bannertrend.gif  


自治日報社編集部
介護保険事務処理システム
稼働状況調査から



 自治日報社では、昨年11月、全国の市町村(3252団体)を対象に、平成12年4月からスタートした介護保険の事務処理システムの稼働状況に関する実態調査を実施、このほどその中間集計結果を取りまとめました。この中間集計時点における回答団体数は、1041団体(回答率36%)でした。以下、中間集計結果の主な内容をご紹介してみましょう。

1. 介護保険の運営形態

 全市町村における介護保険の運営形態をみますと、約37%の団体ではすべての業務を各市町村が単独で運営していますが、残り63%の団体では業務の一部または全部を共同で処理しています。共同処理の形態としては一部事務組合(32%)または広域連合(27%)が多く、また、共同処理業務の内容としては認定作業の共同処理(91%)がほとんどでした。

2. 導入システム

 現在、各市町村が介護保険事務を処理するため導入しているコンピュータシステムは、メーカー等のパッケージシステムによるものが76%を占め、自己開発によるものは2%とわずかでした。
 一方、これらパッケージシステムの主要メーカー、ベンダー別の導入構成比をみると、市町村全体では富士通(32%)、日立(20%)、NEC(17%)の大手3社で69%を占めていますが、TKCは8%、電算7%、その他16%となっています。これを町村のみについてみますと、前記大手3社の比率は65五%で若干比率が少なくなり、TKCは10%、電算9%とやや多くなり、その他は16%で同じ比率です(図1と図2)。

tr03-1.gif
spacer
図1 パッケージシステム・開発メーカー(全体)
tr03-2.gif
spacer
図2 パッケージシステム・開発メーカー(町村)

3. システムの開発費

 市町村が導入、運用している介護保険事務処理システムの当初開発費についてみてみますと、開発費の平均値は1. 大・中都市が9858万円、2. 人口10万人未満の小都市が3705万円、3 .町村が1928万円となっています(表1)。
 市町村にとって、このようなシステム開発費はかなり高額の負担となっていますが、このなかで最も目立つのはTKCの導入、開発費がきわめて低額であることです。TKCのシステムを導入し、導入価格を明記している市町村の当初開発費をみると平均値で286万円、最高でも567万円です。制度改正等に伴うシステム改修費についても平均値で202万円、最高で600万円です。
 TKCのシステムを導入している団体は小都市や町村が多いが、全国平均値で比較してもTKCのシステムは12分の1から6分の1以下というきわめて低価格であることが明らかになっています。

tr03-3.gif
spacer
表1 介護保険事務処理システムの開発費用・改修費

4. 導入システム選定のポイント

 市町村が事務処理システムの導入にあたり、システム選定の際、重視したポイントについてみますと、最も重視したのは「関連システムとの連携に優れている」ことが第1位にあげられ、次いで「メーカー等の信頼性」「管理運用の容易性」「開発業者のサポートが優れている」こと、「システムの保守が容易である」こと――などが重視ポイントとしてあげられています(表2)。

tr03-4.gif
spacer
表2 システム選定の重視ポイント・ベスト3

5. 導入システムの満足度

 市町村が導入した介護保険事務処理システムの稼働後の評価についてみますと、業務処理はまあまあ順調(63〜78%)に稼働しているものの、システムの操作性等については3割から4割弱の不満が出ており、特にメーカー等の対応については30〜45%が不満と回答しています。ユーザーとしてかなり不満足の状態にあることが示されているといえます(表3)。

tr03-5.gif
spacer
表3 導入したシステムの稼働後の評価(全市町村)

 市町村ユーザーが不満としている点をあげてみると、まず、システムの操作性や機能については、満足度は10%前後であるのに対して不満は29〜39%にのぼっています。特にシステムの機能については必要な機能は装備されているものの、実際の働き具合が悪いのか39%の不満が指摘されています。
 次にメーカー等の対応について不満度が高く、システム操作説明書は満足8%、不満45%、システムの研修は満足7%、不満42%となっており、高額のシステム導入費を負担したわりには、業者の対応がかなり不適切だったとの感想が多いようです。
 研修の実施回数をみると、最も多いところは導入後50回も行っているが、まったく研修を行っていない団体もあり、平均としては3、4回程度となっています。

 以上、介護保険事務処理システム実態調査の中間集計結果の要点をご紹介しましたが、この中で最も特徴的な点をあげるとすれば、システムの導入、開発費がメーカーあるいはベンダーによってかなり大きな差があること、そしてシステムを導入した市町村には業者の対応に不満を持っている市町村が多いことでしょう。
 介護保険の事務処理システムは、今後、まだ多くの制度改正が予定されており、そのつど、多額のシステム改修費を必要とします。したがって、どういうメーカーのシステムを導入したかによって全体の経費に大差がつくことになります。同時に順調な事務運営のため研修の大切さも指摘されていました。結局、システム導入時における業者とシステム内容の選定の重要さが再認識される調査結果といえるようです。



バックナンバーへ戻るspacer新風トップへ