インターネットを利用して英会話サービスを提供する「フォーハーフ」がいま業界の注目を集めている。同社の亀井秀郎社長(41)は「英会話サイトでは国内トップを走っており、数年後には株式を公開したい」といっている。そこで亀井社長に事業戦略と、
――インターネット系ベンチャー企業ということですが、主にどのような事業を行っているのですか。
亀井 主力事業は2つあります。1つは携帯電話向け「公式コンテンツプロバイダー」事業です。日本の携帯電話の利用者数は9千数百万台に達しており、その大半の端末がインターネットに接続されていて、通話以外のサービス(モバイルコンテンツ)を利用しています。一般によく知られているコンテンツは「ゲーム」や「着うた」などですが、当社が開発・提供しているのは「eページ」というメールを打つ感覚で、簡単にホームページが作成できるものです。利用料金は月額315円。これをソフトバンクモバイル、auさんに提供しています。ソフトバンクモバイルさん等では毎月通話料と一緒に公式コンテンツ代をユーザーに請求し、当社はその10数%(1件当たり)を手数料としてソフトバンクモバイルさんなどに支払っています。
――もう1つの事業は……。
亀井 2年前に始めたオンライン英会話サイト「イングリッシュチャネル」(eラーニング部門/http://www.english-ch.com)です。リアルな世界での英会話学校は国内にたくさんありますが、総じて料金が高いです。そこで、インターネットを使えば“安くて質の高い英語を仕入れることができるのではないか”と考え、イングリッシュチャネルを開設したわけです。具体的には、フィリピンの「チューター(講師)センター」と日本の一般家庭・オフィスなどをインターネットで結び、英会話サービスを提供するというものです。英会話セッション(1回50分)は毎日10時〜深夜25時(予約はセッション開始5分前)までで、自分の都合のよいときに参加できます。月額料金は6090円で、大手英会話学校の20分の1〜10分の1程度の価格です。現在の利用者数は約3000名。インターネットに接続されたパソコンとマイク付きヘッドフォンさえあれば、誰でも簡単に利用できます。フィリピンに目をつけたのは、世界で3番目に英語を話す人が多い国だからです。最近ではコールセンターを設置する欧米企業も出てきています。現在、チューターセンターは2ヵ所あり、講師陣は約60名。すべての講師はフィリピン大学などの学歴を持ち、教員免許などの有資格を中心に雇用しています。この事業は「フェアトレード」(公正な貿易)の一面を有しており、フィリピン総領事館(大阪)の後援も得ています。フェアトレードは本来一次産品が対象ですが、我々はインターネットで物品の代りに「言語」を適正な価格で輸入しているわけです。
――利用者は自分の「英語力」に応じてレッスンを受けることができるのですか。
亀井 英会話のレベルを「プレビギナー」から「プロフェッショナル」まで7段階に分けています。約60名の講師は、それぞれどのレベルを担当するのか決まっており、利用者は「アイコン」(講師ごと)をクリックすれば、例えば「A講師はプレビギナーで、今日は何時から何時まで授業を行う」ということがわかります。授業は基本的に英語のみで、講師1人に対し生徒1〜5人です。
コンテンツプロバイダー(CP)事業はライバルが数多く存在していますが、こちらの、英会話サイトはニッチを突いたビジネスのため、当社がトップを走っています。
――平成12年6月に『FX2』を導入されたと聞いています。
亀井 ええ。その頃、知人を通じて定行敏弘税理士事務所の高橋一彰さん(所長代理)と知り合い、顧問になっていただきました。高橋さんと岸川直隆さん(監査担当)の助言・指導で『FX2』を導入し、現在では部門別に分けて業績管理を行っています。
――部門別はCP事業とeラーニングに分けて行っているのですか。
高橋一彰所長代理 そうです。今月のCPとeラーニングの損益がどうなっているのかとか、どちらにどれだけ投資すればいいのかなどを、タイムリーにつかむために活用しています。
亀井 試算表は毎月全社員に公開しています。2006年3月期の売上は約1億1000万円ですが、eラーニングはいま倍々ゲームの勢いで売上を伸ばしています。
陣容は、CP部門は社員とアルバイトを合わせて13名。一方、eラーニング部門は社員とフィリピンにいる講師、ネットワークエンジニア合わせて70数名。そして、両部門のシステム開発を担当する部隊として「制作部門」があり、本社に経理・事務担当者がいます。つまり、CP部門の変動費はソフトバンクモバイルさんなどに支払う「手数料」で、eラーニング部門のそれは「講師代」くらいです。講師代は「外注費」という形で経理処理しています。
高橋一彰所長代理 制作部門数名の人件費に関しては、今月どちらにどれだけ作業したのかという割合で、CPとeラーニングに配賦しています。
――粗利益率はどちらの方が高いのですか。
亀井 ラーニングですね。利用者1人当たり単価が高いからです。当社では期首に今期の予算を設定し、経常利益の20%をボーナスに還元することを公言しています。このため、両部門長とも毎月『FX2』の帳表を見て「このままで行ったら、上期または下期のボーナスはこれくらいになりそうだ」ということをつかみながら経営にあたっています。
