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独自様式から全国標準システムへ
将来を見据えた、まちの決断
和歌山県古座川町


古座川町DATA 住所 和歌山県東牟婁郡古座川町高池673−2
電話 0735−72−0180
面積 294.52平方キロメートル
人口 3769名(H15.2.28現在)
URL http://www.town.kozagawa.wakayama.jp/




塩崎貴之古座川町総務課主任(左)
西 武彦古座川町総務課吏員(右)


◆このほど住基・税・福祉など行政システムを全面的に刷新され、今年4月1日から稼働開始となりました。改めて今回の移行の経緯について教えてください。
塩崎 
システム移行を考え始めたのは平成12年4月頃です。以前のシステムは導入後5年を経過していたため、機能的にもそろそろ限界となっていたんです。その際、庁内からは「既存システムをレベルアップする」「他社のシステムも含めて検討する」という2つの意見が持ち上がりました。そこで各課1名ずつ計13名で電算委員会を組織して検討を重ねた結果、県内外4社のシステムから選考することを決定。電算委員会メンバーに加えて、実際にシステムを使う各課の担当者が各社のシステムデモを見て2社に絞り込み、これをさらに比較検討するという具合に慎重に選んで、『e―TASKシステム』の採用を決定しました。

社会環境変化へ敏感に反応

◆システム選考の際に、重視された点は何ですか。
塩崎 
最終的に「利便性」「コスト」「標準化」の3点を選考のポイントとしましたが、基準をどこに置くかは大変難しい問題で、実際にこれに決まるまではかなり難航しました。なかで最もこだわったのは「標準化」です。実は過去の反省点として、システムを“古座川様式”にカスタマイズしていたことがありました。長年の慣習を変えないように、システムを業務へ合わせてきたわけですが、改めて見直してみるとそれまで全国標準と考えていた処理形態が実は全然違っていた、など笑い話のようなことも起きていました…(笑)。また、現在の市町村を取り巻く社会環境を考えても『住民基本台帳ネットワーク』や『総合行政ネットワーク』などによって全国の自治体がひとつにつながり、今後は帳票なども統一化されていくことが予想されます。そうした時代環境へ敏感に対応するためにも、全国で標準的に使われているシステムへ変更することを決断しました。とはいえ、毎日使うものですから「システムの使い勝手」や「利便性」も大事なポイントです。そこで、システムデモに加えて、実際にシステムを利用している団体へ各課の担当者が聞き取り調査を実施しました。さらに今後一段と財政状況が厳しくなることから、導入時の費用を比較するのではなく、将来的にシステムを使い続ける間に発生する「ライフサイクルコスト」の観点から考えて、最も適したシステムを選ぼうと考えたわけです。
◆実際の移行作業は、どのような流れで行われたのでしょうか。
西 
ひと口に「データを移行する」といっても一気にすべての作業を行うわけではなく、データの種類により移行に適した時期があります。そこで、TKCに全体の移行スケジュールを立ててもらうところから始めました。また作業については、移行の際の障害を極力避けるためにテスト移行と本番移行の2回に分け、テスト移行の段階でエラーをできる限り修正してから本番移行を行うという方法をとりました。実際に移行作業を始めたのは14年の春頃からですが、システム本稼働後も作業は続いています。最終的にデータ移行が完了するのは、決算統計が終わって県へこれを報告する7〜8月頃でしょうね。

移行を機にデータや業務の見直しも

◆移行作業を振り返ってみて、反省点などはありますか。
西 
システム移行は、長年蓄積されたデータを見直し、エラーがあれば訂正するのに絶好の機会です。そこで今回の移行作業と平行してデータの総点検を実施したのですが、いま振り返ってみると、このための時間をもう少し長くとっておけばよかったなと感じています。また、予想外のアクシデントが起こることも考慮して、全体的な作業にもっと余裕を持たせておくべきでしたね。実際にデータやシステムの仕様を細かく見ていくと、想像以上に町独自の様式にカスタマイズされていたなどの理由から、作業が停滞したり、正しくデータが移行されなかったりということがあり、予定していた作業計画より慌しいスケジュールとなってしまいました。
◆なるほど。最後に移行を考えている市町村へ向けてアドバイスをお願いします。
塩崎 
今回、4社から提案を受けるという形をとったことで、さまざまなシステムに触れ、今後の行政運営を考える上でも参考になる部分が数多くありました。これは職員にとっていい刺激になったと思います。こうした点から考えれば、システム移行の最大のメリットは、職員一人ひとりに「長期的な視点に立って自分たちの業務を見直す」ことの必要性を意識させた点にあるといえるでしょう。もちろん従来の“古座川様式”でも法律に則った処理を行ってきたわけですが、情報公開や行政手続のオンライン化など、市町村を取り巻く環境が刻々と変化するなかで、常に現状のやり方がベストとは限りませんからね。電子自治体の実現とは、単に行政内部の情報化を進めることではなく、今後、まちをどう運営していくのかを考えて、盤石な体制を整備することです。そのためには、われわれ自身が視野を拡げ、情報収集能力を高め、見直すべき点は見直すなどして、行政組織も進化していく努力が必要といえるのではないでしょうか。


記者の目
これまでの慣習を変えるには大変な勇気と決断力が必要だと思います。誰しもが二の足を踏んでしまうのではないでしょうか。今回、長期的な視点に立ち、それを決断した古座川町役場の職員のみなさんの勇気を見習いたいものです。



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