「黒字決算」のための財務戦略――システム事例2

統合型会計情報システム(FX4)ユーザー
株式会社コシダカ
「4階層」でカラオケ事業の業績を毎月チェック

群馬県前橋市を拠点にカラオケ店を全国に296店舗展開しているのがコシダカだ。3年前にはジャスダック証券取引所に上場し、今期は約220億円の売上(連結)達成を目標にしている。その同社の財務戦略を、腰高博社長(49)と朝倉一博取締役経営企画室長、税理士法人RITA会計の秋葉仁公認会計士・税理士に聞いた。

株式会社コシダカ

■居抜き出店方式でカラオケ事業を積極展開

――御社は“総合余暇サービス提供企業”を謳っていますが、主力はカラオケ事業(「カラオケ本舗まねきねこ」)とカーブス事業(女性専用サーキットトレーニング・フィットネスクラブ)とみてよいのでしょうか。

腰高博社長 はい。まずカラオケ事業に関していえば、現在の店舗数は296店舗(09年8月末)で、1店舗当たりの平均ルーム数は約15です。1ルームの平均利用客数は8〜10名ですが、どの店も1つか2つ「パーティールーム」(約30名収容)を用意しています。

朝倉一博取締役 通常利用料金(1人1時間)は店舗によって若干異なるのですが、例えば「古河大山店」(茨城県古河市)の場合は、(1)平日・昼(12〜18時)10円、(2)平日・夜(18〜翌朝8時)450円、(3)週末・昼110円、(4)週末・夜550円です。利用料金を4パターンに分けているのは他社も同じですが、1人10円は激安だと思います。

腰高 当社が急成長した1つの要因は、「居抜き出店」方式をとったことにあります。1990年にカラオケ1号店を地元・群馬県に開店し、2号店、3号店までは一般的な「建築出店」方式で展開しました。しかし、この方式だと初期投資が数千万円かかるため、当時の我が社の「体力」からすると、2〜3年に1店舗の割合で出店するのがやっとの状態でした。そんなとき、たまたま「閉店した個人経営のカラオケ店を再生・運営してみないか」というお話をいただき、やってみることにしたのです。これが4号店の「伊勢崎店」(97年開店)で思いのほか成功し、以後、この居抜き方式で出店してきました。

――居抜き出店方式で成功するための条件とは何でしょうか。

腰高 成功要因は1つではなく、いくつもあって、トータルで「付加価値」のついたお店になるようにしてきたということです。それはいま朝倉が言ったように、利用料金を近隣の競合店より必ず安くしてきたことや、内外装を一新したこと、最新のカラオケ機械に入れ替えたこと、スタッフが状況に応じて「気配りとコミュニケーション」ができるようにしてきたことです。こうした改善策を講じてリニューアルオープンすると、以前通っていたお客様がまたきてくれるようになり、「昔に比べて凄く良くなったね……」という印象を持ち、それが口コミで広がっていったということです。

――もう1つのカーブス事業について説明してください。

腰高 カーブスは米国生まれのフィットネスクラブで、世界1万店舗、会員数は430万人にのぼります。女性専用、1回30分、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせた独自の運動プログラムをセールスポイントにしており、日本では「カーブスジャパン」(2005年2月設立)がフランチャイズチェーン展開しています。実は、最初(06年3月)はフランチャイジーとして当社は始めたのですが、08年10月に本部のカーブスジャパンを買収し、子会社化しました。現在のカーブスジャパンの加盟店舗数は約780店舗で、会員数は約28万人です。

朝倉 その結果、09年8月期の連結ベースの売上高は189億5500万円で、うち本体のコシダカの売上が約143億円、カーブスジャパンのそれが約32億円となっています。今期は約220億円の売上(連結)達成を目標にしています。

■ゾーンマネジャーが「月別・勘定科目別」予算を作成

――RITA会計(前身は東日本中央会計)に顧問を引き受けてもらったのはいつ頃ですか。

秋葉仁公認会計士 92年からですが、私がコシダカさんを担当したのは98年です。

腰高 父親が「新盛軒」というラーメン店を経営していて、86年に大学(東北大学)卒業後、入社しました。当時(カラオケ店を立ち上げて2年ほど経ったとき)、別の会計事務所に見てもらっていたのですが、父も私も前月の売上がいくらだったのか知らないような有り様でした。「これではよくない。やはり経理をきちんとしなければ……」と考え、RITA会計の青木二士夫代表社員に顧問を引き受けてもらったのです。実際、青木先生や巡回監査担当者の指導のおかげでドンブリ勘定を改めることができ、初めて試算表を手にしたとき感激したことを今でもよく覚えています。そのときの月商は約800万円で、うちラーメン店が600万円、カラオケ店が200万円でした。が、その後、徐々にラーメン店から将来性のあるカラオケ事業へと軸足を移してきました。

朝倉 そうやって業容を拡大してきたわけですが、それに伴いTKCシステムも更新してきました。具体的には、96年に『FX2』を導入したのを皮切りに、2000年に『FX3』を、そして「まねきねこ」の全国展開をやり始めた03年に『FX4』へ切り替えました。

