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始まった、情報弱者を作らない取り組み



 市町村のホームページが「住民ポータルサイト」としてさまざまな機能を持ち始め、行政手続や関連情報入手の手段としてインターネットの利便性が再認識されている。
 しかし、現状は本来この利便性を一番待ち望んでいるはずの視覚・聴覚・肢体に障害を持った人や高齢者などが、コンピューターの扱いに慣れていない、必要な機能がホームページにないなどの理由で情報を享受できずにいる。
 とはいえ、こうした「情報弱者」へ対する市町村の取り組みもずいぶんと進んできた。その現状を大別してみると(1)教育・人材育成、(2)人的・物理的支援、(3)eコミュニティの創出、の3つに分けることができる。
 まずはIT講習会などの〈教育・人材育成〉だ。IT講習会といえば一般に主婦や高齢者を対象にしたものが多いが、このなかから地域の「ITリーダー」も生まれつつある。
 たとえば京都府近江八幡市の『近江八幡ITネットワーク』は、市が開いたIT大学の受講者が「講座で学んだ知識を地域に還元しよう」と14年4月に発足したもので、高齢者や障害者のIT活用の支援などをめざしているという。
 また、〈人的・物理的支援〉としては、富山県山田村の例が有名だが、最近では兵庫県淡路町のように商工会などの協力を得て住民へADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line/非対称デジタル加入者線)利用の働きかけを行い、その利用希望者名簿をもとに事業者へサービス開始を要請する――などといったユニークな取り組みも見られるようになった。このケースでは、初期費用を町が負担することで月額の通信料金を大幅に引き下げ、住民の負担も少なくなっている。
 さらに市町村ではないものの、福井市社会福祉協議会では障害者やその家族を対象に「パソコンの貸し出し事業」を開始。特に障害者がITを活用する場合、音声読み上げソフトや入力補助装置など支援機器が必要となるが、この分野にはまだ専門家が少ないたことから、協議会では、こうした支援機器の紹介や購入相談にも応じているという。

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台東区のメールサービスは、窓口とホームページのどちらからでも登録できる

「始める」「慣れる」きっかけを

 最後の「eコミュニティの創出」についても、ホームページやインターネットを使って独自の工夫をする市町村が登場してきた。
 東京都台東区では60歳以上の高齢者を対象に月2回、『高齢者メールサービス』というメールマガジンを発信している。現在の登録者は約100人。当番医の情報、あるいは演奏会や講習会など参加型のイベントも数多く紹介されている。
 これについて台東区保健福祉部高齢福祉課・堀越龍太郎主事は「高齢者が必要としている情報を、まとめて発信したいと考えたのがサービスのきっかけです。メールなら費用がさほどかかりませんし、IT講習会の受講者が増加していることから、パソコンを使う高齢者もどんどん増えていくでしょう」と語る。
 高齢者にとっては、このような生活に密着したサービスがパソコンに慣れるきっかけのひとつとなるだろうし、情報を得ることで社会へ参加する機会も増えてくる。
 「メールによるアンケートでは回答率も高く、おおむね好評でした。今後は内容の充実を図るとともに、より多くの人に利用してもらえるよう講習会や広報誌などで宣伝を続けていきたい」と堀越氏。  誰もがあたりまえのように情報を受け取り、発信できる社会へ。これぞまさしくeコミュニティの目指すべきところだ。今後の市町村の積極的な取り組みが期待される。



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