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鹿児島の西酒造は、160年の歴史を誇る老舗の焼酎メーカー。同社の指揮を執る西陽一郎社長(34)は、伝統と革新を融合させたこだわりの芋焼酎を次々と開発し、10年あまりで年商を20倍に拡大させた辣腕経営者だ。西社長がいま、さらなる飛躍のための戦略ツールと位置づけているのが、『FX4WebBASE』である
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■商品力と独自販路強みに急成長を実現
――「宝山」(ほうざん)という焼酎の老舗蔵元だと聞いています。
西 弘化二(1845)年創業で私が八代目になります。東京農大を卒業して12年前にこちらへ戻り、2003年に社長に就任しました。
――戻ってきた約10年前の年商が2億4000万円。それが前期は48億円にまでなった。急成長の要因は何だったのでしょう。
西 こちらに帰ってくるとき、私には「芋でつくった酒のうまさを世に問いたい」という思いがあった。それで最初に『富乃宝山』を手掛けました。これは黄麹を使った焼酎で、「ロックで飲んでもらえる焼酎」というコンセプトで開発したものです。以降、かめ壷仕込みなど伝統的な手法にこだわった『吉兆宝山』、白麹を使った『白天宝山』、樽で寝かせた『天使の誘惑』などと種類を増やしてきた。いま銘柄数は15を数えますが、そうして「芋焼酎」にこだわってやってきたことが、結果的に現在の業績につながったと感じています。
中村顧問税理士 これまでに斬新な焼酎を次々と開発してこられた西社長は、昨今の焼酎ブームの仕掛け人のひとりともいわれています。
――つまり商品力が強みだということですね。それぞれの商品は製造工程も違うのですか。
西 基本は同じです。まず麹をつくって、麹が一番大事なんですけど、それに水と酒母を掛け合わせ1週間発酵させて1次仕込みを行います。さらに2次仕込みで芋を加えて9日間。最後に蒸留したものが焼酎です。それぞれの商品の特徴は、「黄麹」「白麹」(共に米麹)「芋麹」といった麹の種類、「黄金千貫」「綾紫」「紅東」といった芋の品種、さらに温度管理や蒸留方法などを変えることで出していきます。
――製造期間は限られるのですか。
西 以前はサツマイモの生産時期である8月から12月に限定されていたのですが、いまは芋を急速冷凍する技術ができて四季醸造が可能になっています。年間生産量は3万石(約5400キロリットル)で一升瓶に換算すると300万本です。
――販売はどのように?
西 特約店制度をとっていて、小売店に直に卸しています。問屋を通じてスーパーやコンビニなどの量販店に卸すということは基本的に行っていません。いわゆる“こだわりの酒屋さん”と取り引きさせていただいています。特約店の数は約200軒。当社のように小売店との直取引に特化した蔵元は少ないと思います。
――独自の戦略をとっている…。
西 初めから意識していたわけでないんです。最初は問屋さんと一緒に全国の小売店を虱潰しに回ったのですが、その過程で当社と同じ哲学を持った小売店さんと出会えた。それが200軒の特約店になった。
――時間と手間がかかりそうですね。
西 正直、大変でした。一歩一歩やってきた。その意味では自分で流通をつくったという自負はあります。
私は消費者の方々に作り手の“思い”までも味わってもらいたいんですよ。そのためには当社の焼酎の「語り部」が必要で、それが特約店の方々。大手スーパーなどで販売するのもひとつの選択肢ですしけして否定はしませんが、うちの焼酎の売り方にはあわないと考えています。
――商品力が最大の訴求点ですから、御社も特約店も価格競争に巻き込まれることがないのでは。
西 価格以外の価値で勝負しているので、当然小売価格は安定しています。今期の売上予測が60億円ですから、単純平均で特約店一店当たり3000万円の売上。これは中小酒店では結構大きい。粗利率が一定で収益性もあるのでメリットは感じていただいていると思います。
ただ、一升2、3万円もするプレミア(稀少品)にはしたくない。誰でも手軽に買ってもらえるように2千数百円(一升)を中心価格帯にしています。消費者、特約店、当社の三者みんなが満足できるのが理想だし、その方向で努力しています。
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■さらなる収益性向上に向けて4部門別の管理体制構築に着手
――焼酎業界ではひとつの蔵元で多くても数銘柄が主流のようですが、御社は10数銘柄を展開する少量多品種生産です。生産効率と収益面で他社よりも不利な点はないのですか。
西 確かに銘柄を絞れば効率はよくなるでしょうが、これは基本方針なのだからしょうがない。それに販路がしっかりしているので利益もきちっと確保できている。特約店には年間の予定販売数量を出してもらい受注生産しているので、生産計画が立てやすいんです。
とはいえ、当然ですが課題もあります。そのひとつが財務管理体制の強化で、現在、来期から部門別業績管理体制に移行する準備を進めています。
――昨年9月から『FX4』を導入していますがこれはその一環ですか。
中村税理士 関与を開始した2003年に『FX3』を導入いただき、今期から『FX4』にリプレースしていただきました。いまは「研究開発」「製造」「製品」「総務」の4つに分け、業績を管理するための体制の構築を進めています。入力関係のルール整備や部門経費設定などを進めている段階です。
――部門別管理を行う狙いは?
