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注目集める「住民参加型ミニ公募債」



 地方自治体の2000年度決算をまとめた『地方財政白書』によれば、地方債残高は前年度比2.0%増の128兆1116億円と前年に続いて過去最高を更新。これにより地方債残高を含む借入金残高は、181兆4072億円(4.4%増)となった。この結果から、地方財政の硬直化が一段と進んだことが分かる。
 そうしたなか、財団法人地方債協会が今年1月、地方債に関する調査研究委員会の中間報告書『地方分権時代における地方債制度の将来像』を公表した。地方債協会は、本書のなかで市町村の財政資金の調達先として「住民参加型ミニ市場公募債(ミニ公募債)」の発行を提案している。  地方債には、不特定多数の投資家を対象とする「公募債」と自治体の指定金融機関などを対象とする「非公募債(縁故債)」があるが、公募債の発行は主要都道府県と政令指定都市に限定されている。これに対して「ミニ公募債」は文字通り公募債の小型版で、小規模団体でも発行が可能なものとして総務省が準備を進めてきた。これを購入してもらうことで、住民にも自治体が実施するプロジェクトへ“投資家”として参加してもらおうというものだ。
 今年3月には群馬県が全国で初めて『愛県債』10億円を発行したが、ペイオフ解禁を控え住民から新たな投資対象として注目されたことも手伝って、販売開始後わずか18分で完売したという。このほかにも鳥取県や茨城県、太田市、神戸市などが計画を公表しており、総務省では今年度中に15団体、200億円程度が発行されるものと見込んでいる。

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太田市のセグメント・バランスシート

住民の支持をいかに得るか

 地方債協会では、ミニ公募債の発行によって、(1)地方分権や住民自治が促進される、(2)資金調達の多様化を図ることができる、(3)住民や市場による財政運営の客観的評価が可能となる、(4)住民の行政への参加意欲や関心が高まる――などの利点があるとしている。
 とはいえ、日本の地方債残高のうち個人保有分は8%ほどで、米国が30%以上であるのに比べるとまだ少数だ。そうした状態にあって、ミニ公募債が売れるかどうかは、住民の支持を得られるかどうかにかかっているといえるだろう。その資金を充てる事業内容もさることながら、自治体の日頃の経営姿勢やイメージなども深く影響するであろうことは否めない。市町村は決算情報の充実・開示へ従来以上に積極的に取り組むとともに、今後はIR(InvestorRelations/投資家向け広報)活動も意識すべきだ。
 IR活動といっても難しく考える必要はない。基本は、住民が正確に評価し判断するのに十分な材料を、公平かつ誠実に提供することだ。できればポスターやインターネットなどを活用し、誰にでも分かりやすい情報として一般に広く公開するのが望ましい。例えば群馬県太田市では、市の施設運営のために住民がいくら負担しているのかを示す「セグメント・バランスシート」を公表しているが、その内容は中学生レベルでも理解できるよう工夫されている。
 日本人はしばしば目的と手段を混同するといわれるが、ここで大切なのは情報を公開することではなく、いかにして住民に理解してもらい、支持を得るかだ。長期的視点に立てば、太田市のような地道な努力が、市場や住民の評価を高めることにつながるのである。



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