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 さる10月18〜19日の2日間、毎年恒例の『地方公共団体OAフェア』が東京・池袋のサンシャインシティ文化会館で開かれた。主催者である財団法人地方自治情報センターによれば、今年は前年を1000人上回る約4300人の来場者があったという。
 今回のフェアのキーワードは「電子自治体」。各ブースから聞こえる女性の説明は、いずれも「IT革命に対応し・・・」「国の電子政府の動きに対応して自治体もこれからは・・・」「電子自治体に向けて・・・」といった内容で、昨年までは、まだ先の話であった「電子自治体」が、地方公共団体の将来像として正面に出てきたことを印象づけていた。
 勿論、こうした動きは、政府が提唱する“IT革命”を受けてのものであり、自治省がさる8月末に発表した「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」に対応したものだ。

地方公共団体の情報化推進に見直しを求めた自治省指針

 自治省が発表した情報化指針は〈基本的な考え方〉〈地方公共団体における今後の課題と基本的方向〉〈地方公共団体において早急に取り組むべき事項〉〈コンピュータ・セキュリティ及び個人情報保護〉〈情報化施策を推進する上での留意点〉の5項目からなっている。
 まず、〈基本的な考え方〉として「第1に地方公共団体の電子化(電子自治体)の実現を図ること」「第2に地域の社会・経済活動の活性化に資するための情報基盤の整備に取り組むこと」をあげ、1.高度、多様化する住民ニーズに対応した質の高い行政サービスの提供、2.情報通信基盤の整備による社会・経済活動の活性化、3.事務処理全般の見直しによる行政の簡素・効率化及び透明化――を図るよう強調している。
 その中で「(今後情報化に当たっては)従来のように事務処理の効率化、経費節減等の観点だけで考えるのではなく・・・」「業務の外部委託(アウト・ソーシング)についても積極的に検討する必要がある」と、これまでの情報化の進め方の見直しを求めている。
 次に〈今後の課題と基本的方向〉では、1.ネットワークを活用した行政の簡素・効率化及び住民の利便性の向上、2.高度、多様化する住民ニーズへの対応、3.地域における情報基盤の整備――の3つをあげ、「行政手続きのオンライン化の推進」「文書管理システムの導入、情報公開の推進」「情報の積極的提供」「情報検索システムの整備」「情報化を支える職員及び住民の情報リテラシーの向上」などを指摘している。
 特に電子申請については「現在の書面による手続に加え、インターネット等を利用して自宅や職場から簡単にできるようにすることにより、住民の利便性は飛躍的に向上するものと考えられる」と指摘し、こうした環境の早急な整備を求めている。
 また、文書管理システムについても「文書の起案、決裁、供覧、廃棄に至るまでの流れを電子文書により一貫して管理する総合的な文書管理システムを導入することにより、行政事務の簡素・効率化が抜本的に進むことが期待される。必要に応じ、事務処理手順、関係例規等の見直しを行い、その導入を推進していくことが望まれる。また、保有する電子文書の体系的な整理、ファイル目録の作成及びデータベース化を進めることにより、情報公開を推進し、一層の行政の透明化にも努める必要がある」と述べている。
 情報リテラシーの向上については、「(高度な住民サービス提供には)情報化への意欲と一定の技術的知識を持ち、かつ住民のニーズを施策に反映できる専門性の高い職員の育成と、整備された情報システムを使いこなせる職員の能力開発が必要であり、外部機関が実施する研修の利用や内部研修を計画的に推進する必要がある。また、IT革命の恩恵を全ての住民が享受できるようにするため、生涯学習の一環として、住民が受講できるようなIT関係のセミナー、研修講座を設けることにより、住民の情報リテラシーの向上にも努めることも必要と考えられる」としている。

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早急に取り組むべき課題は庁内ネットワークの整備だ!

