「黒字決算」のための財務戦略――システム事例1
戦略財務情報システム(FX2)ユーザー
株式会社デュオ

6部門別業績管理の徹底で連続黒字経営を実現



 東京都内をエリアに運送・倉庫業を営むデュオでは、ここ数年新サービスの開発と財務体質の強化に力を入れている。とりわけ財務面に関していえばTKCの『戦略財務情報システム(FX2)』の導入によって、連続黒字経営を実現している。そこで、同社の冠秀雄社長(49)に、どのように変動費や固定費などをチェックしているのかを聞いた。


都内をエリアに運送・倉庫業で成長する

冠社長(左) ――デュオさんのメーン事業は運送業と聞いていますが……。

 ええ。当社は大手電子楽器メーカー「ローランド」の関連会社(資本金3000万円のうち約33%をローランドが出資)で、主に東京都内をエリアとする流通センターの役割を果たしています。
 具体的には、まずローランドの営業マンが楽器店にセールスにうかがい、シンセサイザーや電子ピアノ、エフェクター、アンプなどの注文を受けると、その注文伝票は「受注センター」(都内)を経由して、静岡県浜松市の「物流センター」に伝送されます。当社は毎日4トン車で浜松の物流センターへ行き、そこで都内の楽器店が注文した商品をまとめて詰め込み、うちの流通センターでルートごとに仕分け、当該楽器店に配送します。いわゆる「クロスドッキング」(入荷した商品をセンターで在庫することなく、方面別に仕分け、トラックに積み替えて配送)を行っているということです。ルートは、(1)お茶の水・秋葉原、(2)新宿・池袋、(3)銀座、(4)立川・八王子方面、の4つです。1ルート当たり50〜60軒の取引先(楽器店)があり、そのうち1日に回るのは4ルートで50〜60軒くらいです。

――倉庫業やパソコンの配送なども行っているそうですね。

 倉庫業も運送同様にローランドが得意先なんですが、その主な業務内容は楽器のレンタル収入と商品カタログの発送です。レンタル収入というのは、ローランドが全国で音楽イベントを行うにあたり、シンセサイザーやエフェクターなどの楽器を当社が期間中レンタルするというものです。その都度浜松の物流センターから持ってくるより、うちを利用した方が便利ですからね。さらに、最近ではパソコンの廃棄やハードディスク駆動装置(HDD)のデータを消去するサービスも手がけています。

――データ消去サービスを始めたのは今年4月に「個人情報保護法」が施行されたことがきっかけですか。

 そうです。専用のソフトを使ってデータ消去するのが今のところ一般的ですが、当社ではお客様の目の前で物理的に破壊する手法を取っています。具体的にはパソコンを分解してハードディスクを取り出し、それを「ハードディスク・クラッシャー」という機械に入れ、油圧で穴(4ヵ所)を開けて壊します。料金は、ハードディスク1台当たり2625円、出張料が1万円です。
 当社の運送は通常ドライバー1人なんですが、ただ電子ピアノに関しては2人体制で行っています。それは大型家具と同様に、お客様(エンドユーザー)の家で電子ピアノを組立・設置する必要があるからです。ツーマンでなければ組立・設置は難しいわけですが、半面、効率はよくありません。そこで電子ピアノを運ぶついでに、スポット的に別な物も一緒に配送すれば、運送効率は高まると考えました。で、最初にやったのがパソコンの配送でした。例えば本社で使っていたパソコンを支店に運ぶとかで、電話帳やインターネットに広告を出し、注文をいただいています。その延長線として、次に産業廃棄物収集運搬業の許可を取り、不要になったパソコンを回収し、中間処理業者へ運ぶ仕事も始めました。これは「リサイクル事業」として現在展開しており、これら以外にも「松下電工」さんの輸送業務も請け負っています。
 前期(04年12月期)の売上は2億7000万円で、うちローランド関係が約7割を占めています。


部門ごとの売上、変動費の動きを毎月チェック


――平成9年に『FX2』を導入されたと聞いています。

木内太郎税理士 当時の経理部長(定年退職)がTKCの新聞広告を見て、『このソフトがいい』ということで……。知人を通じて当事務所が関与させていただきました。

 当社はローランドの連結対象ではありませんが、やはり上場企業の関連会社として恥ずかしくない経理体制を構築すべぎたと前々から考えていました。それは法制に準拠し、かつタイムリーに財務状況を把握できる仕組みにすることを指しますが、『FX2』はそれにピッタリのソフトでしたね。

――部門別の業績管理は。

中原徹監査担当 運送事業、倉庫事業、リサイクル事業、松下電工(照明分室)、プリマ楽器(都内の大手楽器卸売会社)、共通部門の6部門に分けています。それぞれの売上、変動費、限界利益、固定費の動きを、冠社長は毎月チェックしています。

 陣容は、運送事業が11名、倉庫4名、リサイクル1名、松下電工3名、プリマ楽器2名、共通部門10名となっています。売上構成比は、運送事業が4割、倉庫が3割、松下電工とプリマ楽器がそれぞれ12%で、リサイクル事業が約6%となっています。

――部門によって粗利益率はやはり違うのでしょうか。

 違いますね。運送事業と倉庫事業の限界利益率は比較的高いのですが、リサイクル事業は低いです。ただし、運送事業もここにきて燃料代が上がってきているので、要注意ですね。ちなみに運送事業の変動費で大きいのは、燃料代、高速代、業務外注費(傭車)の3つです。

