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徳島大水魚市は、徳島中央卸売市場の水産物卸売業者として50年以上の歴史を持つ老舗。が、近年の競争時代を勝ち抜くため、かつての「殿様商売的」マネジメントをかなぐり捨て、緻密な財務管理に基づく戦略経営を強く志向しつつある。1年半前、TKC『統合型情報会計システム(FX4)』導入を決断した蔵本博昭社長(56)に話を聞いた。
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■売上高至上主義から利益重視経営への転換
――徳島中央卸売市場で卸売業を営まれているとお聞きしましたが、具体的な業務内容を教えてください。
蔵本 中央卸売市場とは農林水産大臣の認可を受けて、地方公共団体(主に都市)が開設しているもので、ご承知の通り全国各地に点在しています。徳島中央卸売市場では水産と青果を扱っており、当社は、昭和48年に市場が開設されるとともに入場しました。
我々の仕事の基本は、漁師さんや産地仲買人などから持ち込まれる水産物を、仲卸業者や売買人に販売することです。仕入れは「買付」と「受託」に分かれ、現在は8割近くが買付での扱いになっています。
――受託が減り、買付が増えてきたということですか。
蔵本 はい。受託は安定的な、いわば手数料ビジネスですが、近年の飽食の時代に、このスタイルだけで通用するはずがありません。多彩な食品が様々なルートで消費者に届けられる競争の時代ですからね。やはり、きっちりと買い付け、自らの計算で売値を決めていく体制がベースにないと競争のスタートラインにもつけない。
――つまり、「国の認可業者」というステイタスはあまり役に立たなくなりつつあると。
蔵本 ええ。要は制度疲労が起きつつあるということです。従来は取り扱い金額さえ分かっていれば利益はつかめていたから、経営陣も楽なものでした。規模の拡大が至上命題ですから、それこそイケイケドンドンで取り扱い高を増やしていき、ピーク時には160億円の年商を記録したこともあります。また、全国に先駆けて転送という形で県外の卸売業者や小売業者に流したり、積極展開も行ってきました。
ところが、次第に売上高至上主義では行き詰まってしまう実態が見えてきた。仲卸などの取引先が突然倒れ、売掛金が焦げついたりという事故のほかにも、たとえば、東京に水産物を転送するにしても様々な業者との競争になるので、運賃分の赤字が出てしまったりということもある。そんな状況に打ち勝つためには集荷・販売の考え方を変えて、利益重視の戦略的な経営をしなければならなくなったというわけです。
――そのために何をされましたか。
蔵本 20年ほど前、販売・購買管理など基幹システムを導入しました。これは業界でもかなり早い方で、いまのシステムはもう5、6世代目になります。ところが、しばらくは請求書を発行したり、仕入の計算をしたりという実務的なところに留まって、そのデータを経営に活かしていくにはほど遠い状態が続きました。要は財務の部分を置き忘れてしまっていたんですね。なにしろ毎月の試算表さえつくれていませんでしたから。
――それが改善されたのは?
蔵本 15年ほど前に、片山(隆司公認会計士・税理士)先生の事務所にお世話になるようになってからです。そこから毎月の試算表を出し、月次決算のスタイルになりました。また、「変動費管理」「限界利益管理」というTKC独特の概念を植え付けていただけたのも大きかった。
――というのは?
蔵本 変動費と固定費を厳密に区分し、限界利益を強く意識する経営は、以前はまったくできておらず、言葉さえ知らなかった。せいぜい、ラフな形の粗利益管理をやっていた程度だったのです。実はそれが、一昨年の秋に『FX4』を導入した最大の理由なんです。
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■5部門ごとの変動費管理でタイムリーな行動を実践
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――『FX4』導入の際には他社製のソフトと迷われたそうですね。導入経緯を教えてください。
蔵本 背景からお話ししましょう。前述したような環境変化に対応するため、当社では6年前に第1次中期経営計画(3年)を立てたのですが、はかばかしい成果は上げられませんでした。その反省から第2次の計画では財務管理を前面に打ち出すことにしたんです。そのときちょうど、基幹系システムの変更時期にも当たっていたということで、財務システムも含めた全面的なシステムの見直しをするべきだろうと…。
片山公認会計士・税理士 最初は『FX4』ではなく『FX2』のプレゼンを受けられました。ちなみに、それまでは他社製の財務ソフトを使っておられたし、基幹系システムを供給してもらっているメーカーからも財務システムの提案を受けておられたそうです。ですからそっちの選択肢もあったんですね。
蔵本 でも、『FX2』は、変動費管理や限界利益管理を正面から打ち出している。これは他社と違うなとまず感じました。
――『FX2』ではなく『FX4』にされた理由は。
蔵本 基幹系システムと連動することができるからです。とにかく、販売・購買管理を財務と連動させて、戦略的な経営をしていきたかった。それが、第2次中期計画の目玉でもありますしね。
それから、他社製ではなく『FX4』にした理由は、なんといっても片山事務所の強力なバックアップのもとに運用ができるからです。有能な会計事務所がついてるわけだから、当然信頼性も高い。
