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読んで得する本紹介
『IT革命――ネット社会のゆくえ』
『「電子自治体」ビジネスモデル――IT・PFI ASP』



 電子政府・電子自治体が目前に迫りながらも、その実態はまだ明確とはいえません。
 イメージを求めてインターネットの検索サイトへアクセスしても、なかなか満足できる情報が見つからない…。こうした現状を改めてIT革命の本質から考え直そうというのが、西垣通著『IT革命――ネット社会のゆくえ』(岩波書店/03・5210・4000)です。
 本書は、「インフラ整備によるブロードバンド時代の到来」「放送と通信の融合」「家電製品のインターネットとの接続の普及」といったテーマを取り上げ、これらによって今後、人々の生活はどのように変わっていくのか、都市空間、居住空間、あるいは共同体はどう変容するのかを探ったもの。
 著者がここで示しているのは、いわばネットワーク社会の“ビジョン”です。電子政府・電子自治体の姿を創造するのは、まさに「われわれが生きるに値する未来社会とはどんなものか」を考えるということになります。その点で、本書は「今後、市町村がどの方向を目指すべきか」という疑問に答えてくれる一冊といえるでしょう。

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『IT革命――ネット社会のゆくえ』700円(税別)

ビジョンと具体的方策

 さて、ビジョンもさることながら、市町村にとって、もうひとつ気になるのは電子自治体を実現するための具体的な“方策”だと思います。
 そうした電子自治体推進のための5つの基本戦略と具体的な推進手順を詳解したのが、井熊均編著『「電子自治体」ビジネスモデル――IT・PFI ASP』(日刊工業新聞社/03・3222・7131)です。本書では、電子自治体を推進するための民間企業とのアライアンスなど、いくつもの具体策を提言しているのが特徴です。そのなかで、行政経営の効率化を図る有効的な手段として挙げられているのが、最近注目されている「ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)」です。
 ASPとは、インターネットを介し、アプリケーションをユーザーへ提供する仕組みのこと。一般に、ソフトウェアを売り切るのではなく、顧客へソフトが使える環境を提供するもので、この場合はASP事業者(外部委託会社)がソフトを所有し、顧客が最高の状態でそれを使えるようメンテナンスなどを行うサービスの形態を呼び表します。これにより顧客は、システムの運用・保守に関する作業が軽減し、コスト削減もできるというわけです。
 ただ、電子自治体とは業務効率化やコスト削減を実現すればいいというものではありません。これについて井熊氏は、電子政府とは「ITを有効に使って、構造改革を成し遂げた政府」であると定義し、住民=顧客という発想に基づいてサービスの付加価値を高めていくことが重要と述べています。また、情報システムなどの整備は必要だが〈そればかりに目を向けすぎるとハード偏重できた過去の失敗を繰り返すことになる〉とも警告しています。
 電子自治体の最終目的は、〈地域に住むすべての住民が公平かつ便利で質の高い公共サービスを享受できるようにする〉こと。
 そう考えると、市町村は業務効率の改善だけで満足してはならないといえるでしょう。住民の自治体への期待度は、以前とは比べようもないほど高まっているのですから…。


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『「電子自治体」ビジネスモデル――IT・PFI ASP』 1600円(税別)



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