「黒字決算」のための財務戦略――システム事例2

統合型会計情報システム(FX4)ユーザー 
株式会社壮関
自慢の開発力と緻密な業績管理で株式上場へと突き進む

 コンビニのおつまみコーナーに数年前から忽然と登場し、いまでは定番商品となっている「茎ワカメ」。これを最初に開発したのが、栃木の中堅食品メーカー・壮関だ。斬新な商品の市場投入で急成長してきた同社は、いま株式上場を目指し業績管理体制の強化に取り組んでいる。関雅樹社長(38)と同社を指導する加藤雅治税理士に話を聞いた。

株式会社壮関

■「茎ワカメ」が大ヒット!
   商品開発力で急成長を実現

――おつまみの「茎ワカメ」が大ヒットしていると聞いています。

 もともと当社は横浜を本社に貿易会社からスタートしたんです。設立時に食品輸入を手掛けたことで食品流通ビジネスに参入し、その後、自分で商品をつくりたい気持が強くなって食品製造業を始めました。

 茎ワカメという商材は、20年くらい前にたまたまあるレストランで食べたことがあったんです。このとき「食感が良くおいしい」と感じたのですが、その記憶が会社を設立してからもずっと残っていた。それと、おいしいのにあまり一般に知られていない。それで「これはオリジナル商品として売れるのでは」と考え96年に開発し発売したんです。

――その予想がズバリ当たった。

 順風ではなかったですけどね。ヒットするまでに2、3年かかりましたよ。発売から99年までの販売量は対前年比で11〜28%増と低調だったのですが、それが2000年にアルミ包装にしたことで火がついてこの年に前年対比56%増、2001年が84%増、2002年59%増と増やすことができました。お陰様で現在、国産原料で製造する「茎ワカメ」では、自社ブランドとOEM生産をあわせて約9割のシェアを獲得できています。

――アルミ包装が転機だったと…。

 当時は珍味・おつまみのアルミ包装はタブーだと言われていたんです。でもどうせ売れないからダメ元でやってみようと…。

 で、アルミで中が見えないかわりに、パッケージにきれいな商品のイメージ写真を掲載して販売した。これでいっきに人気がでました。今では主流になっている珍味のアルミ包装は、実はうちが最初にやったものなんです。

――販売経路は?

 問屋を通じてコンビニと食品スーパーを中心に販売しています。

――コンビニは商品の回転がもの凄く速い。それだけに、いかに継続的にヒット商品を開発していけるかが成長の鍵になると思います。

 はい、新商品はどんどん開発してきました。いまヒットし始めているのは「種なし干し梅」という商品。従来から干し梅は売られていましたが、その種を抜いて販売した。これも当社が最初でした。「種のない干し梅なんて売れない」と問屋さんなどからはずいぶん言われたけど、出したらこれが売れた(笑)。それと「辛子レンコンチップス」もうちの期待の星のひとつ。これも現在、大ヒット街道驀進中です。

 こうして新商品を投入してきことで、5年前まで「茎ワカメ」が売上の9割以上を占めていたのが、今年は5割まで売上構成比が下がりました。だいぶリスクが減っています。

――開発体制はどのように?

 社内で開発チームを組んでいますが、実情はまだまだ私が開発の中心。年に6種類ほど新商品を投入していて、そのうち1個がヒットすればいいほうですね。いまは組織として商品開発できる体制づくりが、当社の課題となっています。

――競合にまねされるケースもあるのではないですか。

 まねされてばかりですよ(笑)。ただどの商品も当社が真っ先に開発したものばかりなので、ブランドイメージがついている。そこが強みとなって勝てていると思います。

――製造はすべて自社工場で?

 ほとんどそうですけど、辛子レンコンのような揚げ菓子は、当社にフライヤーがないので外注しています。新商品を開発してもヒットするのはごく一部ですから、新しく設備に投資するのはリスクが高い。なので自社設備で作れないものは基本的に外注生産にしています。全体の8割くらいが自社製造です。

加藤雅治税理士 壮関さんの工場は昨年10月にアメリカのHACCPも取得しています。わずか10年あまりでここまで急成長したのですから凄い。関社長の経営の歩みは書籍(『成り上がり経営』峯如之介著・ダイヤモンド社)にもなっているんですよ。

■部門別業績管理体制で株式上場を目指す

――株式上場も考えているとか…。

 監査法人からは2008年にも上場が可能だと言ってもらえました。ただ現時点では、上場計画をちょっと見合わせているんです。というのも監査法人のショートレビュー(短期調査)を受けてみて、組織基盤がまだまだ脆弱だと実感したから。そのため加藤先生にお願いし06年3月に『FX4』を導入しました。

