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市町村合併に伴う円滑なシステム統合のポイント
第2回 早めの“仮統合”で課題点の整理を



5月19日、いわゆる合併三法(合併特例新法、合併特例法改正法、地方自治法改正法)が国会で成立した。平成17年3月だった合併特例法の期限を1年延長したほか、都道府県知事の権限強化などが盛り込まれたことで、さまざまな事情から協議が長引いていた地域においても、今後は合併機運の高まりが予想される。その結果、合併することになった場合でも、準備作業は“1年間が勝負”といえるだろう。そこで今回は市町村合併に伴う情報システムの統合・再構築にかかわる重要課題のひとつである「データベースの統合」のポイントについて紹介する。

安全・確実なシステム統合のために

 市町村合併に伴う情報システム統合・再構築において重要なポイントといえるのが、データベースの「統合処理」です。これがシステム統合の成否を左右するといっても過言ではないため、TKCでは、データベースの「本統合」の前に「仮統合」を実施することを提案しています。
 ここでいう仮統合とは、いわば本統合のリハーサルです。
 仮統合を目標に、合併協議やシステム統合分析を進めることで、スケジュールが明確になり、早い時期に課題を整理することができます。また、仮統合の結果によって、これまでの協議事項や分析内容の再点検なども可能です。なお、仮統合の時期としては、合併期日の6か月〜3か月前が想定されます。これは仮統合の結果、得られる再点検事項に対応するために十分な時間を確保するためです。


 さらにデータベースの仮統合は本統合を想定していることから、サーバなどハードウェア環境についても、実際に使用する予定のものを準備するのが理想です。もちろん、合併協議やシステム分析についても、仮統合までにすべて完了していることが望ましいといえますが、これについては合併の調印時期によっても調整できる範囲は変わってきます。
 なお、TKCでは、ポイントを絞って準備が進められるよう、システム統合プロジェクトチームを編成し、合併協議会や専門部会・電算分科会、業務システムごとの課題事項(システム差異)の洗い出しや解決策の提案を行っています。

具体的な事前準備は?

 さて、データベースの仮統合に向けた具体的な準備作業は、主に以下のようなものが考えられます。
1.システム差異分析とデータ調査
 統合の対象となるすべてのシステムについて、システムごとの差異分析とデータ項目単位での利用状況やコードの重複利用等を把握し、統合に必要なデータ項目の移送方法やコード変換方法を決めておく必要があります。なお、情報システム全体の統合では、新旧のコード変換データにより、振り替えを行うことになります。
2.キー項目のコードの振り替え
 個人コードや世帯コード、住所コード、行政区コードなどは、総合行政情報システムにおいて複数のシステムが利用していたり、データを連携する際のキー項目になっている場合があります。そのため、合併する構成市町村ごとに付番されているこれらのコードについても、システム統合時には重複しないようにコードを振り替える必要があります。
3.漢字(外字)環境の整理
 行政事務では、多くの外字が利用されています。また、漢字のシステム環境もシステムを提供するベンダーによって異なるため、同じ字形でも文字コードが複数存在する場合が発生します。これは同じシステムを利用している団体同士の情報システムを統合する場合でも同様です。情報システムの統合時には、合併する構成市町村ごとで管理している漢字情報(文字コードと字形)についても整理し、重複しないように文字コードを振り替えることが必要です。
 また、外字の場合には、登録領域を有効活用できるように同じ字形の文字を整理(同定)しておきます。
4.帳票様式の整理
 帳票様式とその出力方法など、システム運用に関する部分についても、早い段階から整理しておくことで本統合に近い検証を行うことができます。

個人情報には十分な配慮を

 仮統合は、本統合のリハーサルです。このため、実際のデータを使うことが十分想定されるため、その場合は個人情報の取り扱いについても十分な配慮が必要です。財団法人地方自治情報センターの『市町村合併に伴う情報システムの在り方に関する調査研究』(平成15年3月)においても、システム統合・再構築のポイント11項目のなかに、〈個人情報保護およびシステム統合・再構築作業の透明性に配慮する〉を挙げ、その重要性について明らかにしています。
 さて、仮統合を実施することで、(1)統合時間の実測、(2)データの論理的な検証による「データに依存する問題点」の洗い出しと「データ修正方法」の検討、(4)合併協議に関する再点検課題の整理、(5)統合後のシステムおよびデータの状況の見通し、(6)合併システムの機能研修――などの具体的成果を期待することができます。


 さぁ、新市誕生! という段階で情報システムの統合・再構築ができないという事態は許されることではありません。
 限られた時間の中で、安全かつ確実にシステム統合・再構築を実現するためにも、作業工程の重要なマイルストーンとして仮統合を行うことの意義はとても大きいといえるでしょう。



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