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高度情報通信社会は地方の時代
明星大学人文学部教授 大橋有弘
1969(昭和44)年、東京大学教育学部教育行政学科卒、同年、行政管理庁(現総務庁)入庁。行政管理局などを経て92年より現職。高度情報通信社会推進本部委員、住民基本台帳ネットワークシステム大臣懇談会委員、住民基本台帳ネットワークセキュリティ研究会委員などを歴任。



 このところ、国と地方が調和ある緊張関係の状態になっている。介護保険、住民基本台帳ネットワーク、情報公開、個人情報保護と、矢継ぎ早に出される国の施策に地方は対応に追われているかのようである。しかし、これを、国の方針を受け止め、実際にその行政サービスを展開するのは地方であるという図式が見えてくる。それだけに、地方には、自らの施策を企画し、実施する積極的なイニシアチブが要求されることとなる。地方分権で、負担ばかり下ろされてくるという不満を言うばかりという状況ではない。
 住民基本台帳ネットワークは地方主導の代表的な例といえよう。住民基本台帳法の改正は国においてなされたが、その結果構築されるネットワークによってサービスを提供するのは市町村であり、県、国の機関は市町村から基本4情報の提供を受けることになるのである。このことによって、国、地方をまたがる本人確認手続やさらにはワンストップサービスにつながることが期待されるのである。また、住民票カードの利用に関して、条例等の定める範囲で拡張が市町村に預けられているのである。
 日本の国・地方の関係と、米国の連邦政府と州政府の関係を重ね合わせてみるのも、ネットワーク社会における行政サービスのあり方という観点から興味深い。州政府の独立が日本よりはるかに徹底していて、地方分権のモデルのように見える反面、州政府と連邦政府、州政府間の連携は希薄である。
 今年の7月、米国のE-GOV2000のフォーラムと展示会を視察してきたが、その1つに州政府における自動車保有等に関するワンストップサービスがあった。ただし、州によって、手続がことなり、自動車税の額すら違うという状況で、国民にユニバーサルなサービスを提供することは難しいこととなる。数年前、米国で喧伝された、KIOSK端末による省庁間ワンストップサービス構想(WINGS)は、現在棚上げされ、個別省庁、州政府が独自に展開するという方向に進みだしている状況もある。
 住民登録という全国レベルの手続を市町村、県、国をネットワークで結び、情報をシェアし、均質で質の高いサービスを提供しようというのは、世界にも見られない壮大なものといって過言ではない。



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