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特集タイトル


 介護保険制度の今回の見直しは、「5年目の定期点検」ではなく、制度創設時と同様、あるいはそれ以上の作業が必要と考えられます。それは、地方分権のさらなる進展や三位一体改革への対応、準備期間の短さ等、創設時にはなかった条件が付与されているからです。
 国は今回の改正について、(1)予防重視型システムへの転換、(2)施設給付の見直し、(3)新たなサービス体系の確立、(4)サービスの質の向上、(5)負担のあり方、制度運営の見直し――の五つの柱を掲げています。
 市町村としては、この五つの柱すべてに配慮していくことは当然ですが、特に迅速な対応が必要なものを、あくまで私見として述べてみることにします。

社会から問われる市町村の力量

 はじめに、予防重視型システムの転換に向けては、新予防給付や地域支援事業の創設が予定されています。市町村ではまず、新たに導入されるサービスの基盤整備が求められ、さらに対象者の把握のための要介護認定システム変更への対応が必要になると想定しています。認定調査の項目の増加、審査会の運営方法の変更、コンピュータシステムの変更など対応すべき事項は多く、残された準備期間内に、万全を期すことは難題であると認識しています。
 第二に、施設給付の見直しについては、居住費用や食費を保険給付から除外することに伴い、低所得者の把握や補足的給付の手続きなどの事務の対応が予測されます。
 第三に、新たなサービスとして、小規模・多機能、地域包括をキーワードに地域密着型のサービスが創設されます。この準備に市町村は十分な対応をしなければなりません。いまのところ生活圏域の設定、事業所の指定、指導・監督などは行っていませんが、本来保険者としては必須の業務が発生してきます。まさに市町村の力量が問われると認識しています。

研究会では、今後、事務処理への影響やシステムの改修点などの検討を重ね、秋には報告書をまとめる予定だ。

 第四に、サービスの質の向上には、いろいろな改革が想定されていますが、特に市町村に関係が深いものとして、地域包括支援センターと情報開示の標準化が挙げられます。情報開示の標準化は、都道府県との連携が大切になりますので、共同して準備を進める必要があります。
 最後に、負担のあり方については、1号保険料の関係で、特別徴収の範囲の拡大や所得段階別保険料の段階の細分化が課題となります。市町村ごとにどのような保険料の枠組みを設定するか住民との協議が求められ、さらにコンピュータシステムでの対応が不可欠なことから準備作業の迅速化が必要になってきます。


 制度運営の見直しとしては、地域密着型サービスのところで触れた保険者機能の強化、介護保険事業計画の策定方法の変更、基盤整備としての地域介護・福祉空間整備等交付金への対応等が求められます。地域が求めた三位一体改革の中で生み出された制度もあります。地方の実力を示していくためにも、責任ある対応が必要になってくると考えます。


 以上思いつくままに、介護保険制度改革の準備の課題を掲げてきました。
 市町村としては、これ以外にも「障害者自立支援給付法」(仮称)の動向、社会保障制度全般のあり方に検討が委ねられた「被保険者・受給者の範囲の拡大」の動向などに注目しながら、即座に変化へ対応できる心構えを持っておかなければなりません。
 さらなる制度改正も予想される中、まずは今回の介護保険改革を、社会保障制度見直しの第二幕として、誠実に、そして進取の気持ちで受け止めながら対応していかなければならないと考えています。
 介護保険システム研究会では、介護保険制度の創設時にも多くの市町村の知恵を結集して汎用性のあるコンピュータシステムの構築へ取り組みました。これは、システム開発にかける市町村の負担を軽減し、その力を住民への情報提供や市町村独自の理念の構築に使っていきたいとの、強い思いからの発案です。そして、平成18年度改正に向けて再び介護保険システム研究会を組織し、制度改正に伴う関連業務の変更点などの検証とこれを支えるコンピュータシステムの研究に着手しました。
 今回の改革は、創設時よりも多くの課題を市町村に投げかけています。市民協働でこの課題を乗り切り、変革の時代に耐えられる自治体を目指さなければならないと考えます。



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