相手先のベルを鳴らすことなく電話利用状況を把握する『TACS』(タックス)という画期的サービスで急成長しているジンテック。眼前には無限大の市場が広がり、株式公開も見えてきた。その営業・財務戦略について、内海勝統社長、片平一郎取締役、神山博則顧問税理士、監査担当の飯島知香子税理士に話を聞いた。
――『TACS』という画期的な商品・サービスを手がけておられると聞きましたが、どのようなものなんですか。
内海 TACSとは「全自動電話番号クリーニングシステム」の略で、電話をかけた相手のベルを鳴らすことなく、交換機から自動的に戻ってくる公開信号(切断理由)を読むことで、相手先の電話利用状況を把握するというものです。
――電話の利用状況を知ることで、どんなメリットが?
内海 たとえば通販会社がカタログをユーザーに送りますよね。その未着率はよくて 7%だといわれています。つまり引っ越しなどですでに転居しているところに相当数を送っているわけですね。でも我々のシステムを使えば、それが0.3%以下、ほとんどゼロになる。実際、通販業界大手では、このシステムを使うことで年間100億円単位のコストダウンを実現しています。
――このビジネスを思いつかれたきっかけは?
内海 当社はもともと平成5年にテレマーケティング会社として創業し、大学生を企業の説明会に動員するビジネスを行っていました。自前で買い集めた名簿を元に資料請求ハガキを送り、返ってきたデータに電話をかけて呼び込むというスタイルでした。ところがある年、偽の名簿が混じっていたことで大混乱になり、リストのメンテナンスが必要になったのです。それで、オペレータに電話をさせてメッセージが流れればリストから消すという気の遠くなるような作業を行いました。実は当社は日本最初の「ワン切り」業者だったんですよ(笑)。
――(笑)それを自動化したのがタックスというわけですね。
内海 元NTTのエンジニアを集めてきて1年くらいかけてプロトタイプを開発しました。それを社内で使っていると、ある通販大手の部長さんが是非見てみたいと来社され、すぐに導入いただきました。これは商売になる…ということで、コールセンター事業はきっぱりやめて、こっちに完全鞍替えしたのです。いまでは、通販はもちろん、銀行、生保、クレジットカード業界などからもご利用いただいています。
――売上はどういうふうに立てておられるのですか。
内海 受託とレンタルがありますが、受託では、データ処理料としてリスト1件につき約1円をいただいています。ですから、たとえば前述の通販大手は約1400万件のリストを持っていますから1回につき1400万円。それがもし3ヵ月に1回なら年5600万円ということになります。一方、レンタルは機械そのものを月々代金をいただいてお貸しするという形です。
――タックスを発展させたサービスも模索されていますね。
内海 実は当社では、固定、携帯を問わず日本中の全電話約2億2000万台に毎日チェックをかけており、そのデータを3年分持っています。これを使って、到着率アップはもちろん電話番号の履歴から不自然な情報を読み取り、不正申し込みを未然に防ぐ『テルテルかんていだん』というサービスを2006年1月からスタートしました。それから、その延長線上で、電話番号の変化を指標化して、先方の与信情報に変えるシステム『UZMIC(ウツミック)』をすでに開発しており、まもなく発売の予定です。これを使えば「変更」「都合停止」「転送」など9つのフラグを組み合わせた29万通りの指標によって「倒産企業」「代金未払い」などの可能性が高い顧客を割り出すことができます。つまり、未来を予測するシステムですね。
――かなり早くから『FX4』を導入されたとお聞きしました。
片平取締役 もう5年になるでしょうか。創業以来ずっと『FX2』を使っていたのですが、会社自体が大きくなり、株式公開という目標も見えてきたので『FX4』にバージョンアップしました。つまり、より高度で効率的な財務管理の仕組みが必要になったということです。
神山博則顧問税理士 具体的には、『FX2』では対応できないほど勘定科目数が増えてしまったんですね。それと『FX4』では、勘定科目を階層化して管理できるので、急速に成長し複雑化する業務にも対応できます。株式上場など成長を志向されるジンテックさんにはピッタリだと考えました。
内海 当社では、たとえば売上科目だけでも50くらいあるんです。ほとんどが『タックス』のバリエーションなのですが、顧客の要望に細かく応えてカスタマイズしていくうちに、商品の種類がどんどん増えていってしまった。これらを正確に捉えないと、経営の流れを見失ってしまいます。
片平 『FX4』では、その売上ごと、つまり商品別の細かな管理がなんなくできます。さらにそこにクロスさせて、顧客別管理もできるように設計されています。クリックひとつで商品別はもちろん、取引先ごとの原価や限界利益など損益も瞬時に取り出せるのでとても重宝しています。毎月、巡回監査で飯島(知香子税理士)先生に来ていただいているのも心強いですね。分からなくてもすぐに教えていただけますので。
――会議などでの活用は?
