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「障害者自立支援法」案国会へ




 介護保険と同様に「障害者も必要なサービスを選択して利用する」という理念の下、スタートした支援費制度。しかし制度開始から2年が過ぎ、(1)支援の必要性に応じた客観的な基準やケアマネジメントの仕組みがないため地域格差が大きい、(2)サービス基盤の充実に対応できる財源を確保できず制度維持が困難――が指摘されています。
 このため、国は制度の理念推進と障害者の自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとに異なる法律に基づき提供されていた福祉サービス・公費負担医療等を一元的に提供する仕組みの創設と、サービスの利用量に応じた費用負担を実施する「障害者自立支援法」案を国会へ上程しました。
 しかし、この法案では定率負担の導入やサービス体系の再編など、障害者の自己負担増やサービス切り捨てになるなどの声が全国の障害者団体などから挙がっています。
 早ければ、本誌が発行される7月1日にも、何点かの改訂が加えられて法案が可決する見込みですが、5月末現在、厚生労働省の資料から明らかとなっている「施行までのスケジュール」と「必要と思われる市町村事務処理システム」の機能について解説します。


障害者自立支援法予想される今後のスケジュール

1.準備期間(法案成立〜17年9月)
(1)現行支援費制度下における障害サービスの利用実態調査の実施、その結果から都道府県、国が集計・分析を行う
(2)新制度から設定される障害程度区分等のモデル団体による試行(全国61市区町村がモデル団体として指定されている)
(3)新事業体系の基本骨格案、利用者負担と新支給決定方式の確定に基づき、利用者や施設関係者の広報、説明を行う
(4)公費医療指定医療機関の指定
2.第1段階施行(17年10月〜)
(1)公費負担医療の見直し実施
(2)障害程度区分認定・審査マニュアル等の確定、調査員・審査会委員研修講師の研修
(3)調査員・審査会委員研修、調査体制の検討と調査審査会の試行
(4)新事業体系の施設関係者などへの説明
3.第2段階施行(18年1月〜)
(1)新法施行、新支給決定方式の開始
(2)国の計画策定参酌標準に基づき、ワークシートを作成、計画策定作業開始
(3)新たな事業体系への参入意向調査。新制度におけるサービス見込量の集計
4.第3段階施行(平成18年10月以降)
(1)障害者自立支援法の完全実施
(2)介護保険と同様に、都道府県の国保連合会による審査支払業務の全国統一運用を検討


障害者自立支援法のポイントと事務処理システムの対応項目

1.障害者の福祉サービスを一元化
 サービス提供主体を市町村に一元化し、身体・知的・精神の障害種類にかかわらず障害者の自立支援を目的とした共通の制度により福祉サービスを提供する。
〈システムでは、障害者自立支援法下のサービスについて支給実績までを総合的に管理するとともに、身障・知障・精神障害者手帳情報の台帳管理も必要になります〉
2.障害者がもっと働ける社会に
 一般就労へ移行することを目的とした事業の創設など、働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう福祉側から支援を行う。
3.地域の限られた「社会資源」を活用できるよう規制緩和
 市町村が地域の実情に応じて障害者福祉に取り組み、障害者が身近なところでサービスが利用できるよう、空き教室や空き店舗の活用も視野に入れて規制緩和する。
4.公平なサービス利用のための手続きや基準の透明化、明確化
 支援の必要度合いに応じてサービスが公平に利用できるよう、ルールを明確化する。
〈システムでは、申請から支給決定までの業務フロー対応が必要です。特に、支援費ではなかった認定調査による一次判定から市町村審査会によるニ次判定で障害程度区分が決定され、支給決定を確定する手順は介護保険とほぼ同じ流れになっています〉
5.増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化
 障害者が福祉サービス等を利用した場合に、食費等の実費負担や利用したサービスの量、所得などに応じた公平な利用者負担を求める。この場合、低所得者等に対する適切な経過措置を設ける。
 また、福祉サービス等の費用について、これまで国が補助する仕組みであった在宅サービスも含め、国が義務的に負担する仕組みに改めて国の財政責任を明確化する。
〈支援費システムの応能負担からサービス利用量に応じた応益負担へ変更になります。また、低所得者対策として減額や免除などの措置への対応が要求されます。施行計画では段階的に移行するため、18年10月までは新法システムと支援費システムの併用期間となります〉

今後の国の動きに注意し柔軟なシステム対応を

 さて、障害者自立支援法の立ち上げは、短期間のうちに3段階のステップで進められます。特に来年1月から開始される新たな利用手続きと利用者負担の見直しについては、概要は提示されているものの細かい規則や様式などはこれから決定されていくことになり、障害者事務担当職員は頭を痛めているのではないでしょうか。
 同じ時期、介護保険制度の改正も進められるなど社会福祉制度の改革はこれからも継続し、また、17年度後半には全国で市町村合併の後半戦のピークを迎えます。今後は厚生労働省社会保障審議会からの最新情報に注意しながら、社会制度の変化へ柔軟に対応できるシステムの構築が必要で、その改修に係る費用を抑えることも課題になっていきます。



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