ではデータ連動までを視野に入れています。
 また、去年の10月に『PX4WebBASE』を、パイロット・ユーザーということで正式提供(平成16年1月)前に導入しました。これによって給与計算事務の大幅な合理化ができています。これからも管理部門のIT化には力を入れていきたいと考えています。

――先ほど、今後5年で金物小売店を15店舗までに増やすと言われましたが、そうした投資を成功させる上でも財務管理は重要ですよね。

高良: 那覇鋼材さんの場合、新規店を1店舗つくるのに3億5000〜4億5000万円ほどの金額が必要になります。また同社ではここ数年、毎年利益の半分近くを新商品開発にあててきています。これだけ積極的な投資を決断できるのは、財務管理体制がしっかりしているから。でなければとても怖くてできないですよ。

上原: 「不況の時こそ積極的に設備投資する」というのが当社の戦略なんです。理由は、好況になったときに他社を一歩リードすることができるからです。15店舗まで増えれば、どの地域から注文を受けても一時間以内には届けられる。これにより、県内の商圏全体をほぼ網羅することが可能になると思います。
 そして、このゴールへと導いてくれる羅針盤となるのが、高良会計事務所さんの助言であり『FX4』の各種管理帳表なんです。まさに『FX4』は、当社の戦略を支える土台といえるかもしれません。

(沖縄SC・西平貴子/本紙・千葉博文)


会社概要

代表者 上原義雄
業 種 鉄鋼卸売業
所在地 沖縄県豊見城市高安593-1
TEL 098-850-7171
売上高 65億円
社員数 151名
顧問税理士  高良盛徳


 
CONSULTANTS´ EYE
財務体制構築支援で事業の発展に貢献
高良盛徳税理士事務所 所長 高良盛徳
沖縄県那覇市久米2-5-7久米ビル7F 電話098-863-6151
 那覇鋼材の上原義雄社長と私は、同郷出身で幼少の時に一緒に遊んだいわゆる「竹馬の友」です。このこともあって当事務所は、同社の設立以来から関与させていただいています。上原社長は優れた先見性で常に自社の製品やサービスに磨きをかける一方、社員に対する商道徳、倫理といった基本姿勢の指導を徹底して実践されてきました。また、ご子息で取締役である上原勉室長は、物静かですが意思の強い努力家タイプで、現在、本社管理部門の要として活躍されています。そうしたお二人の優れた“人間力”が、同社を沖縄県のトップ企業へと躍進させる原動力になってきたと感じています。
 財務に関しても、社長、室長とも大変数字に明るく、無駄のない管理を行っています。昨年には関連会社であった中部那覇鋼材との合併をきっかけに、『FX3』から『FX4』へと財務システムをステップアップされました。4支店体制になり取引量が増えて本・支店間の会計データのやりとりがスムーズに行えなくなってきたため、ネットワークでデータ集計可能な『FX4』に切り替えたのです。これによって、従前よりも事務ミスなく迅速・確実に会計処理を行えるようになりました。支店別(部門別)利益管理を行うには、基礎である会計処理体制がしっかりと整えられていなければなりません。同社はいま週一回の頻度で業績検討会議を実施していますが、それが可能なのも『FX4』で財務管理を行っているからといえるでしょう。
 今後は『FX4』と販管システムとのデータ連動を可能にし、さらには『継続MAS』による中長期経営計画の策定までをご支援していく予定です。微力ですが、同社の成長に財務面から貢献していきたいと考えています。