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「経営」視点で開かれた行政を創る
変革の人・山崎町長の挑戦
静岡県蒲原町


蒲原町DATA 住所 静岡県庵原郡蒲原町2−16−8
電話 0543−85−7700
面積 14.69平方キロメートル
人口 1万3661名(H13.4.1現在)
URL http://shimizu.wbs.ne.jp/kambara-cho/


u07-1
蒲原町ホームページhttp://shimizu.wbs.ne.jp/kambara-cho/
蒲原町 山崎寛治町長(右) 蒲原町役場総務課 渡邉一雄参事(左)


◆就任からわずか2年間で、町長室・町長車の廃止、教育長の一般公募など、山崎町長は次々と行政改革を進めてこられました。まさに“時代”の最先端を走っておられるわけですね。驚いたのは日頃、自転車で町内を飛び回っておられるとか。
山崎町長 
狭い町ですから、どこへでも電動補助付き自転車で出かけますよ。町長には住民の声へ耳を傾けるとともに、行政がやっていることを知っていただく役目がありますからね。それに黒塗りの車から町を眺めるよりも、自転車の方が肌で感じられるだけ町の現状がよく分かります。いま、多くの企業が生き残りをかけた新分野・新事業の開拓に必死ですが、地場の水産加工業は品質管理だけが命で、私も一緒になって向上に取り組んでいるところです。
渡邊 ちょっとスケジュールが空くと、姿が見えなくなる…(笑)。でも、この2年で庁内は自由闊達な雰囲気に変わりましたね。私が若い頃は町長室へ入ることさえ憚られましたが、いまでは若い職員が山崎町長へ直接説明し指示を受けています。ただ、町長室を廃止した当初は大変だったんですよ。マスコミは取材に来るし、見学に来た住民が町長と話し込んでしまったり。スケジュール管理に苦労しました(笑)。
山崎町長 1人の能力には限界があるが、いろいろな人と話すことで、新しいアイデアを思いついたりする。人と人がつながることで「知恵」が生まれるんですよ。

「知」の創造をうながす環境整備

◆元企業経営者の経験がいきている?
山崎町長 
町長も経営者も、組織のリーダーとしての本質は同じです。違うのは、企業では個人の失敗はある程度許容しますが、行政の場合は失敗をはっきり確認し合ってしまうこと。これはつらい…。町長がいくら住民本位の姿勢を打ち出しても、住民に接する職員1人ひとりが自らの能力を十分に発揮して行政改革に取り組める組織風土がなければ、開かれた行政など為し得ません。そこで、まず町長と職員が直接話し合えるようにしたいと考えました。とはいえ意思疎通に時間がかかるようではダメ。イントラネットを導入したのも、そのためです。
渡邉 それまでは電算主導でOA化を進めてきたため、人事の硬直化などジレンマもありましたが、町長が庁内の意識改革を打ち出したことで情報化に対する考え方を一新し、思い切ってアウトソーシングとイントラネット導入を決めました。最初から1人1台のパソコンを配備。イントラネットの定着のため会議を減らす一方で、職員の雰囲気を盛り上げることにも努めました。
山崎町長 その甲斐あって、いまでは1日3回はメールを確認しないと仕事に支障を来すほどなんですが、うっかりとすべての職員へ「イントラで自由にスケジュール予約を入れていい」といってしまったので、最近は席に座っている暇がない(笑)。
◆それは、思わぬ効果ですね(笑)。
山崎町長 
行政、企業を問わず、硬直化した組織は個人が知識を創造し、顧客の視点で迅速に行動することを妨げます。その点、職員が町長へ直訴できる、意見をいえる環境が整ったのは一歩前進ですね。最近では「10分でいいから打ち合わせをしたい」と言ってくる職員が増えました。仕事で迷ったときに相談できる組織風土に変わったということでしょう。イントラネットは、こうした組織の活性化には有効な媒体です。ただし、並行して職員へ意識改革を促す働きかけもしなければ、十分な効果は期待できません。その場合、あらゆる情報をオープンにして庁内に“聖域”をなくすことが基本です。いま考えれば町長室の廃止なども、そうした働きかけの一つとなったのでしょう。これらの相乗効果で職員個々の意識が変化したんですよ。

住民参加のまちづくりを目指して

◆今後、あるべき行政の姿とは?
山崎町長 
これまでの行政には住民へ「知っていただく」という姿勢が不足していましたが、住民もまた地域経営の担い手であることを忘れてはいけません。今後は一生懸命「知っていただく」ことに努め、最終的に住民1人ひとりの意思決定が行政へ反映されるようにしたいと考えています。そうすることで行政がより身近な存在となり、住民も主体性を持ってまちづくりへ参加してくれるようになる―これが本来の健全な地域運営でしょう。もう行政が管理する時代は終わりです。『電子自治体』も、そうした情報開示の姿勢が前提にあって初めて意義をなすのであって、古い体質のまま情報化だけ進めても意味はない。審議会や内部会議の情報を住民と共有化する仕組みを作ることが、次なる課題ですね。
渡邊 今後は議会に対しても、すべての情報を公開する予定で、住民へもホームページなどを通じてタイムリーに情報発信する仕掛けを考えていきますよ。
山崎町長 政府の「聖域なき構造改革」の焦点として地方交付税の見直しが急浮上したことで、今後、行政改革も本格化することでしょう。でも、財政問題は1つの現象に過ぎません。本来の行政改革とは「よりよいサービスをより安く」するために何を行うかが問われているものなのです。その目標に向け、常に知恵を絞り、工夫を重ねることが大切なのは、企業も行政も同じではないでしょうか。


記者の目
取材中も職員へ声をかけ、指示を出すというマルチぶりを発揮した山崎町長。町民からは「蒲原町のカンちゃん」と呼ばれるとか。町長室だけでなく、町長と職員、行政と住民の心の「垣根」も廃止したんですね。



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