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ユビキタス社会と電子自治体
社団法人行政情報システム研究所 理事長
百崎 英
ももざき・ひでる 1958(昭和33)年、東京大学法学部卒、行政管理庁入庁。長官官房秘書課長、統計局長、行政管理局長、事務次官などを経て、91年7月総務庁を退官。同年8月から現職に。



 ユビキタス社会というのは、いわば、「いつでも、どこでも、誰とでも、どんな端末でも」ブロードバンドで容易にネットワークにアクセスできる社会であるといってよいであろう。
 そこでは、パソコンはもとより携帯電話、情報家電、家や車など様々なものがネットワークで結ばれて有線と無線、固定と移動、放送と通信などの壁を超えた情報のやりとりが行われることになるわけである。そして、このような社会は、いまや私達の手の届く所に来ているのである。
 ちなみに、2005年に世界最高水準のIT国家の実現を目指すわが国は、e―Japan戦略において、高速あるいは超高速インターネットアクセス網に常時アクセスできる世帯数の目標を掲げたが、すでに3年足らずのうちにこの目標は達成され、目下、戦略自体の見直しが行われようとしているのである。
 ただ、こうしたブロードバンド化とユビキタスネットワーク環境の整備が電子自治体の構築と運用の面で具体的にどのように活かされるのか、いまのところ必ずしも明らかにされているわけではない。だが例えば、地域的なあるいは人的なデジタル・デバイドの解消をはじめ、特に教育・医療・労働などの面では大きな効果を発揮することが期待でき、また、自治体と住民との間で画像や音声をふくむ膨大な情報のやりとりが可能となることによって、情報提供・事務手続など行政サービス面の向上はもとより、今後の対応如何によっては、eデモクラシーの実現に向けた大きな前進が期待できるのではないかと思われる。この場合、住民がパソコンだけでなく双方向のテレビや携帯など身近な端末を使って(文字通りマルチ・メディア)、画像などを含む情報を発信できることは、考えようによっては画期的なことであるといってよいであろう。
 一方、このような社会では、個人情報の保護を含むセキュリティ問題が深刻化することは、いうまでもない。特に情報家電や家・車、果ては時計・カメラなど身の回りのさまざまなものがネットワークで結ばれ、人間とこれらの機器間だけでなく機器相互間で情報のやりとりが行われるようになると、セキュリティ問題は、これまでのようにベンダー主体というわけにはいかず、ユーザー自らが責任を分担することが必至となるであろう。
 まさに便利で豊かな反面、自らの判断と責任で行動することが求められる厳しい社会が到来するのである。と同時に、地方自治体は、自治体経営をはじめ住民サービスの向上あるいは行政事務の効率化などの面でユビキタス環境をどのように活かしていくのか、その力量と責任が問われることになるわけである。



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