西 製品課を例に挙げると、ここは瓶詰めやラベル貼りを行う部門なのですが、いまはどうしても日によって完成本数にバラツキがあるんです。そうするとかかる人件費は一緒ですから、利益にブレが出てきます。同様に各部門それぞれに課題がある。部門ごとの業績推移を継続的にチェックしていけば、こうした課題の抽出と原因分析がこれまでより詳細にできると期待しています。
またそうして部門別管理で無駄をなくし一層の利益向上が図れれば、当社の強みである新商品開発への投資も増やすことができます。商品開発は試行錯誤の連続。酵母や酒母の量を変えたりしながら、トライアンドエラーを繰り返さないといけない。しかもできた商品が100%消費者に受け入れられる保証もない。実際失敗もたくさんありました。商品だけでなく最近は環境配慮型の製造システムも求められています。そういったものも含めた開発のための投資予算をいかに手当てするかが経営戦略上大変重要なんです。
――研究開発費はどれくらいかけているのでしょう。
西 ここ1、2年は2億円くらい。たぶん県内の焼酎メーカーでは一番多いのではないでしょうか。
――『FXシリーズ』を導入する前から業績管理には力を入れてきていたのですか。
西 いえ、恥ずかしい話なのですが、中村先生にお願いするまでは月次決算ができていなくて、決算月にならないと利益額を把握できないような状態でした。『FX3』を導入したのも、タイムリーに業績が把握でき迅速な月次決算が可能という点にメリットを感じたからなのです。加えていつでも予測数値でもって業績着地点のシミュレーションも行える。導入してから節税対策などで期末にバタバタすることも減りましたね。
昨年『FX4』にしてからは、ネットワーク回線で私の自宅からも業績確認ができるようにもなりました。経営者は常に会社の業績が気になるものですからこれはもの凄く有り難い。ちょっとでも気になることがあると、夜中でも《全社業績の問合せ》の画面を開いて見ています。お陰様で先を見据えての次の一手が打てるようになってきました。後手に回る経営を続けていたら、いまの当社はなかったと思います。
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■世界を意識した焼酎づくりにチャレンジし続ける
――最後に今後の展望を
西 いまは成長の踊り場だと感じています。現状の社内体制だと年商60億円が適正規模。今後も成長するためには社内体制の強化が重要になる。部門別業績管理体制の構築もそのためだし、社員の質ももっと高める必要があると感じています。当面の目標は年商100億円クラスの企業と同等の社内体制ですね。私はまだ34歳ですから今後もチャンスはある。そのとき勝負できるだけの体制を数年かけて固めていきます。
――チャレンジという点では、小売り進出なども考えられますね。
西 それはない。特約店との共存関係が崩れますから。本分はあくまでも焼酎づくり。世界にはウイスキーなどたくさん蒸留酒がありますが、それらに負けない焼酎を造っていきたいですね。
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| (西日本統括・原田芳徳/本誌・千葉博文) |
| 会社概要 |
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| ■代表者 |
西陽一郎 |
| ■業 種 |
焼酎製造 |
| ■所在地 |
鹿児島県日置市吹上町与倉4970-17 |
| ■TEL |
099-296-4627 |
| ■売上高 |
60億円(2006年8月期予想) |
| ■社員数 |
41名 |
■顧問税理士 |
中村哲郎 |
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CONSULTANT'S EYE
焼酎とともに生きる社長を支援
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| 中村哲郎税理士事務所 監査担当 白川 誠 |
| 鹿児島県鹿児島市東開町4-112 電話099-263-5191 |
西酒造株式会社さんとは平成15年3月からのお付き合いで丸3年になります。関与を開始した当時は鹿児島の焼酎業界全体が飛躍的に拡大しはじめた頃で、西酒造さんもまた急発展していました。そうした背景もあって、西社長はそれまで以上に業績管理の重要性を感じていました。そこで、既存の他社の販売管理システムとの連動を確認した上で、すぐに『FX3』を導入していただきました。
その後、「全国小売店との商談などで出張した際にも出先から業績確認をしたい」という社長の要望もあり、平成17年9月から『FX4』へと移行しました。以来、西社長は、自宅にいても頻繁に画面を開き業績の推移状況をチェックするなど、『FX4』をフル活用されています。
このように大変業績管理を重視されている西酒造さんですが、さらなる管理体制の強化を図るために、現在、部門別業績管理体制の構築を進めているところです。これにより来期からは、『FX4』で「製造課」「製品課」「研究開発課」などの部門別に、これまでより詳細に業績を把握することが可能となる予定です。
同社の経営指針は、「1.焼酎を醸し世の中に旨さで貢献します 2.焼酎文化を創造し伝えていきます 3.焼酎を醸す事で人を育てます」です。この指針の先には「焼酎を日本の国酒に」という社長の夢があります。周知のように昨今は空前の「焼酎ブーム」といわれていますが、社長は焼酎を単なる「ブーム」でなく「文化」へと高めるため、「焼酎とともに生きていく」という熱い意志をもって社業に取り組んでいます。
当会計事務所も西社長の“夢”の実現の一助となれるよう、今後とも経営助言・指導を通じて全力でご支援させていただきたいと思います。
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