――導入されてみていかがですか。
蔵本 一昨年の10月に導入したばかりですから、この3月期でようやく年度フルのデータが積み上がります。そのため、まだまだ十分に使いこなしているとは言い難い状態ですが、とりあえずは部門別管理は機能するようになってきました。毎日の数字が基幹系の販管システムから夕方にどっと流れ込んでくる形ですから、即日最新の財務データを見ることができるようになりました。
――どういった部門分けをされていますか。
蔵本 青物太物課、近海課、冷凍課、養魚・特種課、塩干・加工食品課の5つに、スタッフ部門を加えて計6部門で管理しています。また、青物太物課と近海課が営業第1部、残りの課が営業第2部として、大くくりでの数字も出しています。
つまり、2階層に分けた部門別管理ですね。これらの数字は、部門長クラスにはすべてオープンにしており、結果としてタイムリーかつ緻密なアクションが全社的にとれる状態になりつつあると思います。
――業績の進捗管理はどのような形でされていますか。
蔵本 四半期ごとの業績検討会で、予算達成率などを議題の中心にしながら行っています。販売・購買システムのデータと『FX4』から出力されたデータを織り交ぜ、いろんな角度から話し合います。基本的には、事実の確認と原因の追求ですね。
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| ■株式公開に向かってより緻密な管理体制の構築へ |
――現在、もっとも大きな課題は何でしょう。
蔵本 主に冷凍課と塩干・加工食品課で発生する在庫の管理ですね。この在庫適正化の手順や方法については繰り返し話し合っているのですが、なかなか結論が出ないというのが実情です。事実を把握するところまではできても、アクションプランの部分が弱い。大分減らしてはきているのですが、まだ3億円近くの在庫がありますからね。これは大きなリスク。もっときめの細かい在庫管理が必要だと思っています。
――人件費管理なども変えられたのですか。
蔵本 賞与を予算化、変動費化しました。全社と各課の目標数値を予算で管理し、その達成率に個人の成績を掛け合わせ、賞与を自動計算で出すシステムをつくりあげています。
――すごいですね。
蔵本 ともかく、当社は、この規模の会社としてはかなりインフラ整備が進んでいると思います。ただ、まだ「実績反映」から前に踏み込めてないのも事実なんです。これを戦略に落とし込み、最終的にはビジネスモデルの衣替えのところまで繋げていかなければならない。Eコマースなんかも含めてね。そういったことが、実はまだ見えてきていない。大きな課題だと思います。
――将来の目標は。
蔵本 我々の業界は、一部大手を除いて情報開示を嫌がる経営者が多い。旧い業界ですからね。でも当社は情報公開をポリシーにしていますから、今後日次決算を実現した上で、最終的には株式公開にまでもっていきたいという考えを持っています。『FX4』がそのような株式公開のプロセスに対応しているのも、採用した理由のひとつでした。であるなら、『FX4』の機能を活用し、より使えるツールにしていけばいくほど、株式公開に近づくことになるということもできる。TKCやすばる会計さんにはいままで以上に熱心なコンサルティングを強く要望したいですね(笑)。 |
| (本誌・高根文隆) |
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| CONSULTANT'S
EYE |
| 『FX4』が導く組織の整備・活性化 |
| 税理士法人すばる会計 第一事業部部長 近藤史人 |
| 徳島県徳島市中洲町1-45-3 電話088-622-6767 |
徳島大水魚市の今年4月に就任された蔵本社長とは、総務部長の頃から監査担当者としてお付き合いをさせていただいています。仕事面では厳しく、仕事外では気さくで面倒見が良く…といったメリハリの効いた人間味のある方です。
蔵本社長はもともと、管理会計・経営戦略会計の必要性を認識されていて、組織を整備、活性化するとともに業績管理をもとにした経営改善をしたいと考えておられました。そのため、早くからパソコンを従業員に一人一台与え、事務処理のIT化にも取り組まれました。
『FX4』導入は、当時専務だった蔵本社長に、当すばる会計主催のTKC経営革新セミナーに出席いただいたことがきっかけでした。その際、『FX2』の変動損益計算書による管理システムのデモンストレーションに蔵本社長が興味を持たれたのです。後日、同社の基幹システム(販売・仕入・在庫システム)が新しいものに変更されることになり、その基幹システムと連携できる『FX4』をTKC担当者とともに提案することで、導入の運びとなりました。
従来は毎日仕訳を起こしていましたが、いまでは入力していた基幹システムからのデータが正確に仕訳連携され、予実比較などリアルタイムの業績把握が可能になりました。各種の数字は営業会議に活用され、とくに部門別業績管理表は部門会議の資料として活用され、営業成績の向上に役立っています。
社長は「会計人が考えただけに、良いシステムだと思う」と喜んでいただいていますが、導入して未だ1年に過ぎず、完全には使いこなせていないのが現状です。早く『FX4』の機能をフル活用できるようサポート体制を万全に整え、新社長がより手腕を発揮できるよう、可能な限りのお手伝いをしていきたいと思っています。
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