bannerkantou.gif


電子自治体が目指すもの
総務省自治行政局情報政策企画官
牧 慎太郎
まき・しんたろう 1986年(昭和61)年東京大学法学部卒業後、自治省入省。北九州市企画局調整課長、通商産業省基礎産業局総務課長補佐、島根県企業振興課長、自治省税務局企画課長補佐、北海道財政課長、総務省情報通信政策局地方情報化推進室長などを経て、2003年より現職。



 電子自治体の構築には、3つの目的があると言われている。
 第1が、「住民サービスの向上」である。24時間、365日、いつでもどこでもパソコンとインターネットを通じて行政サービスを受けることが可能になる。なかなか平日の昼間に役所の窓口へ行くことが難しかった多忙なサラリーマン、身体障害者、交通の便の悪い地域の住民などにとっては大きなメリットが期待できる。
 第2が、「行政の効率化」である。今まで紙として扱ってきた情報を単に電子化するというだけでなく、電子化をきっかけに従来の業務のあり方を見直し、行政の簡素効率化や透明性の向上など地方公共団体の業務改革を推進することが求められる。
 総務省では、電子自治体の構築にあたって共同アウトソーシング方式を推奨している。複数の自治体でシステムの運用等を外部委託することにより、低廉なコストで高い水準の運用を確保するものである。共同アウトソーシングを行う際の業務の共同化・標準化は、業務改革の大きな契機になるだろう。
 第3が、「IT産業の振興」である。アウトソーシングの推進等により、情報関連産業をはじめとした新需要を地元に創出し、地域経済を活性化する効果が期待される。最初の入札は安値でもその後の変更は言い値で結果的に高くつくような囲い込みのビジネスモデルを改革し、ライフサイクルコストを意識してオープン化を進める必要がある。そして、既存コストの削減分を前向きな住民サービスの向上に振り向けていくことが望まれる。
 さらに、電子自治体の推進には、行政のあり方自体を変革することも期待される。ITを活用した行政への住民参画の促進である。
 インターネットの普及により、従来の広報誌の発行や住民懇談会の開催に加えて、ホームページでの情報公開、市民電子会議室の活用などにより、これまでさまざまな制約から行政情報の入手や意見反映が難しかった人々も含めた住民参画の促進が可能となっている。
 もちろん、デジタルディバイドなどの課題もあるが、ITを活用した住民に対する情報提供のあり方、建設的な民意形成に向けた手法、市政モニター、住民懇談会、議会など従来からの民意反映のチャンネルとの補完関係、IT活用の可能性とその限界などについて、今後、議論を深めていく必要があるだろう。
 個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を目指し、まさにeデモクラシーによって電子自治体に魂が吹き込まれるのである。



バックナンバーへ戻るspacer新風トップへ