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読んで得する本紹介
『ごみ行政はどこが間違っているのか?』
『インターネットで政策づくり』



  今年4月に地方分権一括法が施行され、福祉・教育・環境など市町村が解決すべき課題は山ほどあるが、日本の構造改革が叫ばれるなか、これまでのような“国頼み”はもはや期待できなくなった。分権の時代には、地域から行動を起こさなければならないのだ。
 特に「ごみ問題」は、生活に密接に関わる分野だけに住民の関心度も高く、ダイオキシン、環境ホルモン、処分場建設に反対する住民運動、処分場の是非をめぐる住民投票などのニュースが毎日のように新聞紙上をにぎわし、多くの関連書籍も出版されている。
 熊本一規著『ごみ行政はどこが間違っているのか?』(合同出版/03・3294・3506)は、ますます深刻になるこの「ごみ問題」に一石を投じている。
 もちろん、国や市町村も手をこまねいて見ているだけではない。例えばダイオキシン対策には排出基準の設定を。また処分場問題には環境アセスメントの導入。さらには埋立後の維持管理制度、容器包装や家電のリサイクル法も整備した。全国の自治体でも環境条例の策定や新税導入を検討する動きが広がっている。こうした状況に対し本書は、法改正だけで抜本的な問題解決につながるのか? と読者へ問題提起する。
 難しいテーマの割には、文章は全編話し言葉で書かれており、例えば、処分場建設がなぜ反対されるのか、環境アセスメントの欠陥、家庭ごみの処理方法や経済的負担は消費者が負うべきなのか――など、われわれが感じている疑問に対しても明確に答えている。また、欄外ではテーマごとに海外事例やキーワードなどを分かりやすく解説しているのも便利。
 ゴミ処理場建設に反対する住民や環境ホルモンに怯える母親たちが行政に求めているのは、住民側の期待と政策実現の差を埋める実践的で可能かつ具体的な政策づくりといえる。著者が「資源循環型社会を至上目的にするのではなく、エネルギーを生産段階で大量浪費している社会を変革すること」と説くように、市町村も環境問題を単なる一過性のブームととらえず、循環型社会の担い手として何をすべきか真剣に考えてほしい。

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『ごみ行政はどこが間違っているのか?』1400円(税別)

ちょっと便利なIT活用法

  「ごみ問題」以外にも住民ニーズと地域行政のギャップは、いたるところに存在する。
 松下啓一著の『インターネットで政策づくり』(学芸出版社/075・343・0811)は、そうした問題を簡単に解決できるのがインターネットだという。ここ数年のインターネットの爆発的な普及には目をみはるものがあるが、そこには円滑な行政運営をはかるための数多くのヒントが隠されているというのだ。
 本書では、1.NPOの支援策、2.自治体の都市計画マスタープランの策定へ多くの住民に参加してもらう法、3.自治体の情報公開制度と住民の意識――など、具体的な事例をあげながら行政運営におけるITの活用法を紹介している。
「行政は住民に身近なところで」が地方分権の基本理念。政策立案のための情報収集の仕方や政策づくりのプロセス公開と市民参加、政策主体としての自治体の変革などにも触れており、IT革命の本質を理解するためにも、ぜひ一読を勧めたい1冊だ。


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『インターネットで政策づくり』1800円(税別)



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