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IT時代と地域のイメージ戦略
電通総研主任研究員
四元正弘
よつもと・まさひろ 1960(昭和35)年神奈川県生まれ。84年東京大学工学部化学工学科卒。87年電通総研へ入社。執筆活動のほか講演、テレビ、ラジオ等で活躍。主な研究テーマは地方活性化、情報化社会/メディア産業論など。



 今の時代、なにかとITばやりである。パソコンは敷居が高くて気後れしていた人たちでも、最近は携帯電話を使って、実に気軽に電子メールでコミュニケーションをとったり、インターネットにアクセスして情報を収集するようになってきた。
 これからはITを無視しては、コミュニケーションが成立しない時代になるのは確実だ。
 しかし一方で、ITは万能ではない。探偵小説の名台詞をもじれば、「ITがなければ生きていく資格がない。ITだけでは生きていけない」と言ったところか。つまり、今日の時勢の中でITを地域情報の発信手段に活用していくことは必然ではあるが、情報を受信してもらう、すなわち自サイトにアクセスしてもらうためには、その前提として自地域を想起してもらう必要がある。

IT的競争力としてのイメージ

 リアル世界では、お店を見てつい入ってしまうこともあるが、サイバー世界では想起されない限り一切の関わりは生まれないのだ。
 さて、想起には2つのレベルがあるとされる。例えば、「温泉地と言えば?」という質問に対してサッと思い浮かぶ強想起と、「以下に挙げる温泉地の中で知っているものは?」との質問に対して初めて答えが出るような弱想起である。
 インターネットで自サイトにアクセスしてもらうには、その地域に関して強想起が必要なことは言うまでもないだろう。その意味で、IT時代の競争力の源泉は、強想起を喚起するイメージなのである。
 では、地域イメージを一般生活者に植え付けるためには、どうすればよいであろうか? このとき地域ブランドという概念がポイントとなる。
 ブランドの定義はいろいろと存在するが、肝要は「○○と言えば××」と強想起が多くの人に定着していることにある。例えば東京に住む人の多くは避暑地と言えば軽井沢を想起する。だからこそ、軽井沢はブランドになりえているし、多くの人は軽井沢に旅行したいと思うのだ。
 しかし、ブランドは1つのカテゴリーにごく少数しか存在できないのも現実である。避暑地として客観的に適していても、軽井沢や箱根など既にブランドが確立したカテゴリーへの新規参入は極めて困難だ。その場合、単純な避暑地というカテゴリーを避けて、プラスαの付加価値を付けた新しいカテゴリーを創造し、定着を図っていくべきである。また、定着の過程では、同類の地域との共同戦線を形成する必要も生じよう。
 考えれば考えるほど、IT時代の地域の生き残りはブランド戦略的な発想が不可欠なのである。



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