――売上や粗利を増やしていくためには、販促が欠かせませんが、御社の場合はどのような方法で行っているのですか。
亀井 とくに英会話サイトに関していえば、最近注目されている「キーワード広告」(検索エンジンの広告欄に表示される広告)と「アフィリエイト」(成果報酬型広告)を活用しています。キーワード広告に関しては、グーグルの「アドワーズ」とヤフーの「オーバーチュア」を使っていて、アフィリエイトに関してはバリューコマースなどの専門業者が運営するAP(アフィリエイトプログラム)に加盟しています。現在6社のAPに加盟し、当社の広告を、ホームページやブログに掲載してくれている「アフィリエイター」は約1万件です。毎月、これらの広告に70〜80万円使っています。
高橋所長代理 インターネット上で一人ユーザーを獲得するためには、1〜2万円かかるのが普通です。
亀井 今期の売上目標を設定するにあたり、そのベースになっているのは両部門ともユーザー数をどこまで伸ばすかにあります。つまり、どう行えばユーザー数を増やすことができるか、どうすれば退会を防ぐことができるかを考え、その戦略に基づいて「この月は広告宣伝費をこれくらい使う」というふうに、期首に販促の予算を立てています。
――ユーザー数が増えるにしたがって、eラーニング部門ではチューターセンターなどの「インフラ」を整備しなければなりませんね。
亀井 そうです。それで先月(今年9月)に、郊外にあったチューターセンターを「マカティ」という都心に移し増床しました。現在は、そことケソン市にチューターセンターを設置しています。当然、そうした設備投資を行えば、その分経常利益が喰われてしまうわけですが、eラーニング部門は今が攻めどきだと考えており、広告や投資にかなり力コブを入れて行っています。
――両部門とも現金決済ですか。
高橋一彰所長代理 CP部門は1カ月後にキャリア(携帯電話通信事業者)から振り込まれ、eラーニング部門は年払いする方もいるので、資金的にはうまく回転しています。
亀井 年払いについては「前受金」として処理しており、毎月『FX2』の資金繰り計画表で管理しています。
――将来的には『FX2』から『統合型会計情報システム(FX4)』へ切り替えるとうかがっています。
亀井 ええ。数年後に株式上場を果たしたいからです。株式上場となれば、セグメント情報やキャッシュフロー計算書などを4半期ベースで公開しなければなりません。そのためには『FX4』に切り替える必要があります。いずれにしろ、イングリッシュチャネルの付加価値を高めていき、3年後には年商5億円を達成したいと考えています。
(神戸SC・芝谷 晃/本誌・岩崎敏夫)
| 名 称 | ● | 株式会社フォーハーフ |
|---|---|---|
| 代表者 | ● | 亀井秀郎 |
| 業種 | ● | インターネット英会話サイトの運営 |
| 所在地 | ● | 兵庫県加西市青野原町188 |
| TEL | ● | 0790-47-8001 |
| 売上高 | ● | 1億1000万円 |
| 社員数 | ● | 22名(アルバイト含む) |
| URL | ● | http://www.fourhalf.co.jp |
CONSULTANTS´ EYE
部門別業績管理の徹底で“社長の夢”をサポート
所長・税理士 定行敏弘
税理士法人タックスブレイン(定行敏弘税理士事務所)
兵庫県加西市北条町横尾1107 電話0790-43-0001
HP:http://www.tkcnf.com/tax-brain/pc/
フォーハーフさんの亀井秀郎社長とのつきあいは6年になります。知人で、当事務所の顧問先でもある浜本保険株式会社社長から顧問依頼があったのがきっかけです。同社は3月決算で、規模がまだ小さく申告期限も迫っていたので、当初お断りさせていただきました。しかし、再度の依頼を受け、当事務所の高橋一彰所長代理がお会いし、亀井社長の会社に対する情熱と物の考え方に惚れ込み、お引き受けすることにいたしました。以来、事務所をあげて支援しています。
関与当初から『FX2』を導入していただきました。経営状態をいろいろな角度から分析するため、『FX2』の部門別業績管理を活用しています。これによって、今後伸ばすべき部門、どの部門に資金を重点的に投資すればいいのかなどを戦略的に決めています。顧問を開始した年に日本アジア投資さんから3000万円の出資を受けたり、また公認会計士監査を受けたりしましたが、折しもITバブルが弾けた時期でもあったため、株式上場には至りませんでした。
亀井社長の発想や着眼点はずば抜けており、次々と新しいアイデアを実行に移しています。とくに2年前に始めたオンライン英会話サイト「イングリッシュチャネル」は業界の注目を集めており、順調に業績を伸ばしています。これは今のところ先行投資的な部分もありますが、フィリピン総領事館の後援も得ており、社会的に意義のある事業だと見ています。同社は数年後には株式上場を果たしたいとのことであり、当事務所としても全面的にそれをサポートしていきたいと考えています。