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鳥取県西部地震に見る
電子自治体の危機管理



 平成12年10月6日、午後1時30分頃、山陰地方を震度6強の鳥取県西部地震が襲った。
 阪神・淡路大震災のあと改められた「震度階級」によれば、震度六強とは〈人間は立っていることができず這わないと動くことができない、固定していない重い家具のほとんどが移動・転倒する、多くの建物で壁のタイルや窓ガラスが破損・落下する〉などと定義されている。
 地震発生が昼休み直後だったため、阪神・淡路大震災のような火災による被害拡大がなかったのは不幸中の幸いだった。だが、長い間、大きな地震に見舞われなかった地域だけに、白昼突然の激震が住民を大混乱に陥れたことは想像に難くない。
 特に震源地となった山間部は、ほとんどが高齢化の進んだ過疎地で、あちこちで発生した停電や電話不通のため、被災地では役場の職員総出による住民の安否確認を行ったという。そこで役立ったのが、地方都市ならではの地域コミュニケーションだった。近隣同士、役場と住民の間の“目に見えないネットワーク”が有効に機能したのである。

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阪神・淡路大震災では神戸市庁舎が被災し、業務に支障をきたした。

「情報資産」をどう守るか

 人も情報も混乱する災害発生時には、行政のリードは欠かせない。
 今回、鳥取県では震災直後から片山善博知事が対策本部長として陣頭指揮にあたった。新聞報道によれば地震で住宅を失った高齢者を目の当たりにした片山知事は、震災から〈3日後には被災住宅の新築に県費などから最高300万円を助成する住宅復興補助金制度を全国で初めて打ち出した〉(大阪読売/11月6日号)という。素早い決断だった。
 こうした住民起点の対策を早い段階で打ち出せたのは、片山知事の手腕に加え、情報収集・発信において市町村の果たした役割が大きかったといえるだろう。
 そこでいま、全国の市町村に問われているのが〈住民と地域の情報をいかに整備し、日頃から危機的対処を講じているか〉ということだ。
 阪神・淡路大震災では神戸市庁舎が被災し、地図データなどデジタル化の遅れていた文書が利用できなくなったが、今回の地震で庁舎が一部損壊した鳥取県のM町の場合、庁内の情報システムを隣接する公民館へ移設し、すぐに通常業務を再開したという。M町でこうした緊急措置を取ることができたのは、クライアント・サーバ・システムで分散処理をしていたためだ。
 電子自治体に向け、市町村においては現在、庁内イントラはもちろんのこと、地域イントラによる住民とその生活を支える情報システムの整備が急務となっている。そこで忘れてならないのは重要な「情報資産」をどう守るか、だ。これを機に1. データ・バックアップの慣習化、2. サーバ用耐震ラックの設置、3. 分散処理システムの採用、4. 災害時用マニュアルの用意――など、災害に対する備えを確認すべきであろう。
 危機的状況におかれた時こそ、行政や首長の力量が試される。阪神・淡路大震災や鳥取西部地震に学ぶことなく同じことを繰り返せば、それはもはや「天災」ではなく「人災」にほかならないのである。



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