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自分のことは、自ら考えよ。
構想日本代表 加藤秀樹
かとう・ひでき 73年京都大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。証券局、主税局、国税庁などを経て退官。97年に「構想日本」を設立。同年より慶應義塾大学総合政策学部教授。



 少子高齢化や環境対策、地域経済の活性化など、地方自治体が早急に取り組むべき課題が山積みとなっている。しかし、長びく景気の低迷によって税収は減る一方、200兆円近い地方自治体の借金が財政を圧迫し、大部分の自治体が地域社会の将来に暗い影を見ている。
 まがりなりにも、地方分権の時代といわれ、また、国にはもはや地方の面倒を見る力はない。当然、地方自治体はこの難局を自力で乗り切らなければならない。そのためには、従来の国頼みや横並び意識を改めて、行政機構を効率化して財政をスリム化するとともに、住民満足の最大化のため経営資源の選択と集中を図ることが必要だ。だが私の見る限り、自治体はまだまだこうした危機的状況をきちんと理解していないような気がしてならない。
 江戸時代の日本は、300諸侯のそれぞれ独立した国が集まった一種の連邦国家のようなものといってもいいかもしれない。幕府が財政の面倒を見てくれるわけではなく、藩政が立ち行かなくなれば改易となる。このため諸藩は、それぞれの「くにづくり」に工夫を凝らし、農業や商工業を奨励し、人材の育成を行った。現代風にいうならば、藩の経営マネジメントである。当時の行政官たちは自らの得意分野を徹底して探し、自分たちに何ができるかを必死になって考えたはずだ。
 そうした自己責任・自己決定こそが、本来の「自治」であり、その点は現代の地方自治体でも同じだ。
 いま自治体に求められている行財政改革は、個別の事務改善や職員の自然減など小手先の対応で成し遂げられるものではない。ましてや国がやってくれると思ったら大間違いだ。まずは、自分のことは自力でできる仕組みを考える必要がある。
 国から地方への財源移譲については制度改革によって実現させなければならないが、同時に国や都道府県の補助をあてにせず何ができるのかを真剣に考えるべきだろう。それによってサービスを削らなければならないのであれば、すべてをオープンにして「どうすればいいか一緒に考えましょう」と住民へ問いかければいいのである。これは責任の放棄ではなく、責任のシェアだ。情報公開は、そのための手立てでもある。
 すでに先覚的なリーダーたちは、独自の視点に立って現代の「くにづくり」を始めている。最近では独自課税などの議論も活発となってきた。自治意識を高めるためにも、各地がアイデアを競い合うのは結構なことだ。
 地方自治体は、国主導という長き太平の眠りから覚めて、再び自ら考えることを始めなければならない。これからが、むしろ地方ルネッサンスの時代なのだ。(談)



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