片平 毎月の役員会議で、『FX4』から出力された《変動損益計算書》などのデータをベースにして営業戦略的な議論をしています。当社では新しい開発商品やバージョンアップ商品が次々に積み上がっていきますから、売上の流れを正しくつかんで戦略を打つには、データを統括する効率的な管理ツールが必要なんです。『FX4』はまさに適任だと思っています。
あと『FX4』が便利なのは、他社ソフトと連動できることでしょう。当社でも従来から利用していた販売管理ソフトと連動させています。また、他社ソフトではありませんが給与システムの『PX2』とも連動しています。
飯島税理士 壮もともと『FX2』でかなり詳細な部門別管理をやられていたんですよ。そういう歴史的経緯もあって、なんの障害もなくスムーズに『FX4』の活用に取り組まれ、実際に効果を上げておられると思います。もちろん『継続MAS』を使った予算作成もしっかりと行われています。
また、アカウンタビリティやディスクロージャーは上場企業に求められるべき最低要件です。『FX4』では取引先や金融機関など提出先別や用途別に財務資料を簡単作成できるので、この部分でもお役に立てていると思います。
――株式公開の時期は?
内海 いまは第2コーナーを回ったくらいですかね。来年中にはジャスダックかマザーズどちらかで実現したいと思っています。目的は、「ビジネスモデルを広げる」「透明性をあげる」「設備投資をする」…の3つ。公開するにふさわしい人材もようやく揃ってきました。
神山税理士 発明家としての社長のアイデアや夢をいかに形にできるかが我々の仕事。発明しながら同時に経営を行うのは大変で、いくら内海社長といえども完璧にこなすのはムリです。そこを我々がブレーンとしてサポートする。優れた発明が会計と必ずしも一致するとは限りませんから。その意味でも、株式公開は社長の夢を形にする第一歩。全力で支援したいですね。
――今後の目標は?
内海 上場して、いまのビジネスモデルを面に広げていくことがひとつ。また、人が絡む事業すべてにいわゆる「ウールマーク」のような指標として、当社のサービスが認定されるような仕掛けを考えています。「この企業はちゃんとチェックが入っている」「この人は大丈夫」といったようなね。
それから、当社ではいままでに29件の特許を取得していますが、実はそのほとんどが海外なんです。そろそろ海外での展開も本気で考えていきたいと思っています。
いずれにしても、郵便、クレジットカードホルダー、銀行預金者など、それこそ何十、何百億件の当社のサービスが導入可能な市場が眼前にあります。そこに与信チェックをかけていく。その場合、1件5円くらいでいけると考えていますから、すごい規模のビジネスになる可能性を秘めているということになります。
――CSR活動にも熱心ですね。
内海 06年1月にはジンテック社会福祉基金を創設しました。スリランカからの交換留学生の受け入れ支援、図書・文房具支援、津波被害者への衣類支援などを行っています。企業としてお金はたくさん集めたいと思っていますが、もっと大事なのはそれを再配分すること。これからの企業に欠かせないのは、社会の役に立つ仕組みを持つことだと思っています。
(本誌・高根文隆)
| 名 称 | ● | 株式会社ジンテック |
|---|---|---|
| 業 種 | ● | リスクマネジメント等 |
| 社 長 | ● | 内海勝統 |
| 設 立 | ● | 1993(平成4)年4月 |
| 本 社 | ● | 東京都千代田区二番町11-7 |
| TEL | ● | 03-5276-3301 |
| 売上高 | ● | 約15億円 |
| 社員数 | ● | 約50名 |
| URL | ● | http://www.jintec.com/ |
| 顧問税理士 | ● |
神山博則 博英税理士法人 東京都中央区銀座1-6-5 03-3566-9000 |