 こうした基本的な方向に沿って、指針では「電子自治体」に向けて「早急に取り組むべき事項」として、まず第1に「行政におけるネットワーク化の推進」をあげている。
 具体的には、庁内LANと1人1台パソコンの整備で、「庁内LANは、・・・地方公共団体の今後の行政運営に必要不可欠なものと位置づけられる・・・早急に整備する必要がある。原則として庁内LANに接続したパソコン1人1台の配備を進めるべきである」とし、「庁内LAN及びパソコンの整備について交付税措置を講じているが、今後、段階的な拡充について検討していくこととしている」と財政措置の強化を打ち出している。
 また、総合行政ネットワークに関して「都道府県、政令指定都市については平成13年度まで、その他の市町村については平成15年度までに構築を行い、順次運用を開始する」ことを示し、「ネットワークの参加に当たり地方公共団体において整備する必要があるものとしては、庁内LANの整備は当然として、庁内LANとの接続点における不正侵入を防止する装置(ファイアウォール)等最小限のものとなるよう考えている」としている。
 このほか、オンライン手続の推進の関係で組織、個人認証基盤の構築、事務処理の見直し、条例・規則の見直しについて、国の動向に留意しながら作業を進めるよう求めている。
 最後に、「情報化施策を推進する上での留意点」として、「総合的かつ戦略的に推進していくことが特に重要であるため、従来の行政情報化計画、地域情報化計画を融合した総合的な情報化推進計画を策定することが望ましい」とともに、「情報化施策の計画的推進を確保するためには、計画においてそれぞれの課題ごとに年次目標を設け、担当部局を明確にするとともに、毎年度フォローアップを行っていくことが有効である」と指摘している。
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電子自治体の姿とは一体どんなものなのか?

 さて、情報化指針に沿って、市区町村では今後平成15年度を目途に、国の動向や各種の実証実験を基に策定されるシステムの整備に取りかかることになるわけだが、先進自治体を含め今、関心が集中しているのは「電子自治体とは一体どういうものなのか」ということだろう。
 庁内LAN・1人1台パソコン体制を整備し、電子申請を実施、地域ネットワークをはり、情報提供を拡充すればよいのか――。国の方から将来の「電子自治体」の姿をイメージしたものは現在のところ示されてはいない。いきなり「IT革命」の号令のもと、具体的な目標年次が示され、「財政措置はするからどんどん進めろ」と尻を叩かれ始めたようなものだろう。もちろん、コンピュータメーカー等ベンダーからは、OAフェアの会場がそうであったようにさまざまな名称で提示され始めているが……。
 では、電子自治体とはどんなものをイメージすればよいのだろうか。

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 現在のインターネットの爆発的な普及を前提に、役所の仕組みを再構築することが必要になったのであり、群馬県太田市の清水市長がいう「カウンターの中から出て、市民サイドから業務処理を考え直す」ことなのではないか。世の中ではインターネットから各種の申込をするのは当たり前になっている。地方公務員の多くも利用している。面倒なことはほとんどない。そうした現実に合わせることが、「役所」が「電子自治体」にかわる第一歩といえるだろう。
 そこで問題になるのは、役所がこれまで行ってきた業務の仕組み――住民、さらには自らも縛ってきた各種の規制である。これを見直すことが“スタート”になるのではないか。
 先進自治体と呼ばれる一部の自治体では、インターネットを利用したいろいろな試みが実際に行われている。横須賀市のインターネットによる入札、あるいは市川市のコンビニエンスストアのネットワークと結んだ施設予約・情報提供が、すでに知られているが、いずれも従来取り組んできた情報化の結果として行われているものであり、自治体自らの時代に対応したシステムの構築である。つまり、市民・住民が利用しやすいシステムとは何かを考えた結果を具現化したわけだ。
「(コンビニとのネットワークの連携のように)民間とはどんどん話が進むが、他の自治体と一緒に何かやろうとするとなかなか進まない」という市川市の井堀幹夫情報システム課長の話は、自治体のこれからの情報化――ネットワーク時代・電子自治体時代について考えされられるものがある。
 いずれにしろ、コンピュータなしで事務処理ができない今の自治体をみるとき、電子自治体とは各自治体の職員自らが21世紀の役所のあり方を考え、全般的な業務の見直しをはかることが重要になってくるだろう。  今年度、財団法人地方自治情報センターの研究開発事業のひとつとして、横須賀市・西宮市・三鷹市・羽曳野市の担当者が集まって「電子自治体へのアプローチ」を研究しており、来春にはその成果が公表される。そこで地方公共団体が考える“電子自治体”の姿が示されることになろう。



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