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蒲原町に見る危機管理の考え方
静岡県蒲原町


蒲原町DATA 住所 静岡県庵原郡蒲原町新田2−16−8
電話 0543−85−7700
面積 14.69平方キロメートル
人口 1万3392名(H15.2.5現在)
URL http://www.town.kambara.shizuoka.jp/


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蒲原町総務課平岩雄樹課長(左)
蒲原町総務課五十嵐大輔主事(右)


大切なのは日頃からの危機意識

◆東海地震への取り組み状況を教えてください。
平岩 
静岡県の地震対策は1976年、石橋克彦東京大学助手(当時)が発表した「東海地震説」をきっかけに始まりました。東海地区の大地震の周期は、およそ150年から200年といわれ、いまがちょうどこの周期にあたっているわけです。特に蒲原町の場合は駿河湾に面し、また近くを流れる富士川沿いには「糸魚川―静岡構造線」と呼ばれる大断層があるため、安政東海地震(1854年)の時は、一つの蔵を残してすべての家屋が倒れ甚大な被害を受けたといわれています。そんな土地柄もあって、災害への備えとして貯水槽などがもともと多く、自主防災組織も早くから整備されてきました。いつ起こるか分からない災害への危機意識を維持するのはなかなか困難ですが、「助けられる側よりも助ける側に」という気持ちで現在、建造物の耐震診断や改修、防災訓練など、防災対策の向上に向けたさまざまな取り組みを行っています。

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震度や被害を予想した「静岡県防災情報インターネットGIS」
(財団法人静岡総合研究機構防災情報研究所のHPより)

◆インターネットに着目して災害時の情報発信など、独自の取り組みも実施されていますよね。
平岩 
はい。やはり担当者が防災に対するイメージを膨らませ、危機感を持つことが大切です。ホームページによる被災情報の発信も、そうした担当者の発案で始めました。日頃からの備えが重要なのですが、いざというときの対応マニュアルはほとんど読まれませんし、またマニュアルに記載されていないことも多い。そこで、私たちは朝起きた時、夜寝る前、電車に乗っている時など、いろいろな被災状況を想定し、そのときどう行動するか、そのために何を準備するかなどイメージトレーニングをした結果を話し合うようにしています。データストレージサービスも、そうした危機管理体制の一環として、導入しました。
◆従来は、どのようにしてデータを保管していたのでしょうか。
五十嵐 
いままでは、月1回すべてのサーバのデータをDATテープ5本に落とし、民間業者へ委託して滋賀県にある保管庫まで送っていました。しかし、データを守るという点では、地震・洪水・雷のような自然災害だけではなく、機械的な故障や操作上のミス、DATテープの紛失や盗難など、さまざまな脅威が考えられます。いざというとき、ひと月分の異動データを復旧するのでは時間と手間がかかり、災害時などには混乱を招く恐れもあります。そこで「もっといい方法はないか」と考えていたところにデータストレージサービスの提案を受けたんです。日常の業務と平行して30分ごとに自動的にバックアップをとってくれるのは便利ですよね。
平岩 さらに災害への備えという点では、データを保管する場所も重要なポイントです。リスクを分散させるために東海地区以外でと考えたのはもちろんですが、栃木県が安全かどうか、個人的にも地元に住む友人に聞くなどして納得がいくまで調べました(笑)。現在、保管しているデータは住民記録と税務情報ですが、近いうちに文書管理システムの導入も予定しており、今後はこれらのデータも含め、すべてのサーバのデータをTKCのセンターを活用して管理できればと思っています。

データの保護は行政の責任

◆導入に際して不安はありましたか?
五十嵐 
一番心配だったのは、やはり情報漏洩の問題でした。最近、ハッカーなど世界中でいろいろなネット犯罪が起こっていますし、また、まったく新しいサービスを導入するわけですからね。不安はありました。ただ、データストレージサービスであればDATテープの紛失や盗難といった“人”を介することで起こる問題は解消される。データの暗号化やセキュアなIP―VPN(仮想専用線)を使用するということですし、行政としても電子自治体の実現に向けた準備を進めるとともに、新たな危機管理体制についても考えていかなければならない時期に来たといえます。その一つの方法がデータストレージだと考え、思いきってパイロット運用に踏み切りました。

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◆導入を検討されている他の市町村へのアドバイスをお願いします。
平岩 
何かが起きてデータを復旧させるというところまでいかないと、データストレージサービスの価値を実感することはできません。いわば安全運転をしながら保険をかけているような感じですが、行政には住民に対してデータを守る責任があります。電子自治体への取り組みや市町村合併などによって、いま行政を取り巻く環境はどんどん変化しています。しかし、どんな時代にも常に危機意識を持って、柔軟な姿勢で地域や住民にとってより最適なものを求めていく。これが“自治”のいいところなのではないでしょうか。


記者の目
東海地震が騒がれ始めてからもう少しで30年。その間に阪神淡路大震災が起きたこともあり、東海地域の防災への取り組みはより強固なものになってきているようです。お二人の危機意識とデータ保護への積極的な姿勢に、「地域を守る」という意気込みを感じました。



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