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読んで得する本紹介
『図解やさしくわかるPFIビジネス』
『自治体のアウトソーシング戦略』



 PFI(Private FinanceInitiative)とは、行政が行ってきた公共サービスを民間企業の資金やノウハウを活用して実施する事業方式のこと。1990年代初頭に英国で考案されたもので、日本でも99年7月に『民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI推進法)』が成立しました。
 当初は言葉だけが独り歩きしていた印象のあったPFIですが、いま全国で22事業が動き出し、42事業で導入が検討されているほか、今年1月には国が行う衆院議員宿舎の建て替え事業に提案されるなど、日本でも着実に浸透しつつあります。
 さて、内閣府が所管する社団法人新構想研究会がまとめた『図解やさしくわかるPFIビジネス』(日本能率協会マネジメントセンター/03・3434・2331)は、そうした日本版PFIの在るべき姿と、社会へ及ぼす影響など幅広い観点で取り上げています。1つのテーマを見開きで簡潔に紹介しているので入門書にも最適ですが、内容はかなりシビア…。過去、多くの第3セクターが失敗に終わったことを教訓に〈官民の役割分担の明確化やリスクの分担、事業全体のチェック体制の強化〉などを提言し、安易にPFIを導入する風潮に一石を投じています。

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『図解やさしくわかるPFIビジネス』1800円(税別)

民間の“発想”も積極活用を

 これまでのところ、日本版PFIは公共施設などハード整備に限られますが、一方でホームヘルパー不足が囁かれるように今後はソフト面での活用も欠かせなくなるでしょう。
 また、本書ではPFI導入の真の目的は〈自治体の経営戦略的な発想と体質の抜本的な転換〉であると結論づけていますが、これと同じ視点に立ち11人の専門家が積極的な官民“協働”をすすめているのが、島田達巳編著『自治体のアウトソーシング戦略〜協働による自治体経営』(ぎょうせい/03・5349・6619)です。
 ここでいう「戦略的アウトソーシング」とは、従来型の単に業務の一部を外部委託するものとは一線を画し、競争戦略のために用いるアウトソーシングのことだとしています。いま〈自治体は、地方分権を追い風に本格的な競争の時代を迎えた〉と編者。この競争に勝ち残るためには、組織全体をスリムで筋肉質な、しなやかな体質へ変えなければなりません。それが、戦略的アウトソーシングであり、その核となる明確なコア・コンピタンスが欠かせないというわけです。
 コア・コンピタンスとは、その組織が最も得意とする分野、あるいはその組織でしかできない分野のことで、自治体でいえば政策立案などがこれにあたるでしょうか。行政に対する住民の期待が高まっているいまこそ、「本当に強みを発揮できない分野は民間に任せ、本来の行政としての役割に没頭することで競争力を高めよ」と本書は強調しています。
 そのためには、何をアウトソーシングし、受託者や監査方法などをどのように決めるかが重要ですが、これについては執筆者に名を連ねる自治体職員の事例報告が参考になるのではないでしょうか。また、耳慣れない用語には脚注説明があるので、途中で悩むこともありません。
 編者いわく〈アウトソーシングに真っ向から取り組んだわが国で最初の本〉――なるほど、パイオニアとしての役割を十二分に果たしている本です。


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『自治体のアウトソーシング戦略』2381円(税別)



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