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利用者視点のITを!
特定非営利活動法人 関西情報化維新協議会 副理事長
戸谷壽夫
とたに・としお 1965(昭和40)年、羽曳野市役所入所。企画財政部行政改革推進室長、秘書室長兼情報政策・行政改革推進室長等を経て退職後、05年より現職。財団法人地方自治情報センターのITアドバイザーとしても講演・執筆多数。



 自治体へコンピュータが導入されて40年以上が経過し、この間、ハードやソフトなどIT分野では著しい進展があった。今後、自治体が住民にとって一層有益な存在となるためには、自治体単位でどんな街づくりを進めるのか明確にし、それに向けてこれまで蓄積してきた情報資産をどう活用していくのか、自ら考えていくことが大切だ。
 これらを考える上では、従来の事務改善中心の情報化とは違い、利用者視点に立った“温かい”情報化でなければならない。そのためには住民も自治体も、コンピュータを意識せず使用できる環境づくりと意識の定着も欠かせないだろう。時代を大きく変えた飛行機や携帯電話、あるいはパソコンの創造がすべては“夢”から始まったように、これからの街づくりには“夢”と、それを具現化する“イマジネーション”と“パワー”が不可欠なのである。
 オンラインの利用促進により、本年3月末で電子申請できる国への手続の96%が完成した。しかし、住民には自宅や職場でオンライン申請をできる方と、そうでない方がいる。このような中で「電子申請利用率50%を目指す」という指針を受けて、住民に利用してもらえる環境をいかに整備していくのか。その点では、住民にIT環境を整備してもらうのではなく、例えば公共施設などへアドバイザーを配置し、誰でも容易に電子手続ができるようなコーナーを整備するのも一つの方策だろう。
 また、オンライン利用促進対象に掲げられた21業務の手続はそれぞれ受付窓口が異なるが、電子申請を行うために順番に各セクションのサイトを開かなければならないというのでは、利用者にとってとても不便だ。私は、電子申請の受付窓口は一か所であるべきと考える。IT化の長所は、ネットワークによってすべて横につながることにある。ここへ旧来の“縦割り”組織の考え方を持ち込んで、せっかくの長所を阻害してはならない。そうした基本的な整備も併行して行わなければ、利用者の真の利便性向上には至らない。
 さらに、その時点でどんなに優れたシステムでも、維持や保守、更新を考慮していかなければならない。利用が進まなければ、当然その費用対効果が問われることになる。つまり、住民に利用されるものがいいシステムであり、IT化の真価は利用促進にこそあるといえよう。
 指定管理者制度や民営化、公共サービス改革など、いま行政自身も急激な変化の真っ直中にある。そうしたなかで、人と人の顔が見えるコミュニケーションを忘れずに、ITの恩恵をみんなで実感できるシステムづくりを行い、ひいてはITを活かした新しい行政体のあり方を模索していきたいものである。



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