木内 ひと頃軽油は1リットル当たり60何円でしたが、現在は90円くらいになっています。だからどの運送業者さんも、今は高速代より燃料代の方に目がいっています。

――運送部門の粗利益率を上げるために、何かされましたか。

 当社独自の「運行予定表」でコストチェックするように改めました。これはドライバーが「何月何日は、A店が何時〜何時、B店が何時〜何時、C店が何時〜何時……」という具合に明日の運行スケジュールを作成し、それと「結果」を照合して、問題点があれば改めるというものです。例えば当初18時に作業が終わる予定になっていたのが、1時間30分延び、その分残業になってしまった場合、なぜそうなったのかという原因を部門長とドライバーが話し合って見つけると同時に、その改善策も考え、それを部門全体で生かすようにしています。いわゆるPDCAサイクルを回して、運送の品質と生産性の向上をはかる仕組みにしたということです。


社員・パートの残業代は『PX2』で管理


――人件費に関しては、TKCの『戦略人事給与情報システム(PX2)』を導入されていて、そのデータを月末に『FX2』に連動させているそうですね。

中原 はい。『PX2』でも『FX2』と同条件になるように6部門に分けていますが、加えて支給項目ごとに仕訳科目を登録し、その際補助コードも利用しています。例えば社員の場合、賃金「5431―A」が基準内賃金、賃金「5431―B」が時間外手当とし、パートの場合も科目コードは社員と区分していますが、管理の仕方は同様です。こうすれば部門ごとの人件費を正確につかめますので、今月残業代が最も多い部門はどこかなどがわかります。

木内 『PX2』で補助コードを使っているのは賃金だけでなく、「旅費交通費」もそうです。

中原 とにかく冠社長は「数字」を細部にわたって分析するのが好きな経営者といえます。例えば「減価償却費」の場合、デュオさんでは(設備投資の)ほとんどがトラックなんですけれど、その車体ナンバーを部門ごとに把握しています。つまり、運送事業は何番〜何番で、その年間の減価償却費はいくらなのかをつかみ、それを12ヵ月で割った金額を『FX2』に毎月入力しているわけです。こうしなければ、月次の部門ごとの「貢献利益」を正確につかむことはできません。

 ここの流通センター(本社)の土地は借り物で、その地代家賃は倉庫料として倉庫事業部に計上し、また近くに借りているトラックの駐車場代に関しては運送事業部、松下電工部で使用する台数に応じて割り出し、『FX2』に入力しています。
 つまり変動費にしろ固定費にしろ、コストが発生する「単位」ごとにつかんで業績管理しなければ、どこをどのように改めればいいのかが見えてこないからですね。

――経理担当者などの共通部門にかかるコストは、何を基準に配賦しているのですか。

木内 売上比率(全社売上÷部門売上)で配賦しています。

――最後に今後の抱負をお聞かせください。

 これまでは経営の現状分析にウエートを置いてTKCシステムを使っていたわけですが、今後は『継続MAS』で次期の予算を会社全体だけでなく、部門ごとにも作成し、それを『FX2』に落とし込んで予実管理ができる仕組みにしたいと考えています。やはり部門長に「目標」を持たせ、その達成度で評価する仕組みに変えた方が、やる気も高まるでしょうからね……。数年以内に「プライバシーマーク」を取得するなどして、年商5億円を達成したいと考えています。

(本誌・岩崎敏夫)


会社概要

代表者 冠 秀雄
業 種 一般貨物運送業
所在地 東京都江戸川区南篠崎町1‐7‐4
TEL 03‐5243‐8994
売上高 2億7000万円
社員数 31名(パート含む)
U R L http://www.duo-corp.co.jp/
顧問税理士 木内太郎税理士事務所


 
CONSULTANT'S EYE
経営分析に興味を持つ社長の“知恵袋”となる
木内太郎税理士事務所  監査課長 中原 徹
東京都江戸川区西小岩1ー27ー20 電話03ー3671ー3844

 株式会社デュオさんとは、平成9年10月から関与させていただいており、私が担当者となって6年が経ちました。代表者の冠秀雄社長は、気さくで明るい性格の持ち主ですが、巡回監査時での月次決算報告では細部にわたる数字の分析をされ、現状と課題を鋭く質問される勉強熱心な方です。また、コンピュータの知識も深いため、TKCシステムの利用について、常によりよい方法を提案できるように心がけています。
 同社では、本業である運送事業以外に、その運輸サイクルの中で生じる「デュオに今できること」を模索し、新規事業を開発・展開しています。『FX2』『PX2』は、関与と同時に導入されております。とくに損益計算については現在6部門に細分化し、各部門の人件費を『PX2』によって厳密に区分することで、部門別の生産性や、異常値の発見など、戦略経営するうえで有益な情報を把握できるようにしています。また、社員には、その財務資料を開示し、会社の現状や各部門の問題点を認識させることで、社員間の競争意識を高め、業務品質の向上へと結びつけております。
 このような経営姿勢のため、毎年同社の業績はよく財務体質も極めて高く、また「書面添付制度」の活用によって金融機関からも高い評価を得ております。一方で、近年の環境問題の高まりから、いち早く排ガス規制の対応なども行っています。
 今後は、さらにTKCシステムを有効活用する狙いから業績連動型の賃金制度を導入したり、共通費の配賦基準の見直しなどを行っていく予定です。いずれにしろ、常に的確な意思決定ができるよう同社を全面的にサポートしていく所存です。