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市町村における
アウトソーシング戦略とその方向性
摂南大学経営情報学部教授
島田達巳
しまだ・たつみ 中央大学法学部卒、経営学博士。横浜商科大学、東京都立科学技術大学等を経て、14年4月より現職。『自治体のアウトソーシング戦略―協働による行政経営』など著書多数。



 財政危機が深刻化を加えるに伴い、アウトソーシングの実施に踏み切る自治体が増えている。これまでにも市町村は情報システムの開発・運用・保守などの一部を外部委託してきたが、ここへきて一気に加速する気配がでてきた。総務省によるフロントオフィス(外部対応)業務とバックオフィス(内部対応)業務の共同アウトソーシング構想の影響である。
 この構想は諸外国にも例がないとみられ、壮大な構想でありぜひ成功させたいものだ。「介護保険制度」以後、事務の広域化やシステムを共同開発するなど市町村の考え方も変化してきた。財政難に加えITが陳腐化するリスクを最小限とすることなどを考えても、この方向は望ましい。  従来、多くの自治体は、自治体ごとに各アプリケーション(適用業務)をオーダメードで内・外要員で開発・運用してきた。各市町村の業務は、民間企業の業務が企業ごとに異なるのに比べ類似性・共通性は高い。加えて、市町村相互の競争性は民間のように高くないため、複数自治体の共同開発・運用は、個別のそれに比べて効率性は高い。
 計画では、フロントオフィス業務は平成15年を目途とし、(1)電子申請・届出、電子申告、(2)電子入札、電子公証、(3)電子調達、(4)電子納税、(5)情報公開、などを範囲としている。一方、バックオフィス業務は18年を目途とし、(1)文書管理、(2)プロジェクト管理、(3)財務会計、(4)人事給与、(5)電子決裁、(6)政策支援、などである。これら業務を、都道府県単位で各市町村の業務を標準化し、共同利用しようという。システム構築や共同センターの設立・運用には、県主宰型、県市町村共同型、市町村共同型など種々の方法がある。共同アウトソーシングによって、効率性向上のほか、住民サービス向上やIT関連産業との連携により地域の雇用創出も期待される。
 ただ、成果が上がるかどうかは各県単位での推進の仕方如何だ。白いキャンパスに絵を描くのと異なり、各市町村とも異なるIT化段階のもとでの標準化、構築である。業務の標準化を通してどの程度の改革を行うのか、どんな種類のアプリケーションにどの程度の範囲で参加するのか、アウトソーシングによってどの程度省力化するのかなどにより成果は大きく変わってこよう。業務の標準化一つとっても容易なことではない。課題は山積しているが、ぜひ乗り越えて大きな成果をつかんでほしい。
 今後、市町村は、これまでのように帳票レイアウトの違いのレベルでの差別化を競うのではなく、共同アウトソーシングや合併に伴うシステム統合で、標準化により資源の共用化をできることは徹底的に効率化し、政策立案の分野でこそ個性を競い、光輝くまちや村を築いてほしいものである。



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