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情報技術(IT)革命と社会保障
特定非営利活動法人 全国市町村保健活動協議会常務理事
山田喜久夫
1985(昭和60)年、厚生省(社会保険庁本庁課長)退官後、健康保険組合連合会勤務。常務理事を経て、現在は非常勤参与。医療保険審議会専門委員、社団法人共済組合連盟研究会委員など歴任。98年5月から現職。



 これまで、市町村の皆さんが準備を進めてきた介護保険システムの真価が発揮される介護保険制度の実施も間近に迫ってきました。こうした電子情報処理システムの重要性は、官民を問わず近年ますます高まってきています。
 いま、インターネットを軸とする情報通信分野の急速な発展のもと、21世紀は、情報技術(IT)革命の時代になるとの予見がグローバルに広がっており、関連事業に対する国民の関心も著しく高まっています。
 わが国のインターネット普及率は、米国はもとより、アジアでは中国より低水準にあり、拡大に一層の努力が必要なようです。当面は、eコマースといわれるネット上の商取引の急増が注目されており、企業経営の面でも、情報通信技術を活用した在宅勤務の拡大や、業務の合理化にともない、都心のオフィス需要が先細るのではとの見方すら出てきています。まさにこれは、旧来の経済基盤を突き動かす強力なインパクトと言えましょう。
 ただ、国民の消費行動にも大きな影響を与え始めたとは言え、個人生活に密着した存在になることが今後の普及拡大のカギだろうと考えられます。さまざまな技術革新も進むでしょうが、国民にとっては、情報通信技術が「使いやすく」「より身近なツール」となること、これに加えて情報のコンテンツが生活向上につながるものにならないと、現在の世帯普及率10数%を米国並みの30%台に押し上げ、さらに拡大していくことは困難でしょう。関連業界の一層の努力が強く望まれます。
 特に、米国に比べ国民皆保険・皆年金体制があり、介護保険も実施する社会的優位性をもつわが国では、医療・介護・年金さらに福祉を含め、社会保障の分野で日常的に利用価値のある情報通信の進展が図られるべきでありましょう。
 たとえば、社会保障関係の行政機関と国民が双方向性の通信システムをもち、在宅で年金請求など諸手続や必要な年金相談ができる。医療保険では、保険者(団体)がそれぞれに個人の健康情報を管理する現在の仕組みを、生涯にわたる継続的一元的なデータベースに集約して、医療に活用できるようにする。あるいは最新の医療情報や最適な治療法の検索ができるとすれば、医療費の効率使用と国民の負担軽減にもつながる――のではないかと考えます。
 政府も、すべての許認可をインターネットで行える『電子政府』の実現を目指しています。いずれ『電子自治体』も具現され、住民の生活・福祉に直結する情報交信が行えるようになることが、究極のIT革命といえるのではないでしょうか。



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