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信頼感を揺るがしかねない納付漏れ
改正消費税法への対策は万全か?
TKC全国会 社会福祉法人経営研究会 代表幹事・税理士
川井義久



 平成17年1月7日付の朝日新聞によれば、大阪国税局管内(近畿2府4県)の42市町村が大阪国税局の税務調査を受け、下水道事業など特別会計での消費税計算ミスにより計9億8000万円の申告漏れを指摘された。実は、こうした消費税の納付漏れは、各都道府県の社会福祉協議会においても少なからず報告されている。
 その主な原因としては、地方公共団体や社会福祉法人ゆえに計算方法が複雑であるなどの特殊事情や担当者の「勉強不足」「認識不足」が指摘されているが、背景には経費削減のために専任者を置く余裕がないという現実もあるようだ。
 今年4月、消費税法が改正されたことでこのようなミスの増加も危惧されるが、市町村や社会福祉法人の“納付漏れ”は住民(納税者)の信頼感を揺るがしかねない。この機会に、市町村としてもきちんと改正消費税法を理解しておくべきだろう。

改正消費税法のポイント

 平成13年度において民間企業の約7割が欠損企業となり、これに伴い国税収入も60兆円(平成2年度)から42兆円(平成15年度当初予算)に下降している。いまや国家財政上の重要な柱の一つは、法人税から消費税へとシフトしつつあり、高齢社会を支える強力な財政基盤として消費税の重要性はより一層高まっていくものと考えられている。
 そのような状況下、今年4月1日に改正消費税法が施行された。今回の改正点は、(1)免税事業者の適用上限の引き下げ(課税事業者の増加)、(2)簡易課税制度の適用上限の引き下げ(本則課税へ移行)、(3)税込み金額の表示義務(総額表示方式)、(4)中間申告制度の改正――の4つ。


 消費税法では原則として事業者が国内で対価を得て行う物品の販売や役務の提供、動産・不動産の貸し付けなどはすべて消費税の対象となる。しかし、物品や役務の中には消費に対して負担を求める税の性格から課税対象とすることになじまないものや社会政策上課税することが不適切なものがあり、これまで介護保険事業や社会福祉事業は原則として非課税とされてきた。
 だが、今回の改正は社会福祉法人にとっても無関係ではなく、特に(1)と(2)によって“平成の大合併”が予定される地域の社会福祉協議会をはじめ、規模が大きい社会福祉法人では課税事業者に該当することが考えられ、また、簡易課税から本則課税(仕入控除税額を実額計算)へ移行することになる法人もある。


合併予定地域は要注意を

 さて、TKC全国会社会福祉法人経営研究会(以下、TKC社福研)は、社会福祉基礎構造改革の大きな流れのなかで、新会計基準の適用対象施設となる老人福祉施設や保育園などへの情報提供、研修会の開催、健全な経営を実現するための支援活動を行うことを目的に、平成12年4月に設立された。9000名を擁するTKC全国会会員のなかでも、特にこの分野に精通した1500名が集まり、現在2000の社会福祉法人を支援している。
 また4月からは、改正消費税に対応し『Q&A社会福祉法人の消費税』『消費税課税区分基準書』をテキストとする「社会福祉法人経営者セミナー2004」を全国各地で開催している。
 では、社会福祉法人特有の消費税における留意点とは何だろうか。
 消費税法上では、国および都道府県からの補助金、負担金などは「特定収入」として特別な取り扱いとなっている(図1)。そのため、これらを主な収入とする地方公共団体や社会福祉法人では、民間企業とは異なり原則的な消費税計算がかなり複雑で、計算ミスを起こしやすい。

TKC全国会社会福祉法人会計Q&Aサイト
http://www.tkcnf.or.jp/160/

 また、地方公共団体や社会福祉法人の場合、法人税法では「公共法人等・公益法人等」として収益事業を除き原則非課税となっているが、消費税法の場合、非課税となる事業の取り扱いが法人税法とは異なる。
 特に社会福祉協議会では「特定収入」のほかに市区町村からの「委託事業収入」があり、この委託契約内容によっては社会福祉事業ではなく「収益事業」として消費税の課税対象となるケースも散見されるため注意が必要だ。

会計Q&Aサイトの活用を

 限られた紙面で、とてもすべてをご説明することはできないが、TKC社福研ではTKC全国会ホームページに「社会福祉法人会計Q&A」のサイトを開設し、全国の社会福祉法人から寄せられた新会計基準に関する質問と回答を掲載することで他施設の参考に供している。15年度のアクセス件数は、30万2000件に上り、現在のQ&A掲載件数は800件を超えた。
 また、今回の改正消費税法施行に伴い、このサイト上へ新コーナー「税務(消費税・源泉所得税等)について」を設け、社会福祉法人から個別質問も受け付けている。皆さんも、こうしたサイトを参考として、ぜひ改正消費税への理解を深めていただければ幸いである。



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