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固定資産税
負担水準の均衡化措置について
特別研究員 土屋修一
1937年香川県生れ。52年香川県庁、60年自治省入省。税務局固定資産税課、固定資産鑑定官等を経て、93年(財)資産評価システム研究センター勤務、96年TKC入社



 ◇負担水準というのは、いわば、適正な時価としてのあるべき評価額に対して、その直近における実際の課税標準額がどの程度の水準にあるのか、を判断する客観的な基準ないし尺度と言えるでしょう。
 具体的には、今回の評価替年度でいえば、その負担水準は、「平成12年度新評価額分の前年度(平成12年度)課税標準額」という算式で表されます。
 これによって各市町村内の土地は勿論、例えば宅地だけでも全国で約7000万筆所在するといわれる全地点についてもこの負担水準という共通の物差しで、どの地点をとっても一目瞭然、相互に水準の比較が可能であり、負担の均衡化を図ることができるという大きなメリットがあります。
 従来の評価上昇一方のいわゆる右上がり状況に長く対応してきた負担調整措置から、一転、地価下落に対応するものとして、前回、平成9評価替年度において初めてこのような「負担水準」という手法が導入され、これを基準として商業地、住宅地等についてあるもの(負担水準の高いもの)は価格を引き下げ、あるものは価格を据え置いて地価の下落に対応するとともに、この負担水準が一定未満の土地についてはその区分に応じて一定の上昇率により、なだらかな負担を求めるという、負担の均衡化措置が講じられたところです。
 平成12年度の地方税制改正においても、この措置を引き続き推進するため、このような基本的な手法、枠組みは前回同様にこれを踏襲することとし、今回の評価替えの結果や納税者の負担の状況等をみながら、商業地について、負担水準の引き下げ幅の上限を前回よりさらに抑制する等の負担調整措置が図られたものです。
◇ところで、平成6評価替年度から、いわゆる7割評価制度が導入されましたが、これは、平成元年の土地基本法の制定や、平成3年の閣議決定による「総合土地政策推進要綱」等、公の場において公的土地評価の均衡化適正化について数々の提言、指摘が行われたものです。
 そして最終的には平成4年度の政府税制調査会の改正答申において、固定資産評価については、平成6年度の評価替えにおいて地価公示価格の7割程度を目標に、評価の適正化・均衡化を図るべきである旨報告されたところであり、当時の異常とも言える地価高騰の沈静化に対応するとともに公的評価の統一を図るという緊急の社会的要請に基づいて広く検討された経緯があります。このことは、固定資産税の評価に7割評価を採り入れたことと、地価の下落という経済的現象を契機として導入された負担水準により、その負担の均衡が保たれることが図らずも結びついて、固定資産税の課税の適正化はもとより、このような公的土地評価の統一方向に実質的に大きく貢献することを意味します。
◇さらに、最近、特に話題とされる固定資産税の税率について、地方分権の趣旨に照らして、近い将来、市町村自らが当該団体の財政状況を勘案しながらこれを自主的に決定していくという場合においても、地方交付税等地方財政制度との調整や条件が整ったとしても、なおその大前提として、全国的な視野での各団体間の負担の均衡化が図られていることが必要であることは言うまでもないことでしょう。

 昨年12月の政府税制調査会の改正答申でも負担の均衡がとみに強調されていますが、地価下落を続けている状況下の当面の措置とはいえ、『負担水準の均衡化措置』は、以上のように広く重要な意味を持つものであると考えます。



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