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地域と一体になった福祉社会を目指す
今市市の認定審査会支援システム
栃木県今市市


今市市DATA 住所 栃木県今市市本町1番地
電話 0282−22−1111
面積 243.54平方キロメートル
人口 6万3462名(H14.10.1現在)
URL http://www.city.imaichi.tochigi.jp/


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今市市市民福祉部厚生福祉課介護保険室・岡部冷子主査(左)
今市市市民福祉部厚生福祉課介護保険室・矢嶋尚登主査(右)


増加する認定審査事務

◆今市市では、このほど介護保険認定審査事務を支援するシステムが稼働しましたが、導入までの経緯を教えてください。
矢嶋 
通常、介護保険認定審査業務の資料としては『訪問調査票』『特記事項』『主治医意見書』があります。今市市ではより正確な判定を行うため、これに加えて独自に『レーダーチャート比較』『今回調査と前回調査の相違比較票』『介護認定審査会資料』を作成しています。現在、市の65歳以上人口は1万2000名で、うち1200名が介護認定者です。高齢化社会の進展で認定者割合が高まっていくのは確実で、今後、審査事務の作業量も増大する一方です。そこで、効率化できる方法があれば積極的に採用しようと導入したのが『iRavit』(開発元・西日本新聞社)です。
◆実際にシステムを導入してみて、いかがでしたか。
矢嶋 
まだ導入したばかりなので不慣れな部分はありますが、審査会資料の作成はずいぶん楽になったと思います。例えば、調査項目と主治医意見書の内容に相違点がないか事前確認を行っていますが、これが今回のシステムでは簡単に突合できるようになりました。また、ケアマネージメントの際に審査会資料を提供しますが、この提供資料作成に伴う〈ファイルから該当資料を取り出し、開示できない部分を隠してコピーする〉作業からも解放されました。
◆なるほど。審査会委員の方や訪問調査員の方の反応はいかがでしょうか。
岡部 
調査員の方は、個人差はあるものの皆さん携帯電話などで“機器”に対する抵抗感が少なく、操作に慣れるのも早いようです。審査会委員の方については、従来の審査資料と書式などが異なるため、最初のうちは「資料の見方が分からない」などという声もありましたが、慣れるにしたがい「この部分はこうしてほしい」など具体的な要望が出されるようになっています。特に、委員会で評価しているのが、前回調査時と今回調査時の判定データを比較・検討できるという点です。認定審査会はあくまでも現在の状態を判定する場ですが、「過去にどんな状態を経て、現在にいたったのか」という情報は大変重要ですからね。

行政は住民の“サポーター”に徹せよ

◆今後、このシステムをどう活用していこうとお考えでしょうか。
矢嶋 
現在、認定審査会が終了するごとに個人情報保護のため大量の資料をシュレッダーで処理しています。将来、認定件数が増えてくれば、比例して紙の需要量も増加します。認定資料をデータ化することで、いずれはペーパレスを実現したいですね。また、認定審査の目的は判定だけではなく、介護を必要とする高齢者にとって〈最適なケアとは何か〉を考えることであり、そのためにも蓄積された認定審査情報を活かせないかと考えています。個人情報保護の問題はありますが、住民指向のサービスという観点で考えれば、いずれそうしたことも検討すべきでしょう。
◆なるほど。高齢化社会となったいま、今市市では今後どんなことに取り組もうとされているのでしょうか。
岡部 
地域福祉の課題は、机上の空論では決して解決できません。そこで今市市では、いろいろな機会を通じて住民の意向やニーズを把握し、住民の地域行政への参画意識を高めてもらえるよう働きかけを行っています。例えば、平成13年度から始まった高齢者の「自立支援事業」では、具体的にどんな事業を行うかを個々の地域に任せています。骨折転倒や脳血管疾患の予防など年間の共通テーマは定めますが、事業内容を見ると、健康相談や理学療法士を招いて「家の中で転ばないためには」という講習会を行う地域があれば、落語を聞いたりガーデニング教室を実施する地域もあるという具合で実に多彩です。この事業は15年度でひと区切りとなりますが、行政の“お仕着せ”ではない自主的な活動がそれぞれの地域に根付けば、その先にまた新しい展開が見えてくるのではないかと考えています。
矢嶋 介護保険制度を機に福祉行政の在り方が大きく様変わりし、住民にとって福祉サービスとは、行政から与えられるものではなく自らが選ぶ時代となりました。行政はそれを支援する“サポーター”だと考えています。とはいえ、行政が率先して解決しなければならない課題が多いのも事実です。例えば、特別養護老人ホームの問題では、現在ほとんどの自治体において入所待機者が列をなし、本当に必要な人が入所できない状態で、ショートステイや老人保健施設がこうした人たちの受け皿とならざるを得ないケースも数多く見られます。こうした課題は、地域と行政が一緒になって考えていかなければ解決できませんよね。幸いなことに栃木県では、今年度中に入所基準に関するガイドラインを示す予定とされており、今市市としてもこの指針を参考に、特別養護老人ホームを運営する事業者や関係機関の協力を得ながら適切な入所基準が策定されることが望ましい、と考えています。住民と行政が一体となって、誰もが安心して暮らせる地域福祉を実現する―この理想を目指して、関係者全員がもっと頑張らなければなりませんね。


記者の目
住民が福祉サービスを自ら選ぶ時代、今市市のように住民自らが企画・運営を行う取り組みはすばらしいですね。みなさん、自分の住んでいるところを誇りに思っているんだなあとお話しを聞いて感じました。この活動が、ほかの地域にも広がっていってほしいと思います。



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