bannertrendnews.gif


市町村合併に伴う円滑なシステム統合のポイント
―CASE2 鳥取県南部町―
主役は住民、行政は裏方合併機に新たな自治体像を模索


湯梨浜町
DATA
住所 鳥鳥取県西伯郡南部町法勝寺377-1(法勝寺庁舎)
電話 0859-64-3785(合併調整課)
面積 114.03平方キロメートル
人口 1万8042名(H16.11月末)
URL  http://www.town.nanbu.tottori.jp/
合併日 平成16年10月1日



南部町合併調整課・奥山俊二課長(左)
南部町総務課・陶山清孝課長補佐(右)



◆合併に至った経緯を教えてください。
奥山 
この一帯は古くから「南部」と呼ばれ、旧会見【あいみ】町と旧西伯【さいはく】町は隣接する町として、住民同士も産業や親戚関係などあらゆる分野で深いつながりを持ってきました。また、行政サービスにおいてもごみ焼却施設や介護保険広域連合等に加え、平成15年2月には共同出資で社会福祉法人を設立するなど互いに協力し合ってきたという経緯があります。そうした二つの町が合併し、先頃、南部町としてスタートしました。これまで、会見町は富有柿の産地として「会見」ブランドの展開を図る一方、人権尊重の施策を推進し、また、西伯町では福祉や医療分野に積極的に取り組み、全国有数の先進自治体として名前を知られるなど、それぞれ特色ある町づくりを進めてきました。南部町では、そうした互いの実績や特長を融合し、「住民参画」のまちづくりを進める方針です。
◆合併協議も住民と二人三脚で進められたとうかがいました。
奥山 
個人でできることは個人で、地域でできることは地域で解決を図ることが健全な住民と行政の関係だと思います。そこで平成15年5月に、両町の住民を50名ずつ公募して「まちづくり委員会」を設置し、新町の建設計画原案をたたき台として皆さんから意見をもらい、計画案を策定していただきました。その後、まちづくり委員会の第2期活動として、委員有志と新たに募集した住民を加えた計40名が「新町のまちづくりへの住民参画のあり方」を検討。これについても合併協議会へ提言してもらい、新町へ引き継ぎました。そうした活動を通じて、住民自らが地域の問題を考えるという意識改革は着実に進んだと感じています。

組織体制やレイアウトは半年前に

◆システム統合における成功の秘訣は何だったとお考えですか。
陶山 
南部町では平日合併だったため、深夜12時に旧町と新町の処理を切り替えたのですが、合併前夜、新町になってから出生届を提出しようと待っている住民もいて、システムが無事動くまでは緊張しましたね。南部町の場合、データの統合はほぼ計画通り進んだのですが、合併を機にすべてのシステムを一新したため、事前準備はしていたものの、職員が操作に慣れるまで1週間ほどかかってしまいました。これは反省点ですね。合併にはそうした過渡期の混乱はつきものですが、これを極力排除するには、将来の拡張を視野に入れながらも、段階的にシステムを移行することが望ましいでしょう。市町村合併を乗り切った経験者として、これから合併する自治体の職員さんにアドバイスするとすれば、システム統合は組織全体に関わるプロジェクトだけに、関係各方面へ「円滑なシステム統合には一定の準備期間が必要だ」と徹底してアピールすることですね。南部町では、半年前に組織体制と庁舎レイアウトを固め、2か月前には人事を発令して万全な準備態勢を整えましたが、合併直前まで決まらない自治体も少なくないようです。しかし、組織体制やレイアウトが固まらないとLAN工事や電気配線ができず、また、人事発令の遅れはシステムの操作研修へ影響を及ぼします。電算担当者が早めに働きかけ、トップから職員まで組織全体の理解を深めることが肝要ですね。
◆今後の計画について教えてください。
奥山 
平成17年度に、住民と行政の双方向コミョニケーション・ツールとしてCATVで各世帯を結ぶ地域イントラ整備に着手する計画です。将来的にはこれを使って高齢者の健康データを健康管理センターへ集めるなど、福祉や医療面での活用が期待されますね。厳しい財政事情を考えれば、今後、事業計画の見直しなども避けて通れませんが、従来サービスの質を下げることなく、新たに地域密着型のサービスを充実させることで、小さな合併を選んだメリットを住民へ還元していきたいと考えています。
陶山 合併はゴールではなく、スタートです。地域の将来を考えると、高齢化と裏表にある少子化の問題は無視できません。特に南部町の高齢化率は26.7%と、10年後、20年後の日本の姿です。従来のように行政が何でもやるという考え方では、自治体は間違いなく破綻するでしょう。住民も職員も従来の「行政」の概念を変え、行政は住民の持つ力をもっと引き出す努力が必要ですね。南部町ではいま、住民が主役、行政は裏方として一緒に新しいまちを創り上げていこうと考えています。どこにも手本はありませんが、それだけにやり甲斐はある…。新しい自治体像を目指す我われの挑戦は、これからが始まりです。



バックナンバーへ戻るspacer新風トップへ