 いま当社では、どの部署のコストがいくらで、どれだけ利益を上げているかがぜんぜん把握できないんです。そこで『FX4』で部署ごとに損益管理できるようにと考えています。まだ部門設定などをしている段階で本格稼働はこれからですけど…。

加藤税理士 現在は科目設定など入力関係の整備が完了したところです。経営データが蓄積してきたので、これをどのように経営判断に活かすかが次の段階です。いまはそのための助言をさし上げているところです。社長には「ドリルダウン機能」などに興味を持っていただいています。

 例えば営業経費などを見て「何でこんなに多いの?」というときに、パソコンの画面上で仕訳まで遡って確認できる。この機能は便利ですね。

――具体的にどのような管理体制にしようとしているのでしょうか。

 11月に組織変更を行いました。生産本部という部署を新たに立ち上げ、ここが生産管理、コスト管理、人員管理を行う。工場長一人ではそうした広範囲な管理ができないので、組織的に行おうというわけです。さらに生産本部は、製品チーム、包装チーム、物流チーム、第2工場チームに分かれています。

 こうしたうえで来期(07年度)からは、まず生産本部と本社部門の2部門の利益管理を『FX4』で行えるように準備しています。これができたら今度は、生産本部の各チームまで個別に細かく管理できるように発展させていくつもりです。

――部門別で業績を管理することのメリットは?

 今までは全社で儲かっていれば良いという体制でした。どの部署が何の経費をどれくらい使っているのかが見えず、改善点もあいまいだった。以前から販売管理システムなどを導入していて粗利の管理まではやっていましたが、経常利益については全社業績でしか把握できていなかったのです。今後は部門ごとに損益計算書まで出てくるわけですから、どの部門がどれだけ利益に貢献しているのかが一目で分かります。

 各部門長も、それぞれ自分の部門でどれだけコストがかかり、粗利はいくら出ていて、固定費はいくらで、その結果、経常利益がいくらあがっているかまで把握できるようになります。部門長に対する大きな意識付けになると期待しています。

加藤税理士 壮関さんはこれまで急成長してきましたので、ある意味財務の管理は後回しでも会社が運営できてきました。ただ、今後さらに発展し株式上場まで目指すとなれば、部門別業績管理は必要不可欠です。部門ごとに業績を管理することによって儲け損ないを最小限にでき、さらには部門長の方の管理能力向上も図ることができます。

■販管システムとのデータ連携で
   営業マン別業績管理を目指す

加藤税理士 また、『FX4』は他システムとのデータ連携が可能です。壮関さんではすでに販管システムを入れておられるので、これと『FX4』とのデータ連動も視野に入れています。

 販管システムでは現在、営業マン別の売上高はもちろん、営業マン一人ひとりがどれだけの経費を使っているのかも管理しています。この販管システムのデータをそのまま『FX4』と連携させれば、営業マンごとの経常利益まで効率よく管理することが可能になります。

――営業マンをひとつの部門として業績管理するわけですね。

 そこまでするのが理想ですね。営業マン一人ひとりがどれだけ稼いでいるかが分かると、人員を増やしやすくなるんです。人数が少ないいまは、各人がどのような経費の使い方をしているかがだいたい見えるんです。だから私も「営業経費をどんどん使ってもいいよ」ってある程度鷹揚とかまえていられる。でも営業マンの人員が増えたらそうはいかない。むちゃくちゃになります。きちっと数字で管理できることが営業部門強化の前提になるんです。

――今後の展望について聞かせてください。

 営業戦略としては、これからも新商品を積極的に開発していくこと。後発メーカーの当社がここまでこれたのは、他社が出していない商品を出し続けてきたから。名前も聞いたことのないような中小メーカーが、どこにでもあるありふれた商品を持って営業に行ったって普通はどこも取引してくれませんからね。

――06年2月には「おつまみめかぶ」という商品も出していますね。

 メカブはワカメの茎の一部で湯がいて食べるのが一般的ですが、粘りけが強く加工食品には向いていないといわれていたんです。当社はこれをはじめて固形状のままでの個包装を実現しました。

  『FX4』の導入による財務管理体制構築もそうですが、私は常に新しいことにチャレンジしていきたい。そうした姿勢が、経営で一番大事だと考えているんです。

(栃木SC・阿部和成/本誌・千葉博文)

        
会社概要
名 称 株式会社壮関
業 種 素材菓子製造業
社 長 関 雅樹
設 立 1994(平成6)年2月
本 社 栃木県矢板市こぶし台4-1
TEL 0287-48-3301
売上高 23億円(2006年12月期見込み)
社員数 35名
URL http://www.sokan.jp/
顧問税理士 加藤辰三
加藤会計事務所
栃木県宇都宮市中戸祭町801-5
028-622-8844