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特集タイトル2-2



1.税業務

 合併前後には、納税相談の増加が予想されます。これにきちんと対応するためにも、合併協議の早い段階から関係市町村間の条例や規定などの調整を進めるとともに、ますます複雑・多様化する税業務をスムーズにこなせる「組織体制」と「情報システム」の整備が欠かせません。
 なかでも情報システムの統合・再構築にあたっては、関係市町村の税務データを正しく統合することに加え、合併後も旧市町村の状況を把握できるようにしておく必要があります。このほか合併に伴う業務上の留意点は以下の通りです。
(1)不均一課税への対応
 合併特例法により合併年度およびその後5か年度に限り不均一の課税を行うことができます。このため地域によって適用税率が異なることになり、数種類の税率の管理が必要です。
(2)普通交付税合併算定替への対応
 一般的な算定方法では、合併によって普通交付税の金額が減少します。そこで合併特例法では、市町村の収入が極端に減ることのないように、〈合併が行われた日の属する年度及びこれに続く10年度について、合併関係市町村が合併しなかった場合と同様に算定し、その後5年度については段階的に増加額を縮減する〉とされています。情報システムでは、各種課税データを旧市町村と新市に振分けができる集計機能が必要となります。
(3)管理すべきデータ量の増加への対応
 合併前に比べ人口規模が拡大することから、必然的に管理すべきデータも増加します。加えて、「合併前の個人コード」「合併前の住所」「合併前の税率」などデータの種類が増加することから、これらを意識したシステム改修が必要です。

2.福祉業務

 福祉業務は、17年度に向けてさらなる業務内容の見直しや統合が予想されます。時期的に市町村合併の特例期間と重なるため、国の制度変革と合わせて合併後の総合福祉窓口の組織編成などを考えなければなりません。
 特に、新市を創設する場合、生活保護や児童扶養手当等の受給者管理業務が都道府県から委譲されるため、制度改正に対応しながら、データ統合が行える効率的な情報システムの構築が不可欠です。
 いまや介護保険や支援費制度により、住民は施設や在宅サービス事業者を自由に選択できるようになりました。また、電子政府構想により、インターネットによる給付申請受付や都道府県への統計報告の電子化なども想定されることから、人口規模が拡大しても住民に最適な福祉サービスの提供を迅速・正確に行える組織作りが大切です。
 そのため、今後は地域に密着した福祉サービスの窓口となる「福祉事務所」を核として、「在宅介護支援センター」や「保健センター」「社会福祉協議会」など出先機関との役割分担を明確にするとともに、市町村における住民福祉情報を一元管理できるシステム作りが重要となります。このシステム構築においては、全国統一の国の施策への対応と市町村独自の福祉サービスの対応など相反する課題もあり、合併に伴う福祉システムの統合作業には少なくても1年以上の準備期間と検討が求められます。

3.戸籍業務

 戸籍業務の電算化を終えているのは、まだ1200団体程度ですが、合併検討が全国的に拡まるなか、戸籍の電算化に取り組む市町村も急増しています。
 仮に、合併時点で電算化していない場合は、(1)本籍地の変更記載(戸籍・附票)、(2)住所地の変更記載(附票・住基システム)、(3)本籍地変更に伴う他市区町村への通知(住民基本台帳法9条2項通知)作成と送付、(4)住所地変更に伴う他市区町村への通知(同19条1項通知)作成と送付――といった膨大な作業を手作業で行う必要があります。これらの作業を正確、かつ円滑に進めるためにも、合併前の電算化が望まれます。
 戸籍システムは法務省の「標準仕様書」に則っているため、ベンダーによって仕様が大きく異なるということはなく、ほかの業務システムに比べると、統合作業における課題はさほど多くありません。ただし、文字(漢字)については、「標準仕様書」で規定されていないため、ベンダーによって使用する文字フォントが異なり、統合後、同じデザインの文字に変換される保証はありません。
 これは戸籍システムとほかの業務システムとで、採用しているベンダーが違う場合にも同じことがいえます。例えば、戸籍証明書の文字と住基・税務等の証明文字をデザインも含め同じ文字を使用するとすれば、同一文字フォントを採用しているシステムを採用するのが、円滑な統合を実現する一番の近道です。

4.ネットワーク

 市町村合併に伴い、新市では旧市町村と比べて住民サービスエリアが広がります。これによって住民サービスの低下を起こさないよう、支所(出先機関等)を活用して行政機能の強化を図ることが大切です。そこで、本庁と各支所間を効率的な広域ネットワークで結ぶ必要がありますが、整備が不充分だとサービス低下に加え、本庁支所間等の移動に伴う時間や人的コストの増大にもつながります。
 こうした事態を防ぐためにも、本庁と支所の役割分担・地域内分権をどう進めるかなど、機能的権限のあり方について十分に検証しながら全体の体制作りを行う必要があるでしょう。
 また、合併に際して地域情報化を実現するためには、IT社会の変化を捉え、計画性を持って住民ニーズに合ったサービスを提供する必要があります。これについては、以下の観点から情報システムの整備を考えなければなりません。
(1)業務環境を支えるシステム基盤整備
 通信基盤をはじめ、庁内LANや地域イントラネット、セキュリティ基盤などシステム基盤の整備は、各種業務システムの「信頼性」「安全性」「容易な拡張性」を確保するために重要な作業です。
(2)各種業務システムの整備
 各種業務システムを整備するため、システム統合による仕様変更やデータ形式の統合、データ移行、ハードウェア設計などを行います。
(3)制度や組織体制の整備
 新市が誕生するにあたっては、新たな市町村建設計画を策定することに加え、情報セキュリティポリシーや情報化基本計画の策定が欠かせません。
 なかでも、(1)については電子自治体への対応にも大きく関わるため、セキュリティ対策とともに合併協議の初期段階のうちから検討する必要があります。

5.情報セキュリティ

 電子自治体の実現により、市町村の業務スタイルも今後大きく様変わりします。一方、地方自治体には行政情報や個人情報などの重要な情報が蓄積され、そのほとんどが電子化されているのが現状です。このため、地方公共団体はほかの組織以上に外部攻撃の格好な対象となることが想定され、十分な対策が必要です。
(1)情報セキュリティの脅威と影響
 ネットワークを取り巻く環境には、自然災害の脅威、改ざん、データ流失等の内部・外部の人的脅威、不正アクセスなど多くのシステム脅威があります。これらはシステムの停止、個人情報の漏洩などの被害をもたらし、その結果、行政サービスの中断、多大な復旧コスト、行政イメージの低下、被害者からの訴訟といった影響が表出します。そこで、総合行政ネットワークでは「総合行政ネットワーク基本要綱/セキュリティ基本方針」をまとめ、各種条件を満たすよう要請しています。また、新市の情報化基本計画等では、住民へ情報セキュリティポリシーの基本方針を示すことも大切です。
(2)情報セキュリティポリシーの早期策定
 よく「情報セキュリティポリシーは、法定協議会や任意協議会の構成団体でひとつ策定すればいいのか」という質問を受けますが、これは「構成する団体個々に策定する必要」があります。特に、総務省は今年2月に「情報セキュリティポリシーの早期策定等情報セキュリティ対策の徹底について」を発信し、今年度末までの策定を促進していることから、早期の対策が求められます。
 このほか、電子自治体の進展によってアウトソーシングやASPサービスの活用も加速度的に広まります。個人情報保護法の外部委託に関する規制条項と情報セキュリティポリシーの外部委託基準との整合を図り、条例化する処置も必要となるでしょう。



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