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電子投票で日本中の注目集める
福島県大玉村の新たなる挑戦
福島県大玉村


大玉村DATA 住所 福島県安達郡大玉村玉井字星内70
電話 0243-48-3131
面積 79.46平方キロメートル
人口 8,609名(H16.6月現在)
有権者数 6,743名(H16.6月現在)
URL  http://www.vill.otama.fukushima.jp/


大玉村役場総務課・橋本和幸氏


◆大玉村では、今年7月の参議院議員選挙より当日投票受付システムを導入されました。導入の背景について教えて下さい。
橋本 
大玉村では、かねてより「機械でできることは機械で、人でなければできないことは人で」という考えの下、業務改善の一環として積極的に庁内の電算化を推進してきました。その一例が昨年8月、村議会議員選挙で導入した「電子投票システム」です。これは全国で6番目、町村規模では全国初ということから、お陰様でマスコミにも数多く取り上げられました。しかし、実際に電子投票を行ってみると、投票後にカードを回収する係を配置しなければならず、人員増となってしまったんです。そこで選挙事務全般の効率化をはかるため、「e―TASK選挙システム」とそのサブシステム「当日投票受付システム」を導入することにしました。

システム導入で受付を簡素化

◆システムの稼働にあたり、特に留意された点はどのようなことでしたか。
橋本 
初の試みだけに、想定されるトラブルへの対策には気を遣いましたね。大玉村には、投票所が6か所あるのですが、それぞれに技術サポート要員としてTKCの社員に貼り付いてもらいました。また、本庁へ予備のパソコンを三台準備するとともに、“紙”の名簿でも併行して消込を行うなど、万が一の場合に備えました。
◆なるほど。実際に参院選当日の状況はいかがでしたか。
橋本 
従来は、受付係と名簿対照係の2名を配置していましたが、今回からはハガキに印刷されているバーコードを読み取るだけ。名簿を1ページずつめくって有権者を探すのに比べれば、受付業務は格段に早くなりましたね。有権者にとっては待ち時間が多少軽減された程度で、特に事前案内などしなかったのですが、なかには「バーコードになったんだね」と声を掛けてくる人もあったようです。まぁ、概ね順調なスタートでしたが、想定外のトラブルはありました。朝一番でバーコードリーダーが動かないと連絡があり、慌てて駆けつけたところ、読み取り方の問題でした。バーコードリーダーは傾けて、少し離して使うのですが、たまたま操作研修へ出られなかった職員がベタッと押し付けていたんです。また、ほかの投票所ではハガキを忘れた投票者が一度に3人も集中し、受付業務が停滞したことも…。こうした場合、名前と住所を確認して入場券を再交付するのですが、「小文字も大文字として検索する」という操作の説明不足が原因で、検索に予想以上に時間がかかりました。これは技術的には簡単なので、ぜひシステム側で対応してもらいたいですね。
◆導入の成果はありましたか。
橋本 
まず、事務局では、従来、不在者投票の受付情報を手書きした名簿2冊を作成し、1冊は各投票所へ配布していたのですが、この手書きの手間が省けました。これまで選挙前日は、深夜まで準備作業に追われていたものですが、今回は10時には終了してしまい、逆に不安になったほど。単純作業でも、それだけ負担になっていたわけですね。また、大玉村の例ではありませんが、記入欄を間違え、実際には投票していない人が投票したことになっていたという話もあります。システムの導入で、こうした単純ミスが解消され、投票日当日も職員が必要以上に神経を使わずに済むなど導入効果はあったと思います。さらに、選挙後、県の選挙管理委員会へ提出する「年代別投票率」「時間別投票数」などの作成もほぼ自動計算されるので便利ですね。

目指すは、選挙の“完全電子化”

◆全国的に見ても、まだ選挙関連事務の電算化は遅れているようですね。
橋本 
はい。選挙は、民主主義の根幹をなす非常に重要な部分ですが、これまでは、なぜか経費はかけないほうがいいと考えられてきました。その根底には「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律」に沿って、国からもらう経費の範囲内で執行すべきという長年の慣習があるのではないでしょうか。しかし、住民も行政もどんどん変化しているいま、そうした発想は改める必要がありますね。確かに、選挙は“問題なく終わって当たり前”が求められるため、新しいことに挑戦したり冒険しにくい分野ですが、そこから一歩踏み出さなければ何も変わりません。正確性や効率性を考えれば、選挙事務もほかの業務と同様に電算化へ取り組むべきだと思います。
◆最後に、今後の展望を教えて下さい。
橋本 
やはり選挙の完全電子化ですね。投票所と開票所をオンラインで結び、電子投票終了と同時に開票結果も分かれば、行政はもちろん、住民にとっても大きなメリットがあります。また、選挙結果を待つ立候補者にとってもね(笑)。ただ、そのためには法改正が必要で、まだ時間はかかるでしょうが、大玉村では即座に対応できるよう準備を進める考えです。その点では、当日受付システムを導入したのも電子選挙に向けた一つの布石といえるでしょう。いま思えば、電子投票に取り組んだ1年間は、苦しい中にも達成感があって本当に最高の時間でした。そして、今回の選挙システムの導入…。燃え尽き症候群にならないように、また新たなテーマを見つけないといけませんね。


記者の目
お話しをうかがって、新しいことへ挑戦する難しさを改めて感じました。「新しいことを始めるには膨大なエネルギーを要するが、その分、やり遂げた時の充実感も大きい」と橋本氏。目標に向かい、緊張感を持って業務にあたるその姿勢を見習いたいと思います。



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