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コスト優先か? サポート重視か?
黒磯市が推進する戸籍情報化構想
栃木県黒磯市


黒磯市DATA 住所 栃木県黒磯市共墾社108−2
電話 0287−63−1111
面積 343.12平方キロメートル
人口 5万9052名(H13.7.1現在)
URL http://www.nasuinfo.or.jp/kuroiso/


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永藤希夫 市民環境部市民生活課課長(左)
小林道子 市民環境部市民生活課戸籍係長(右)


◆厳しい財政事情や人手不足がネックとなって、戸籍の情報化は相変わらず停滞ムードのようです。そうしたなか黒磯市では今年1月、戸籍システムを導入されました。その狙いや経緯を教えてください。
小林 
情報化への取り組みは昭和60年代からのことです。昭和63年、除籍・改製原戸籍のマイクロフィルムによる和紙再製にともない、黒磯市でもオフィス・コンピュータを導入して除籍・戸籍簿の見出検索を手がけました。その後、平成2年には戸籍と附票の記載、受付帳・副本などの出力もできるようにしました。さらに平成8年には除改籍システムを導入。そして今年、C/Sシステムによる総合戸籍システムを導入したわけです。総合戸籍システムを導入するために、平成11年秋には戸籍簿と附票の点検作業に着手。人手不足の問題は、市民係の協力を得たほか臨時職員1名を雇うことで解消しました。
永藤 黒磯市では将来のまちづくりのため『黒磯市振興計画』を定め、行政事務の情報化もこれに沿って整備しています。戸籍事務については、平成6年の法改正にともない平成8年に当時の担当者が情報化計画を策定し「前期5ヵ年基本計画」に掲げました。後期計画がスタートした今年、本稼働ですから、ほぼ予定通りですね。狙いはもちろん住民サービスの向上と戸籍事務の効率化です。現在、市の人口はおよそ6万人。戸籍届出件数は年間3000件、戸籍関係の証明発行は1日平均100件となり、これを5名の職員で担当しています。

戸籍法改正が情報化計画の転機に

◆システムを導入されていかがですか。
小林 
何といっても証明書の発行処理が早くなりました。市民も驚くほどです。また、担当者にとっては戸籍の検索時間が短縮されたほか、関連事務の一元的処理によりミスがなくなり、戸籍簿の管理も簡単になりました。また、決裁(従来の記載調査)するまでは、何回でも再入力が可能なので、精神的にも楽になりましたよね(笑)。以前は間違えると「何字削除」「何字加入」など、戸籍簿に履歴が残りましたからね。さらに管内の届出であれば、届出入力をするだけで移記する必要がありませんし、コンピュータ化された市町村間であれば受付時に文字を確認する作業も容易です。
永藤 また、データの保全・保護が完璧になった。従来は年に何回か戸籍簿の紛失騒ぎがあり、職員はその日に出し入れした戸籍簿が正しい場所に戻っているかどうか確認してから帰宅していました。しかし、システム導入後はペーパーレスとなったため、そんな心配は一切なくなりました。さらに一連の作業が効率化されたことで窓口業務にも余裕ができたと感じています。
◆導入を検討中の市町村では、準備作業にあたって数々の疑問や不安を抱えていると思います。黒磯市の場合、システム導入成功の要因は何だったのでしょうか。
永藤 
計画を立てても、時代環境に左右され予定通りいかないのはよくあること。戸籍の場合もそうでしたが、担当者が熱意をもって目的達成に向け一歩ずつ計画を実行してきた。それが成功要因といえるでしょうね。システム選定にあたっても、目先の導入コストだけではなく、法改正時のシステム改修費や日頃のサポート体制なども含めて総合的に判断しました。一度導入したら簡単に交換できませんし、窓口ではシステムトラブルによる業務の停滞は許されません。そんな場合でも、何かあった時に、システム提供会社がすぐサポートへ来てくれないようでは困りますからね。
小林 また、改製作業中は旧戸籍法などで分からないことや不明な点も多くありました。そんな時でも、システム提供会社が的確なアドバイスができるかどうか、戸籍に関する知識が高いかどうかも判断材料のひとつでしょうね。

気になる「戸籍ネット」の動き

◆今後の展望はいかがでしょうか。
永藤 
内閣府の世論調査では、「選択的夫婦別姓制度」導入を容認する人が4割に達し、旧姓の通称使用を認める人と合わせ65%が制度を肯定する結果が出ました。それだけ考え方が変わってきたということで、今後、民法改正の動きも本格化するでしょう。そうなると、コンピュータなしでは管理できません。その点、黒磯市では法改正が行われた場合でもスムーズに対応できるだろうと考えています。
小林 昔と比べ、市民に情報が浸透するスピードが非常に早い。新聞が取り上げると「夫婦別姓は、もうできるのか」という問い合わせがあるほどで、住民のニーズが確実に変化していることを実感させられます。費用対効果の面では、証明書等の自動交付機などもまだ問題がありますが、最低限の整備はしておかなければいけませんね。
永藤 戸籍はひとまず落ち着いたので、今後は住民基本台帳ネットワークへの対応です。それが終わると今度は戸籍のネットワークが控えています。17年度には実現されるともいわれており、そうなると住基ネットの整備とともに戸籍の情報化も完了しておかないと後が大変になる。我われももうひと頑張りですね。


記者の目
21世紀を迎え、人と人、人と自然、都市と農村の共生をはかりながら、国会移転促進など各種事業を推進する黒磯市。ここは、まさに〈やすらぎの緑に活力あふれるゲートシティ〉といえる。



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