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読んで得する本紹介
『情報公開ナビゲーター』
『eセキュリティ―』



 昨今、講習会が全国で開催されるなど、ITがようやく一般大衆化したと思えば、『ブロードバンド(トレンド2参照)』に代表されるようにIT革命の「T」(Technology=技術)は次の時代へ突入した感があります。また「I」(Information=情報)についても、各社の熾烈な競争によりユーザーにとってはコスト面等、歓迎すべき時代となりました。
 こうした環境変化を背景に、市町村においても庁内および地域におけるイントラネット構築など、より高度な情報化が進められていますが、肝心な「A」(Accessibility=入手可能性)については、どこまで進んでいるのでしょうか?
 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会編『情報公開ナビゲーター―消費者・市民のための情報公開利用の手引き』(花伝社/03・3263・3813)は、住民から見て現在の行政情報へのアクセス方法が不明瞭な点に着目。今年4月1日に施行された『情報公開法』の解説とともに、市町村における情報公開条例の現状を分析しながら、「どの行政情報に対し・どのような開示請求を行うか」について考えています。
 本書は住民側の視点で書かれていますが、なかには「情報公開の実務、判例の現状と課題」として情報公開条例を巡る判例なども取り上げており、行政にとっても参考となる1冊といえるでしょう。これで物足りない読者には情報公開に関するサイトも紹介しています。

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『情報公開ナビゲーター』1700円(税別)

公開と漏洩は表裏一体の問題

 ところで、情報公開と表裏一体で考えなければならないのが、悪意ある第三者による行政情報の不法入手をいかに防ぐかです。技術的な対抗策があるからと安心してはいられません。最近では、ソーシャルエンジニアリング(社交術などだましの手口で機密事項を盗む手法)という新手の不法侵入例もあるのだとか…。これだけネットワーク化が進むと被害も1ヵ所にはとどまらず、もしもネットワークを通じて第三者へと被害が拡大してしまった場合、社会的信用の失墜にもつながりかねないのです。
 松田晃一監修『eセキュリティ―IT時代のリスクマネジメント』(ダイヤモンド社/03・5778・7235)は、こうしたIT時代のリスクを「管理」するという視点から、セキュリティ対策の考え方、具体的な方策などについて取り上げています。特筆すべきは、行政機関のeセキュリティに関しても触れていること。
 「ここ1〜2年でもっとも社会的な影響が大きいと思われる」と評された『電子政府』について、「暗号技術と認証技術」を用いた「信用のインフラづくり」を訴え、具体的な対応策を示しています。
 これからの時代、行政が講じておくべき対策は外部要因への備えだけとは限りません。例えば、ネットワーク上で問題が発生後した場合「内外への報告をどうするか」「誰が、いつ、何を、どうやってシステムを復旧させるのか」「事故原因の究明と再発防止をどうやるのか」といったことを、日頃からきちんと考えておくことも必要なのです。
 こうして2冊を比べて見ると、一方は法制度を論じ、一方が技術を論じているとあって、関連性はなさそうな印象を受けるかもしれません。しかし、行政情報をいかに扱うかを考えるにあたっては、片側からの議論では十分ではありません。今後は、横断的な判断が必要とされるのではないでしょうか。


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『eセキュリティ―』1600円(税別)



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