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読んで得する本紹介
『自治体のIT革命』
『電子自治体2003年ネット革命で「役所」が消える』



 連日、メディアをにぎわせているIT(情報通信)革命。その改革の波は自治体にも押し寄せている。
 一般に、電子自治体になると行政事務の効率化、情報共有、住民へのサービスの向上といった効果が生まれると期待されているが、それだけでは多様化する住民のニーズに応えることはできない。要は、ITを使って何をするかが問題なのだ。
 榎並利博著『自治体のIT革命』(東洋経済新報社/03・3246・5661)では、「自治体の経営マネジメント」という視点から、「電子市役所」ネットワークにいたる自治体のIT改革について独自の理論を展開している。著者が本書で一貫して主張するのは「自治体を再生する鍵はITの活用にある」ということ。長年、自治体のシステムに関わってきた著者が、その経験を通して得た知識と技術をもとに語る口調には、なかなか説得力がある。
 だが、電子自治体の実現には、外字の管理、守秘義務、費用対効果、申請主義、情報リテラシーなどIT化を阻む要因も少なくない。本書は、これらについて一つひとつ解決策をあげながら、自治体におけるIT革命の推進の仕方を明示していく。
 一部に技術論が先行する点はあるが、全体を通して読みやすく、ITを利用した行政サービスの可能性についての図解や、実際のデータを用いた説明は大変わかりやすい。電子自治体について自らのケースに当てはめて考えるのにちょうど良く、職員の理解を深めるためにも、ぜひ一読を勧めたい1冊だ。

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『自治体のIT革命』 1400円(税別)

ITを行政へどう取り込むか

 「さて、本書がアメリカの例を取り上げるなど総括的に電子自治体を紹介しているのに対し、井熊均著『電子自治体2003年ネット革命で「役所」が消える』(日刊工業新聞社/03・3222・7081)は、「財務改善」という具体的な観点に絞ってITと自治体の関係について述べた1冊だ。
 本書は“まず住民自治ありき”の立場から、いかにITを導入するかに主眼を置き「崖っ縁に立たされた公共財政」が「2001年に公共ネット革命を進める決断をする」という仮定のもと、「公共ネット革命」の意義と自治体業務それぞれへの具体的な導入例について説いていく。
 著者は自治体業務が「手続き」と「手配」からなっていることに着目。「多くの業務をネット上で行えるようにすれば、必然的に窓口業務が減少し、より有効な人員配置が行われる。PFI手法もそれを促進し、ひいては自治体統合が促進される」という推論は簡潔、かつ説得力をもって展開する。
 ここで述べられている話は、決して夢物語ではない。各種申請書類の入手は電子認証で、また投票・各種問い合わせは双方向性によって実現可能であり、一部はすでに実現している。むしろ、これからの問題は目的の明確化だ。ITで“できること”が増えてきたいま、自治体には“何を変えるか”以上に“何を変えないか”を考えることが求められているのである。
 少子高齢社会を迎え、社会福祉政策・IT政策の連携についても触れたのは興味深い。自治体や民間などと特定の立場に依存しない著者の姿勢は、読者を選ばない1冊といえるだろう。


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『電子自治体2003年ネット革命で「役所」が消える』 1800円(税別)



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