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●特別寄稿 総合行政ネットワーク●
自治省情報政策室 理事官 竹内雅彦
15年度までには
市町村も接続予定今後の計画は…
たけうち・まさひこ
1972(昭和47)年4月北海道庁、75年4月に自治省入省。95年武蔵村山市企画財政部長、97年公営企業金融公庫総務部調査役などを経て、99年6月から現職。


はじめに

 国の各省庁間においては、行政機関の閉じたネットワークである「霞が関WAN」が平成9年1月より運用を開始しており、地方公共団体においてもこれらの政府の取り組みを踏まえて社会的環境の変化、情報通信技術の発展等にも対応するため、行政情報化の基盤整備が求められているところです。
 自治省としては、このような社会的要請に対応して、約3300の地方公共団体により構成される行政機関の閉じたネットワークである「総合行政ネットワーク」の構築に関して、平成9年度から平成11年度までの三ヵ年、調査研究を行ってきました。平成12年度はこの成果を踏まえて実証実験を行うことになっております。

1. 政府における総合行政ネットワークの位置づけ

 政府においては、『行政情報化推進基本計画の改定について(平成9年12月20日閣議決定)』等に基づき、「紙」による情報伝達から情報通信ネットワークを駆使する電子化された情報伝達への移行を目指しており、加えて『ミレニアム・プロジェクトについて(平成11年12月19日内閣総理大臣決定)』では、2003年度までに電子政府の基盤を構築することを目標の1つとして掲げています。
 また、『IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針(平成12年8月28日情報通信技術(IT)革命に対応した地方公共団体における情報化推進本部決定)』において、総合行政ネットワークは、地方公共団体間を相互に接続するとともに、国のネットワークである霞が関WANとも接続する広域的でセキュリティの高い行政ネットワークであること、また、地方公共団体間や地方公共団体と国との間で行われる申請・届出・報告、許認可等に係る迅速な文書交換や、法令、条例、基礎的統計等の情報の共有を実現するなど、国・地方を通じた情報化の基盤として早急な整備が求められるものであり、都道府県及び政令指定都市については平成13年度まで、その他の市町村については平成15年度までに構築を行い、順次運用を開始することが望まれるとなっています。

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2. 総合行政ネットワーク実証実験

 総合行政ネットワークには、報告書において今後の課題とされたテーマもあり、さらに実際にネットワークを構築・運営することにより初めて明らかになる技術面・運用面等の課題も存在することが予想されるため、平成12年度においてこれらの課題の洗い出し、解決を図るためコンセプトを設定し、実証実験を行います。

3. 総合行政ネットワークの組織と役割

 総合行政ネットワークは、平成12年度の実証実験を受けて、順次構築されていくことになりますが、このネットワーク上においてどのような組織が存在するのかを説明したいと思います。
1. 都道府県
 都道府県は庁内LANを中心に自組織のネットワークポリシーに基づき、ネットワークを整備し、管理、運用を行っています(以下これを「都道府県LAN」という)。一方で、都道府県には総合行政ネットワーク専用の設備拠点(以下これを「広域行政NOC」という)を準備し、そこに市町村が接続を図ります。そして、後述する総合行政ネットワークのNOCと各広域行政NOCを相互に接続することで、総合行政ネットワークが構成されます。
2. 市町村
 市町村は庁内LANを中心に自組織のネットワークポリシーに基づき、自組織内部ネットワークを整備し、管理、運用を行っています(以下これを「市町村LAN」という)。
 市町村LANは原則として総合行政ネットワーク運営主体の用意するアクセス回線を利用して、広域行政NOCへと接続します。この広域行政NOCを通じて各種アプリケーションやアプリケーション共通基盤ネットワークサービスの提供を受けることになります。
3. 総合行政ネットワーク運営主体
 総合行政ネットワーク運営主体は、地方公共団体との合意で定義される役割と責任範囲において、総合行政ネットワークを一元管理する総合行政ネットワーク拠点の構築、維持、管理、運営を行います。また、後述するASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)としても各種サービスを接続組織(地方公共団体及び広域行政ネットワーク運営主体)に対して提供します。
4. アプリケーション提供者(ASP)
 総合行政ネットワーク内で利用可能な各業務アプリケーションやコンテンツをサービスとして提供する主体及び必要となる物理的な拠点を、規定(ASPガイドライン)に基づいてネットワーク上に設置可能とします。ASPになり得る組織としては、総合行政ネットワーク運営主体、広域行政ネットワーク運営主体、地方公共団体、各省庁、将来的には民間企業等の外部組織等が考えられます。
 ただし、一般的に言われるインターネット経由でサービスを提供するASPとは行政機関内に閉じたサービスを行うという点で異なります。

4. 総合行政ネットワークのアプリケーション

 総合行政ネットワークは、各アプリケーションに共通の機能を切り出して統一的にサービスするアプリケーション基盤を持ち、認証基盤、ディレクトリ基盤、公証基盤(時刻同期等含む)、XML電文交換基盤などが含まれ、ペイメント基盤についても導入を検討しており、これらを利用した各種アプリケーションが今後実装可能となります。特に、共通の基盤としてアプリケーション間の電文をXMLで交換するXML電文交換基盤によって、アプリケーション作法の統一ができ、複数のアプリケーションに跨る処理を統一的な手法で解決することが可能となります。
 当初の基本サービスとしては、アプリケーション基盤と連動し、運営主体が提供する文書交換システム、情報掲示板等のサービスを提供する予定です。

5. おわりに

 国の行政機関のネットワークとして霞が関WANがあり、それに対応する地方公共団体のネットワークとして総合行政ネットワークを位置付けることになるかと思います。これら2つのネットワークが、行政機関における情報基盤の両輪として存在することにより、行政情報化が一層推進され、行政機関の総合ネットワークが構築されることにより、住民サービス等の向上をはじめ、政府が目標とする高度に情報化された行政、すなわち「電子政府」実現の一翼を担う基盤が成立することとなります。



NOC(Network Operation Center)
ネットワーク機器等の設備があるネットワークを管理する拠点
XML
WWW上で情報(構造化文書)を発信するための言語



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