――『FX4』で店舗ごとの業績をつかんでいるわけですね。

腰高 コシダカでは4階層に分けて業績管理しています。全社→事業本部(北海道、東日本、群馬、首都圏、北陸・信越、中日本、西日本の7部門)→ゾーン(30部門)→296店舗ごとにです。

秋葉 タイムリーに業績をつかむため、コシダカさんでは、まず売上データに関しては各店舗にある「POSレジ」から毎日自動的に本社へ送られる仕組みになっています。次に、お客様に提供するドリンクや料理の材料など、主な仕入に関しては、各店舗の注文に基づき本社で一括仕入れますが(商品自体は仕入先から店舗へ配送)、ときどき現場サイドで牛乳などをコンビニ等で購入することがあります。そうしたイレギュラー的なものについてはスプレッドシートにまとめて10日ごとに本社へデータ送信しますが、その金額は1店舗で月に1万円くらいです。

――次期の経営計画(予算)はどういう形で作成されるのですか。

朝倉 基本的にはゾーンマネジャーが予算を作成します。つまり自分の傘下の店(平均10店舗)の予算を、月別かつ勘定科目(4111カラオケBOX、4112飲食売上高、4113製麺売上高など)ごとに作り、それを本社でチェックしたうえで、役員会で正式決定します。その数字を『FX4』に落とし込んで予実管理していくという流れですね。

■店舗ごとに原価率・人件費比率をチェック

――腰高社長がよくご覧になっている帳表とは……。

腰高 店舗別の《勘定科目残高一覧表(損益計算書)》です。当社ではこれまでの経験から売上高原価率は何%、売上高人件費比率は何%が適正水準であるかを出しており、気になる店舗(話題にすべきお店)についてそれらがどうなっているのかを見ます。仮にA店の原価率が標準より下回っていたとすればドリルダウン機能を使って伝票まで遡ってチェックし、その原因を突き止めます。

――やはりお店によって、限界利益率の高いところとそうでないところがあるのですか。

腰高 カラオケ事業というのは一種の装置産業みたいなところがあるため、損益分岐点売上高を超えると一気に限界利益が増えます。とくにメニューのなかで粗利益率が高いのは一般的にドリンクですね。つまり、スタッフが気を利かして「飲物や料理はいかがですか」とうまくすすめることができているお店は、比較的粗利益率が高いということです。

――先ほど居抜き出店方式をとったことが成長の一因だとおっしゃっていましたが、どれくらいでイニシャルコストを回収しているのですか。

腰高 現在は1年半くらいですが、当初はもっと短く、半年くらいで回収していました。それは、もともとお金がないので居抜き出店を始めたわけですから、お店をリニューアルする際も必要最低限にコストを抑えてきたことによります。

――そのためには、店舗ごとの業績をタイムリーかつ正確につかむことが重要だと思いますが、その際にRITA会計に顧問を引き受けてもらったのは大正解だったと。

腰高 そう思いますね。当社が資金繰りに困ることなく、計画通りにカラオケ店を新規出店することができた一因は、青木先生の指導によって「部門別会計」を導入したことにあります。

朝倉 月ごと、店ごとにチェックするということにこだわっているわけですが、最近は店舗数が300店近くになってきたため、経営企画室のほうで予め「話題にすべきお店」をピックアップし、その店について毎月役員会で議論します。

――話題にすべきお店とは。

腰高 赤字ないし赤字になりそうだとか、あるいはだんだん右肩下がりになっているお店とかですね。

――そういう場合、どんな手を打つのですか。

腰高 まず前述したように、売上や利益などが下がってきたとすれば、その原因が何なのかを調べます。すると、店長のなかには「景気が悪いから」と言う人がいるのですが、そうではないでしょうと。スタッフのシフトはうまく組めているのか、店内の掃除はきっちりやっているのかなどが問われます。そうした「基本営業」を改めて徹底させることが業績回復のための第一歩です。
 今後の経営方針としては、1つは従来の「まねきねこ」に加え、新しいタイプの「下町唱酒場浅草まねきねこ本店」を最近開発したのですが、これを多店舗化していくということです。2つ目はカラオケ、フィットネスクラブに次ぐ、第3、第4の余暇サービス事業を開発することです。
 いずれにしろ、常にお客様のニーズに応えて「事業」を革新していけば、成長の余地はまだまだ大きいと考えています。

(本誌・岩崎敏夫)

会社概要
名称 株式会社コシダカ
業種 カラオケ事業・カーブス事業
代表者 腰高 博
設立 1967(昭和42)年3月
本社 群馬県前橋市大友町1-5-1
TEL 027-280-3381
売上高 189億5500万円(連結)
社員数 1700名(コシダカ単体/パート・アルバイト含む)
URL http://www.koshidaka.co.jp/
顧問税理士 青木不二夫
税理士法人RITA会計
群馬県前橋市本町3-5-11
027-224-0551
HP:http://rita.tkcnf.com/pc/