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市町村合併に伴う円滑なシステム統合のポイント
第1回 個人コード同定と課税業務の関係



 ここ半年ほどで市町村の合併協議が急ピッチで進み、4月13日現在の協議会設置状況は535か所(1893市町村が参加)となった。最終的には、「1700程度に再編される」(共同通信社)との調査もあり、17年3月に向け当分の間ぎりぎりの調整が続く模様だ。合併が正式に決まれば、そのために市町村職員は膨大な業務量をこなすことになるが、中でも「システム統合」は新市の組織やサービスの基盤となるだけに失敗が許されない。そこで今号から3回にわたり、システム統合を円滑に進めるポイントを紹介する。

「個人コード同定」と賦課業務

 システム統合に向けた協議事項のうち、重要なのが「個人コードの統合(採番)」と「同一人(個人/法人)のコードを一つにまとめること(同定)」です。これは合併構成市町村が従来管理していた個人コードのうち、(1)合併により重複が生じた個人/法人を特定し、(2)その個人コードを統一して、(3)重複している宛名管理マスターや各システムで管理する個人コード項目を統一コードに振り替える、一連の処理のことです。
 この作業を考える上では、税務業務の「賦課期日」がポイントとなります。


 賦課期日は課税年度における税額算定の基準日で、「個人住民税」と「固定資産税」の賦課期日は課税年度の属する年の1月1日であり、「国民健康保険税」と「軽自動車税」は同じく4月1日が賦課期日となります。このため17年1月1日までに合併する市町村と、1月2日から4月1日までに合併する市町村では、17年度課税業務における課税対応が異なることになります。
 例えば固定資産税では、賦課期日現在において新市(町村)であれば、新市が税額を確定することになります。一方、賦課期日後に新市となるのであれば、旧市町村において確定された税額に関する課税権を、新市が承継して課税することになります(地方税法8条の2)。
 つまり、賦課期日現在において合併していれば17年度課税は個人コード同定を行った上で名寄せし課税しますが、賦課期日後であれば、納税通知書の様式を別にすれば、17年度賦課業務において個人コード同定を固定資産税として意識する必要はありません。

個人コード同定作業の実際

 さて、同定作業にはいくつかの方法がありますが、ここではTKCが考える手法について解説します。
1.同定ツールの利用
 同定用のパソコンシステムを使用して、氏名などから同定対象候補者のグループ化を行います(仮同定)。次に出力される同定候補者グループリストを確認し、ここから代表となるコードの選定、グループからの除外・追加等を行い同一人対象者を確定します(本同定)。なお、代表となるコードは合併後に統一的に使用するため、事前に選定条件を決定しておきます。


2.段階別作業の実施
 作業にあたっては、(1)旧市町村内の住登外者の同定、(2)新市での住民分の同定、(3)新市での住登外者(第1ステップ実施済みデータを使用)の同定、(4)新市での統合された住民と住登外者(第2ステップおよび第3ステップ実施済みデータ使用)の同定、4段階に分けるのが望ましいと考えます。同定対象を明確にすることで、市町村職員の作業の効率化や正確性の向上を図ります。
 注意点としては、重複した同一人(個人/法人)であっても番号は合併前の特別徴収義務者の管理および収納管理のため、削除整理ができません。この場合、そのまま管理を継続することになります。

各税業務における特徴

 税業務に関する留意点は以下の通りです。
1.住民税特別徴収
 事業所番号も同定対象となるコードですが、単に課税までに同定すればいいというわけではありません。合併後の新年度に特別徴収義務者指定通知を作成するため、遅くとも課税前年の11月中には同定作業を完了することが必要です。このため、課税時に合併している場合であれば、合併構成市町村で協議の上、あらかじめ新年度以降に使用する事業所番号を決定しておきます。
2.固定資産税
 固定資産税における所有者コード等の同定も住民税の事業所番号同定と考え方は同じです。ただし、共有者については同定に時間がかかることが予想されます。共有者は一般的に「○×○×他1名」という名称で登録されますが、この“他1名”が誰なのかを把握しないと同定できないためです。
3.口座管理
 同一人が旧市町村で異なる金融機関から口座振替をしている場合、同定結果テーブルと口座管理マスタから重複口座確認リストを作成し、金融機関や口座番号を統合する必要があります。また、口座振替は納税義務者の申請により実施するものであり、納税義務者に口座振替確認通知書を送付して確認し、新年度からの口座情報を確定する必要があります。
4.納税通知書等の様式決定
 合併当該年度の名寄せおよび賦課計算は、合併期日が賦課期日後の場合、旧市町村単位に行います。同一人への納税通知書は旧市町村単位に複数作成しても、1つにまとめて送付してもよいとされています。
 その場合、税額計算の課税の根拠については、旧市町村単位に表示する様式にする必要があります。また、全期前納報奨金の計算は納税通知書ごとに行わなければなりません。
 個人コードの同定を実施する上で、各システム間のデータ連係を無視することはできません。たとえば4月1日が賦課期日である国民健康保険税は、固定資産税から資産割額情報を受け取ることになりますが、そのキーとなるのは個人コードです。1月2日以降の合併で同定未実施であれば、システムで資産割額自動セットされる人とされない人が発生します。
 システム間のデータの流れも視野に入れ、組織横断的な判断の下、同定作業の調整が必要です。



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