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包括外部監査結果報告書の
積極的な利用を
日本大学商学部教授 小関 勇
1946年生まれ。88年、日本大学教授(会計監査論担当)。93年同大学大学院会計監査論特殊講義担当。その他、自治大学校講師などで活躍。主な著書は『わが国監査法人の実証的研究』(税務経理協会)など。



 第25次地方制度調査会による「監査制度の改革に関する答申(平成9年2月24日)」の提言を踏まえて、現行の監査委員制度の限界を克服し、地方分権の推進に伴う地方公共団体における監査機能を充実・強化し、地域住民による予算執行の適正化の要求に対応すべく地方行財政の公正性・透明性・経済性・効率性を担保するため、職業専門家等による外部監査人制度が新たに導入された。
 かかる外部監査人制度の導入を受けて、都道府県、政令指定都市および中核市などの監査委員宛に提出された包括外部監査結果報告書が、すでに各地方公共団体の公報として公表されている。
 この報告書には、外部監査人が、地域住民の関心度、地方公共団体の重点施策(方針)、議会の注目度および地方公共団体の抱えるリスクなどを総合的に勘案して選定したいくつかの特定の事件(監査テーマ)ごとに、『監査の結果及び意見』が記載されている。
 この点について、東京都の平成11年度包括外部監査結果報告書(東京都公報、平成12年2月25日)は、全文90頁に及ぶ長文式の同報告書の中で、特定の事件として1. 東京都の経営する病院管理、2. 土地(未利用地)の管理運営、3. 公の施設等の管理、4. 出資団体の経営管理の4つを監査対象として取り上げ、包括外部監査人によるそれぞれの監査テーマに則した詳細かつ示唆に富んだ『監査の結果及び意見』の指摘がみられる。
 地方公共団体の長および監査対象部局は、独立した第三者たる職業専門家による『監査の結果及び意見』を、積極的に地方公共団体の行財政改革に反映させることこそ、外部監査人制度導入の意義であり、長等に課せられた責務であることを認識しなければならない。
 今般の外部監査人制度の導入を契機として、監査主体である外部監査人および監査委員とともに、監査事務局、議会、行政当局、地域住民からなる関係者が、地方公共団体における統治(ガバナンス)の重要性を再認識するとともに、それぞれの関係者による統治に対する継続的かつ具体的な取り組みが何よりも求められる。
 さらに、地方公共団体における統治機構の中心的な役割を担う外部監査人監査制度と監査委員監査制度の充実・強化の問題は、地方自治を構成する住民自治および団体自治を制度的に担保する上で、情報公開制度の拡充の問題と並んですべての地方公共団体にとって喫緊の課題であるといえる。



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