電子自治体における
オンライン利用の促進について
総務省自治行政局地域情報政策室


1.はじめに

 平成18年1月、IT戦略本部において「IT新改革戦略」が決定された。この戦略の中の重点政策の1つとして、「世界一便利で効率的な電子行政」が挙げられており、「国・地方公共団体に対する申請・届出等手続におけるオンライン利用率を平成22(2010)年度までに50%以上とする」ことを目標として掲げている。地方公共団体においては、この目標に沿ってオンライン利用を促進することが期待されているところである。
 総務省では、平成18年7月に「電子自治体オンライン利用促進指針」(以下、「指針」)や「電子自治体オンライン利用促進マニュアル」(以下、「マニュアル」)を策定・公表し、各地方公共団体のオンライン利用促進に向けた取り組みを支援・推進していくこととしている。
 ついては、これらで示した地方公共団体におけるオンライン手続利用促進に向けた推進方策等について、説明を行うこととしたい。

2.オンライン化のこれまでの歩みと現状

 5年以内に世界最先端のIT国家になるという目標を掲げ、平成13年1月に策定された「e―Japan戦略」、それに続く「e―Japan戦略II」(平成15年7月)、そして今般の「IT新改革戦略」(平成18年1月)が打ち出される過程において、電子政府・電子自治体についての基盤整備や制度整備は、少しずつだが着実に前進してきている。現在、すでに国の行政機関への申請届出等手続の96%は、オンラインにより申請・届出等を行うことが可能となっているのである。
 しかし、先述の「IT新改革戦略」でも触れられているとおり、オンライン手続を利用できる環境があるにも関わらず、必ずしもそれが利用されていないというのが実情であり、課題となっている。すなわち、「使い勝手が利用者の視点に立っていない等の理由から、国民・企業等による電子政府の利用が進んでおらず、住民サービスに直結する地方公共団体の電子化が十分でないなど、国民・企業等利用者が利便性・サービスの向上を実感できていない」のである。
 また、地方公共団体においてもオンライン化は進展しつつあるが、平成17年4月1日現在の汎用受付システムの導入状況は、都道府県で78.7%、市町村では20.4%、住民にとって最も身近と考えられる公共施設予約システムの導入率は、都道府県で61.7%、市町村では25.2%にとどまっており、依然として整備を進める必要がある。地方公共団体についてはオンライン化自体を進めるのと並行して、利用促進を図っていかなければならない。


3.オンライン利用促進に向けた取り組み

1.利用促進に向けた提示
 冒頭に示した指針では、重点的にオンライン手続の利用を促進するため、地方公共団体の手続のうち、住民の利便性の向上や業務の効率化効果が高いと考えられる手続を「オンライン利用促進対象手続」として21類型にわたり選定している。全国のオンライン手続の整備状況や利用状況のデータに基づき、費用対効果を考慮して選定を行ったものである(図1)。また、各地方公共団体が取り組む事項として、(1)オンライン利用促進計画の策定、(2)利用促進に向けた対策内容、の2つを挙げ、具体的な対策例を例示している(図2)。
 マニュアルにおいては住民に対するアンケートや、利用率の高い団体と低い団体の取り組みの比較等を行い、どのようなことがオンライン化、あるいはオンライン利用率の低下につながっているかを検証するとともに、その対策について細かく例示した。
 地方公共団体においては、これらの指針・マニュアル等を参考に、戦略的かつ地域の実情に合わせた形でオンライン化の推進やオンライン利用の促進に取り組むことが期待される。


2.オンライン利用促進の進め方
 先述のマニュアルは、先進自治体のオンライン利用の実績、創意工夫等を参考にして、利用促進のポイント、各手続のフロー図、広報方法などを説明したものである。
 以下では、マニュアルに基づき利用促進のポイントについて、さらに説明することとしたい。
 まず、オンライン利用を促進していく方策は大きく(1)オンライン手続利用時の利便性向上、(2)オンラインサービスの提供手段の改善、(3)オンライン利用のメリットの拡大、(4)オンライン手続の広報・周知の強化、の4つに区分することができる(図3)。〈オンライン手続利用時の利便性向上〉とは、添付書類・本人確認方法の「簡素化」や、電子納付・電子決済・申請書様式や事務フローの統一を含む、「手続の一元化」(ワンストップ化)の実現などの対策である。また、〈オンラインサービスの提供手段の改善〉とは、パソコンからインターネットで利用することができない場合、例えば携帯電話から利用できるサービスを提供するなどの対策を施すことを指している。
 〈オンライン利用のメリットの拡大〉とは、例えば24時間365日のサービス提供、メールによる事務手続完了通知など時間的・経済的・事務的なメリットを拡大する取り組みを検討する必要性を指したものである。最後に〈オンライン手続の広報・周知の強化〉であるが、これは具体的にどこにアクセスすれば利用できるのか分からないなど住民に十分周知されているとは言えない状況(自治体の職員が予想するほど、オンライン手続は認知されていない)を改善しようとするものである。

4.最後に

 政府では、平成18年3月に「オンライン利用促進行動計画」を策定した。この計画では、平成16年度末で11%であった国のオンライン利用率を、平成20年度末には28%とすることを目的としている。平成22年度までに、オンライン利用率50%以上を目指すという目標は、地方公共団体においても同様である。
 オンライン利用促進は、電子自治体の目的である住民等の満足度向上や簡素で効率的な行政運営を実現するために大きく寄与することとなる。オンライン利用率50%以上の達成に向け、各自治体の積極的な取り組みが図られることを期待したい。



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