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特集各論
e-Japanで何がどう変わるのか?
平成15年にスタートする電子申告システム



 いまや社会のさまざまな分野でコンピュータが利用され、その恩恵を受けていない人はないほど。その存在は、まさに“空気”のよう…といっても過言ではありません。また、5年ほど前からインターネットが急速に普及し、電子メールだけでなく、買い物から銀行振込までパソコンでできるようになりました。それが、20世紀から21世紀への時代変化です。そして現在、行政の情報化への取り組みが急ピッチで進んでいますが、ここにきて注目され始めたのが「納税」や「申告」の電子化の動きです。
 勢いが止まったとはいえ、今日の米国の経済成長は、コンピュータとネットワークをフルに活用した「IT(情報技術)革命」がもたらしたといえるでしょう。このIT革命は、いまや世界中の国々へと拡がり、日本でも平成11年に『ミレニアム・プロジェクト』を発表し、民間や政府がITを利用して効率的な活動ができる国家の形成を宣言しました。
 さらに、平成12年11月には『高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)』を制定。この法律は、官民が一体となり〈21世紀初頭に、米国を超える高度な情報通信ネットワーク社会を作ることを国家目標とする〉というものです。その具体策として先頃、政府は『e-Japan戦略』をまとめ、1.超高速インターネット網の整備とインターネット常時接続の早期実現、2.電子商取引ルールの整備、3.電子政府の実現、4.新時代に向けた人材育成、などへ取り組むことを発表しました。
 今後は、地方自治体も地域特性を生かしながら、国と一緒になってe-Japanの実現を図ることになります。こうしたことから、総務省ではIT推進のためのアクション・プランを作成し、なかで「地方税の申告手続の電子化」を行うと明言しました。

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電子納税のイメージ (資料:国税庁)

慌ただしさを増す、国の動き

 これまで、あまり話題に上ることがなかった「申告手続きの電子化」ですが、ここにきて実現に向けた動きが慌ただしくなっています。特に「税」は、国・地方を問わず行政サービスの基盤となるものであり、電子自治体の実現に向けた取り組みを考える上でも、大変重要な課題となるでしょう。
 すでに国税については、国税庁が、昨年11月27日から今年3月15日まで、麹町税務署と練馬東税務署管内において「法人税」「消費税」「所得税」の電子申告実験を行いました。読売巨人軍の松井秀喜選手がキャンプ地・宮崎から実験に参加し、これが新聞等でも大きく報道されたことから、ご存じの方も多いことと思います。
 余談ながら、全国8200の税理士・公認会計士が集まるTKC全国会からも、111会員が参加し、期待以上の成果を挙げることができました。
 平成15年度には、地方税でも電子申告がスタートする予定です。そこで、国税庁の実験を例として以下に「電子申告になると、どう変わるのか」をご紹介します。
1.申告書はどうやって渡すの?
 現在、法人住民税や個人住民税の納税者には、「紙」の申告書を送っていますが、電子申告では、納税者に「電子申告ソフト」(CD-ROM)を配布します。
2.申告内容はどうやって記述する?
 従来の「法人住民税申告書」や「所得税確定申告書」は、ボールペン等で記入していましたが、電子申告の場合、納税者はまず「電子申告ソフト」をパソコンへ登録し、画面に表示された申告書に申告内容を入力します。ちなみに国税庁の実験では、1.法人税申告書、2.消費税申告書、3.所得税の確定申告書(分離課税申告書と損失申告書を除く)、4.所得税徴収高計算書(源泉所得税)、が対象となりました。
3.署名や押印はいらないの?
 従来は、納税者が申告内容を記入した後、紙の申告書に署名し押印していましたが、電子申告では、パソコン入力のため署名・押印ができません。そのため、これに替わるものとして「電子署名」を行います。今回の実験でも電子署名が採用されました。
4.どうやって提出するのか?
 紙の申告書は、自分で税務署に持参するか、郵送していましたが、電子申告では電話回線を通じて、24時間いつでも、どこでも申告(送信)が可能となります。ただし、申告のためにかかる通信費は、納税者の自己負担となります。
5.確実に申告されたのか不安はない?
 納税者がデータを送信しても、本当に申告データが税務署へ届いたのかどうか不安です。そこで電子申告受付後、「電子申告受付システム」から納税者へ、自動的に「到達通知(電子申告受理通知)」を返信します。これにより納税者は、きちんと申告が済んだことを確認できるわけです。
 さて、国税庁はすでに電子納税の検討を始めており、また、総務省でも地方税の電子申告の標準システムを開発するため、全国知事会や全国市長会、学識経験者で構成される「地方税電子化推進協議会」を発足しました。いよいよ実現に向けて動き始めた電子申告。こうした国の動きに注目しながら、市町村においても万全の準備を進めていきたいものです。



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